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バードマン Research Memo(3):MX事業が収益の土台を築きながら、2021年からエンタメ市場へ進出(1)

発行済 2023-04-28 15:43
更新済 2023-04-28 15:46
© Reuters
*15:43JST バードマン Research Memo(3):MX事業が収益の土台を築きながら、2021年からエンタメ市場へ進出(1) ■事業概要と市場動向

1. 広告市場概要
電通が2023年2月24日に公表した「2022年日本の広告費」によると、2022年の日本の広告市場は前年比4.4%増の7兆1,021億円となり、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)前の2019年を超え、1947年に推定を開始して以来、過去最高となった(それまでの過去最高は2007年の7兆191億円)。
特に、社会のデジタル化を背景に、インターネット広告費が広告市場全体を牽引しており、2022年のインターネット広告費は前年比14.3%増の3兆912億円と、日本の広告市場において43.5%を占めるまでに至っている。
インターネット広告費は市場規模が2兆円を超えた2019年からわずか3年間で約1兆円もの増加幅となっており、インストリーム広告(YouTubeなどの媒体を通じて動画の再生前後や途中に表示される広告のことで、特定のジャンルの動画を視聴しているユーザーをターゲットとして配信される動画広告)を中心とした動画広告需要の高まりに加え、デジタルプロモーションの拡大も市場成長に寄与している。


日本の広告市場は、(1)マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算、それぞれの広告費には製作費も含まれる)、(2)インターネット広告費(インターネット広告媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費の合算)、(3)プロモーションメディア広告費(屋外、交通、折込、ダイレクトメール、フリーペーパー、POP、イベント・展示・映像ほかの合算)の3つに大別されるが、2022年の市場規模をみると、インターネット広告費が大きく増加しているのに対して、マスコミ四媒体広告費は前年比2.3%減の2兆3,985億円、プロモーションメディア広告費は同1.7%減の1兆6,124億円といずれも前年割れとなっている。
過去からの媒体別の広告市場の推移をみると、2019年にインターネット広告がテレビ広告市場を超え、2021年にはマスコミ四媒体広告費を上回るなど、コロナ禍でデジタルシフトが大きく進んだことも後押しして、既存の広告市場が低迷し、インターネット広告が拡大するトレンドが顕著である。


インターネット広告が拡大している要因としては、(1)広告に対する効果測定や、顧客ターゲットの絞り込みが容易であること、(2)テレビや新聞などと比べると広告費が安価に設定でき、まとまった資金の準備が難しい中小企業でも活用しやすいことなどが挙げられる。
従来のテレビや新聞が不特定多数の人に対して宣伝を行う手法であったため、認知度を向上させるというメリットはあるものの、広告効果の測定が難しいうえ、広告費も高額になるために資本力のある一部の大手企業しか積極的な活用が難しかったが、インターネット広告の普及により、広告の表示やクリック回数、サイト誘導後の閲覧者の行動、性別や年齢もリアルタイムで詳細に分析することができ、閲覧者の興味や関心にあわせた広告配信が低予算で可能となる。
そのため、従来のメディアよりも高い費用対効果を得られやすい強みがある。


2. 広告代理店の果たす役割の変化とBirdman (TYO:7063)のポジショニング
テレビなどのマス広告が衰退する一方で、インターネット広告の成長が続くなど、広告代理店業界を取り巻く環境は変化しており、広告代理店が従来型の広告モデルのまま成長を続けることが困難になりつつある。
これは、(1)広告主側におけるインハウス化(デジタル広告の伸長にあわせて、社内に広告やマーケティング関連の部署を設立・拡大する動き。
企業が自前で広告を運営すれば代理店に委託する必要がなくなり、代理店にとっての市場縮小を意味する)、(2)デジタルマーケティング分野におけるGoogleやFacebookなど超大手媒体の台頭(多くの企業がインターネット広告をする際、超大手媒体を選択、特にGoogle Adsが台頭したことで、広告主がネット広告を出稿する際の選択肢が狭まっている。
既に巨大なシェアを持つ大手媒体があるなかで他の広告媒体が事業を拡大するのは容易ではない)、(3)コンサル業界との競合(アクセンチュア (NYSE:ACN)が(株)アイ・エム・ジェイを傘下に収めて吸収合併するなど、近年、デジタル分野を中心に広告代理店が担っていた事業にコンサル会社が進出するケースが目立っている。
これは単にデジタル広告を出稿するだけでなく、ユーザー行動の分析や課題解決など、コンサル会社の得意分野へ需要があるため)、などが背景として挙げられるためである。


このような業界環境の変化を踏まえると、広告業界のなかで他社と差別化し、高い成長を続けていくためには今まで以上に独自色を出していく必要があるだろう。
同社は「戦略構築」「世界的に評価の高いクリエイティブ」「デジタル・テクノロジーへの知見」を強みと捉えており、これらを生かして広告業界における第三極を目指す方針を打ち出している。
大手の広告代理店は、事業戦略、マーケティング戦略から効果検証まで一気通貫で依頼可能である点が強みである一方、制作や企画などは下請けに出している部分も多くあるため、費用が嵩むことがある。
また、テレビCMを中心としたマス広告の優先度が高いことから当初から大規模な予算を用意する必要があるため、これらにマッチしないクライアントとしては、これらの事業戦略、マーケティング戦略、効果検証などのプロセスごとに専門会社へばらばらに依頼する必要がある、というのが現在の広告業界の主流となっている(例えば、マーケティング戦略はコンサル会社へ、プロダクト開発やUI/UXは制作会社やデザインファームへ、PR戦略は一般の広告代理店やPR専業会社へそれぞれ個別に依頼するなど)。
そのため、クライアントとしては、(1)複数の会社へ依頼しなければならず、戦略の一貫性が担保できない、(2)発注先が多くなることで担当窓口が増え、管理コストが高くなる傾向がある、(3)個別に発注することになるため、発注金額のグロスメリットが発揮しにくく、全体でみると大手の広告代理店に発注するのとあまり変わらなくなることがあるといった課題を抱えている。


同社ではこのような業界構造の変化やクライアント側の課題感を把握し、従来型の広告代理店が果たしにくい領域を同社の価値提供領域とし、差別化されたポジショニングを築いているのが強みである。
具体的には、(1)一気通貫したサービス提供により戦略の一貫性を担保、(2)マス広告に依存しない課題解決型の手法により広告の費用対効果を最大化、(3)グロスメリットによりコストパフォーマンスの良いサービスが提供可能、(4)世界水準のクリエイティブ力を保有、の4つが挙げられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)

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