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スカラ Research Memo(8):M&A効果によりIT/AI/IoT/DX事業の売上収益は大幅増収に(2)

発行済 2023-09-12 12:28
更新済 2023-09-12 12:31
© Reuters.
*12:28JST スカラ Research Memo(8):M&A効果によりIT/AI/IoT/DX事業の売上収益は大幅増収に(2) ■スカラ (TYO:4845)の業績動向

(4) EC事業
EC事業の売上収益は前期比29.2%増の2,138百万円、営業利益は同32.2%増の316百万円、Non-GAPP指標での全社費用配賦前営業利益は同34.9%増の379百万円と2ケタ増収増益が続き、過去最高業績を更新した。
ポケモンカードなどトレーディングカードの市場規模が年々拡大するなかで、SEOをはじめとしたデジタルマーケティングの取り組みにより、ECサイト「カードショップ - 遊々亭 -」の会員数が前期末の188千人から241千人と順調に増加したことが、好調な業績につながった。
2023年5月にはAndroidアプリをリリースしたことで利用者数もさらに増加しており、第4四半期の売上高は前年同期比34.7%増の594百万円、営業利益は同65.1%増の104百万円と過去最高を更新するなど、高成長がしばらく続く勢いとなっている。


(5) 保険事業
保険事業の売上収益は前期比175.2%増の1,245百万円、営業損失は196百万円(前期は28百万円の損失)となり、Non-GAPP指標での全社費用配賦前営業損失も160百万円(同28百万円の損失)となった。
前第4四半期から連結化したため売上収益は増収となっているが、四半期ベースで見ると300百万円強の水準が続いた。
連結前の2021年3月期の収益水準が経営収益で1,773百万円だったことからすると、規模はやや縮小した格好となっている。
同社は、2023年6月期を収益力強化のための先行投資期間と位置づけ、販売体制や商品の見直しだけでなく、ホームページのリニューアルやマーケティング投資など各種施策に取り組み、また、一時費用として責任準備金を積み立てたことも損失計上の一因となった。


販売力強化のため、販売効率の悪い代理店(契約継続率の低い代理店)の整理と新たな代理店の獲得を1~2年かけて進める予定である。
また、保険損害率(支払保険金÷収入保険料)についても、保険関連団体を通じてチェック機能を強化することで低減し、コスト抑制に取り組んでいる。
また、幅広い顧客ニーズに応えられるよう、大切なペットのさらなる安全安心を担保できる新商品の開発にも取り組んでおり、2025年6月期の営業利益黒字化を目標としている。


(6) 投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業の売上収益は前期比59.5%増の278百万円、営業損失は444百万円(前期は854百万円の損失)、Non-GAPP指標での全社費用配賦前営業損失は240百万円(同353百万円の損失)となった。
「逆プロポ」のマッチング数が順調に増加したほか、森ビル(株)運営の「ARCH」に2022年に開設した「逆プロポ・Lab@ARCH」において2023年7月末までの10カ月で、延べ90自治体244名、延べ125社267名が訪れ官民の様々な交流が行われるなど、ネットワークの裾野が広がった。
また、自治体の社会課題をビジネス視点に翻訳して企業に提供し、事業創出を支援する「逆プロポ・コンシェルジュ」についても、京都市や磐田市、豊田市などから官民共創業務を受託するなど、多くの自治体が同サービスを利用した。
さらには、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたモデルケースの創出を目指し、伊丹市や飯南町、阪南市と「脱炭素に向けた地域循環共生に関する協定」を締結し、全国初の官民共創によるソーシャルクレジット創出に向けた取り組みを開始した。
売上収益への寄与はまだ小さいものの、これら共創案件のなかからシステム開発案件など受注機会が今後増えてくるものと期待される。


一方、法人向けワーケーションサービス※も自治体との包括連携協定締結や、関係団体、地域や事業者とのパートナーシップの強化により、サービス導入実績が広がり増収に貢献した。
利益面では、成長に向けた開発費用や人件費等の先行費用により損失が続いているものの、売上増並びに投資費用の減少により損失額は縮小した。
同事業セグメントには本社コストも含まれるため、2024年6月期も損失計上が続く見込みとなっている。


※好きな場所や新しい仕事を通じて、地域や人とつながる体験を提供するサービスで、主にワーケーション施設の紹介サイト「KomfortaWorkation」の運営を行っている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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