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アジア投資 Research Memo(1):2023年3月期通期は減額修正も、前期比では増収増益の見通し

発行済 2022-12-07 16:21
更新済 2022-12-07 16:45
■要約

1.会社概要
日本アジア投資 (TYO:8518)は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、プライベートエクイティ投資(以下、PE投資)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資を手掛けている。
1981年に(公社)経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。
革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。
同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は16,787百万円(10ファンド)、同社グループの自己資金及び運用ファンドによる投融資残高は13,618百万円となっている(2022年9月末時点)。
PE投資については、VC業界を取り巻く環境が変化するなかで、新たなファンド設立に苦戦しており、投資残高もほぼ横ばいで推移している。
ただ、ここ数年はプロジェクト投資に積極的に取り組み、パートナー企業への戦略投資(PE投資)でも成果をあげている。


2. 2023年3月期上期の業績
2023年3月期上期の業績(ファンド連結基準※)は、営業収益が前年同期比9.3%増の1,112百万円、営業損失が488百万円(前年同期は413百万円の損失)となった。


※同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。
ただ、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。
同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。



従来連結基準では、営業収益が前年同期比75.8%増の669百万円、営業損失が598百万円(前年同期は496百万円の損失)と増収ながら損失幅が拡大した。
また、期初見込値(及び8月12日公表の修正見込値)に対しても、営業収益、各利益ともに下回る着地となっている。
国内上場株式の売却やプロジェクト投資(メガソーラープロジェクト1件)の売却が増収に寄与した。
営業収益が見込値を下回った主な要因は、予定していたIPOの期ずれによる影響のほか、株価低迷に伴う国内上場株式の一部売却の見合わせなどが理由である。
さらに損益面では、それらに伴う営業収益の下振れに加え、投資先に対する引当金の増加や植物工場(プロジェクト投資)の黒字化の遅れなどにより損失幅が拡大した。
一方、活動面については、プロジェクト投資の売却や積み上げ、新規事業開発などでも一定の成果をあげることができた。


3. 2023年3月期の業績見通し
同社は、業績予想(ファンド連結基準)について、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難である事業特性であることから公表を行っていない。
ただ、2023年3月期については、ある一定の前提をもとに策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示している。


同社は、2022年11月14日に2023年3月期の期初見込値の修正を公表した。
その結果、営業収益を前期比30.7%増の3,150百万円(期初見込比150百万円増)、営業利益を同270.6%増の320百万円(期初見込比430百万円減)と、特に利益面で大幅な減額修正を行ったものの、前期比では増収増益を確保する見通しとなっている。
下期についても、予定していたIPOの売却時期がロックアップ規制により来期となったことや、既存の上場株式の株価が想定を下回っていることにより、売却益が大きく下振れる一方、未上場株式の売却益については上振れる見込みとなったこと、プロジェクトの売却が順調であることから、営業収益は期初見込値を上回る見通しとなった。
損益面では、利益率の高い上場株式の売却が来期にずれ込んだ影響に加え、引当金の増加や植物工場の黒字化の遅れなどにより、営業利益は期初の見込値を下回る想定となっている。
それでも、順調に進んでいるプロジェクトの売却益などにより前期との比較では、大幅な増益を確保する見通しである。


4. 今後の方向性(中期経営計画の概要)
同社は、2022年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進している。
投資活動のコアバリューを「ベンチャー投資と特色有るアジアのネットワークを活用した日本とアジアの未来に貢献するSDGs投資」と位置付け、少子高齢化とポストコロナの日本の未来社会で生み出されるイノベーションから創出される事業を見出し、投資活動を通じて成長を支援する方針である。
もっとも、基本的な投資方針に大きな変更はなく、戦略投資とプロジェクト投資によりバランスシートの早期改善と安定した収益の造成を図るとともに、ベンチャー投資により高い収益性の確保を目指す内容となっている。
最終年度となる2024年3月期にはフィー収益とプロジェクトの収益で管理コストを賄う一方、変動の大きな「PE投資」の収益により超過利益(アップサイド)を狙うシナリオであり、営業総利益で22億円、最終利益で8.5億円を計画している。


■Key Points
・2023年3月期上期の業績(従来連結基準)は、株価低迷に伴う上場株式売却の一部見合わせ等により計画を下回る着地
・2023年3月期の利益予想についても減額修正。
IPOの売却時期の期ずれや株価低迷による株式売却益の下振れが主因
・一方、活動面ではプロジェクト投資の売却や積み上げ、新規事業開発などが着実に進展
・2022年3月期より中期経営計画を推進。
前中計の投資方針をさらに推し進めるとともに、SDGsを強く意識した投資活動に取り組む方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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