[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米国株式市場は、銀行部門の流動性に対する懸念が和らいたことを背景に急伸して終了した。市場では0.25%ポイントの利上げが予想されている米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されている。
主要3株価指数はいずれもプラス圏で終了。セクター別ではエネルギー、一般消費財、金融が上昇率上位に入った。
銀行株は3.6%高、KBW地方銀行株は4.8%高となり、どちらも昨年終盤以来の大幅高を演じた。ただ、米地銀2行の破綻や大手銀による中堅銀行ファースト・リパブリック・バンクの支援などを背景とする金融システム不安拡大への懸念で前週まで大きく売られていたため、銀行株指数は月初からはなお18%余り安い。
ウェルススパイア・アドバイザーズのシニアバイスプレジデント、オリバー・パーシェ氏は「株式市場は銀行危機が実は全く危機ではなく、一握りの銀行に限定された事象だと気づきつつある」と指摘。「官民ともに、脆弱な金融機関の安全網や支えとなることが可能だと十二分に示してきた」と述べた。
イエレン米財務長官は全米銀行協会向けの講演原稿で、米国の銀行システムは、規制当局の強力な措置により安定しつつあるものの、中小金融機関が「取り付け」と呼ばれる預金の大量流出に見舞われた場合は、預金者保護に向けた一段の措置が正当化されるとの認識を示した。
注目される21━22日のFOMCでの決定については、CMEのフェドウォッチによると、短期金融市場が織り込む0.25%ポイント利上げの確率は83.4%、金利据え置きの確率は16.6%となっている。
パーシェ氏は、市場がパウエルFRB議長の経済やインフレに関する発言に注目しており、銀行の問題が少数の銀行の経営のまずさに起因していると国民を納得させられるかが焦点になると述べた。
ファースト・リパブリック・バンクは29.5%急騰し、過去最大の上昇率となった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が主導する形で大手行がファースト・リパブリックへの出資について協議している。
他の地銀も買われ、パックウエストは18.8%高、ウエスタン・アライアンス・バンコープは15.0%高で引けた。
電気自動車(EV)大手テスラは7.8%上昇。中国の自動車登録の四半期統計で好調な結果が見込まれている。
米取引所の合算出来高は117億5000万株。直近20営業日の平均は126億3000万株。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を3.22対1の比率で上回った。ナスダックでも2.73対1で値上がり銘柄数が多かった。
終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード
ダウ工業株30種 32560.60 +316.02 +0.98 32420.71 32593.68 32346.12
前営業日終値 32244.58
ナスダック総合 11860.11 +184.57 +1.58 11764.79 11879.16 11724.91
前営業日終値 11675.54
S&P総合500種 4002.87 +51.30 +1.30 3975.89 4009.08 3971.19
前営業日終値 3951.57
ダウ輸送株20種 13993.97 +229.26 +1.67
ダウ公共株15種 909.10 -22.36 -2.40
フィラデルフィア半導体 3116.89 +2.17 +0.07
VIX指数 21.38 -2.77 -11.47
S&P一般消費財 1131.84 +29.89 +2.71
S&P素材 489.45 +5.93 +1.23
S&P工業 835.38 +9.32 +1.13
S&P主要消費財 759.84 -0.94 -0.12
S&P金融 532.33 +13.18 +2.54
S&P不動産 227.29 -1.50 -0.66
S&Pエネルギー 617.60 +20.62 +3.45
S&Pヘルスケア 1490.34 +8.79 +0.59
S&P通信サービス 187.93 +4.49 +2.45
S&P情報技術 2527.62 +20.88 +0.83
S&P公益事業 333.62 -7.00 -2.05
NYSE出来高 11.96億株
シカゴ日経先物6月限 ドル建て 27185 + 515 大阪比
シカゴ日経先物6月限 円建て 27110 + 440 大阪比