ティア Research Memo(5):適正な料金プランと高品質なサービス、ドミナント出店により成長を継続

発行済 2022-12-07 15:05
更新済 2022-12-07 15:15
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■事業概要

4. 同社の特徴と強み
(1) 同社の特徴
ティア (TYO:2485)の最大の特徴は、「葬儀価格の完全開示化」と「適正な葬儀費用の提示」を行い、旧来の葬儀社の慣習を打ち破ったことにある。
このため、葬儀単価についても全国平均と比較すると3割弱低い水準で推移している。
ここ数年の傾向として、核家族化の進行や高齢者の独居率上昇など生活スタイルが変化してきたことや、低価格戦略を展開する葬儀社が台頭してきたことなどを背景に、「一般葬儀」から「家族葬」へシフトし、葬儀単価についても全体的に低下傾向が続いている。
特に、2020年3月以降はコロナ禍を契機として、葬儀規模を縮小する動きが一段と強まり、同社のみならず業界全体の平均単価が大きく下落した。
2022年9月期の葬儀単価を見ると、同社は前期比2.9%減の81.3万円と低下傾向が続いた。
これは同社の地盤である愛知県でも新型コロナウイルスの感染者数が過去最多を更新するなど環境が再び悪化し、祭壇無しの「新型コロナウイルス対応プラン」等の比率が増加したことが一因となっている。
コロナ禍が沈静化している状況では84万円台まで回復する傾向にあり、当面は感染状況によって葬儀単価も変動する傾向が続きそうだ。


出店戦略ではドミナント出店により会館の相互補完性を高め、効率的に認知度向上を図りながら営業エリアを広げていく戦略を推進している。
1会館の商圏は直径3km、稼働率は約80%を目安としている。
会館の基本フォーマットは、建坪150~200坪(平屋1階建て~2階建て)で収容人員100~150人の式場1室(最近は規模に応じて間仕切りできるよう店舗の改修を進めている)に会食ルーム、親族控室を併設したタイプで、設備投資額は150~200百万円、投資回収期間は9~10年が目安となっている。


また、2018年9月期より新たな店舗形態として出店を開始した家族葬専用ホールは、基本フォーマットで建坪60坪(平屋1階建て)、収容人員30人規模の式場1室と会食ルーム、親族控室を併設したタイプとなる。
設備投資額は70百万円、投資回収期間は9年を目安としている。
家族葬専用ホールは既存ホールの商圏の隙間を埋めていく格好で出店を進めている。
そのほか、2016年9月期より東京都内で葬儀相談サロンを出店している。
東京都内は土地や家賃が高い一方で、葬儀単価が全国平均を下回る水準であること、火葬場と併設する貸式場が多いことなどから、式場を自社で保有・運営するよりも貸式場を活用した方が効率的に事業を拡大できるとの判断による。
現在は荒川区や葛飾区など23区内の中でも北東部エリアで出店を進めている。
サロンについては東京都以外にも大阪府で直営、FC各1店舗を出店している。


(2) 同社の強み
同社の強みは、他社に真似のできない人財教育システムにある。
「ティアアカデミー」と呼ばれる人財教育システムでは、新卒入社の新人社員に対して入社後6ヶ月間、社会人としての基礎研修だけでなく、セレモニーディレクターとしての教育※、徳育的観点からの「命」や「心」に関しての教育などを実施している。
現場配属後も、OJTだけでなく3ヶ月に1度は社長セミナーを受講しており、葬儀業である前に「究極のサービス業」であることを認識し、「ご遺族に対して最高のおもてなし」により「感動」を与えられる社員になれるよう心の教育を行っている。
また、客観的な判断基準として、社内検定試験を等級別に7段階に分けて実施しており、個々の社員の能力を把握できるようにしている。
こうした人財教育システムが同社の質の高いサービスを作り上げており、競争力を支える源泉となっている。


※葬儀の依頼を受ける際の「打ち合わせ」、通夜・葬儀の際の会場設営、ロールプレイング、OJTによる施行立会い。



なお、同社は人財教育の充実を図るべく教育専用施設「ティア・ヒューマンリソース・センター(以下、THRC)」を本社隣接地に2019年に開設した。
同施設は5階建てで1階は業務車両の駐車場スペース、2階はコンタクトセンター及び夜勤専門職等事務所、3~4階が研修施設となっている。
3階にはモデル葬儀式場を整備しており、研修で模擬体験を繰り返し行うことで葬儀施行技術習得期間の短縮とサービス品質の向上に取り組んでいる。
従来は主に各店舗でのOJTで技術習得を行っていたため、一度に育成できる人数が限られ時間も掛かっていたが、「THRC」の開設によって多数の人財育成が短期間で可能となり(=新規出店余力の増大)、葬儀業の理解度をより深めることで定着率の向上に取り組んでいる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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