*12:22JST リニューアブルJ Research Memo(2):再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供
■会社概要
1. 会社概要
リニューアブル・ジャパン (TYO:9522)は、「持続可能なエネルギーを届け、生き生きと暮らせる未来を実現します」というビジョンの下、太陽光発電・風力発電・水力発電等の再生可能エネルギー発電所の開発、発電、運営・管理など、再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供している。
2012年1月に現 代表取締役社長の眞邉勝仁(まなべかつひと)氏によって設立され、東急不動産(株)、ENEOSホールディングス (TYO:5020)、関西電力 (TYO:9503)との再生可能エネルギー事業領域における資本業務提携などにより事業を拡大し、2021年12月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場した(2022年4月の同市場区分見直しに伴い、グロース市場へ移行)。
2023年12月期第2四半期末時点の累計実績は、稼働済み発電所142件・ネット設備容量381.6MW、O&M設備容量1,581.8MWと、豊富な実績を有する。
市場環境としては、国内の再生可能エネルギーのうち太陽光発電導入量は、2019年度の55.8GWから2030年度には103.5~117.6GWと、約2倍の市場に拡大する見込み※で、今後も再生可能エネルギー市場はより一層拡大していく見通しだ。
※出所:資源エネルギー庁「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討」及び「第6次エネルギー基本計画」
2. 事業内容と強み
(1) 事業内容
同社は再生可能エネルギーの開発(発電)事業者として、開発/技術、金融、発電/運営まで、再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供している。
再生可能エネルギー事業の単一セグメントであるが、「開発」「EPC※」「資金調達・案件売却」「AM」「O&M」「発電」からなる。
※再生可能エネルギー発電設備の設計(Engineering)、再生可能エネルギーの発電設備の工事部材調達(Procurement)及び再生可能エネルギー発電施設の建設(Construction)の略であり、主に電気工事のことを指す。
a) 開発
同社の地域拠点を活用し、地域に根ざした情報収集力を発揮して開発案件の情報を収集している。
具体的には地権者、地方公共団体、金融機関や機関投資家等から再生可能エネルギー発電所候補地に関する情報を得たのち、土地の広さや形状、日射量等様々なデータを確認し、再生可能エネルギー発電所としての適正や電力会社への効率的な接続の可能性を検証している。
事業性の検討段階(デューデリジェンス)を内製化することで開発力を高めている点が強みだ。
b) EPC
再生可能エネルギー発電設備の設計、部材の調達、協力企業の選定・調整、建設期間中の進捗・品質管理を独自に行っている。
特定建設業許可を取得しており、EPCの実績及びノウハウも豊富だ。
c) 資金調達・案件売却
開発した発電所または取得した発電所の一部を、私募ファンド等に売却することで売却収益を得ている。
また、同社は第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業の登録を受けており、自己資金や借入れのみならず、私募ファンドの組成等を含む多様な手法による資金調達・案件売却を行っている。
資金調達としては、従来型のプロジェクトファイナンス(ノンリコースローン)やメザニンファイナンスに加え、再生可能エネルギープロジェクトボンドを発行し、開発資金を調達している。
d) AM
SPC※が保有する再生可能エネルギー発電所の管理運営、収支管理、レポート作成、その他事務手続き等のAM業務を行っているほか、同社が組成した私募ファンド及び上場インフラファンドのAM業務を受託している。
※Special Purpuse Companyの略で、特別目的会社のこと。
企業が不動産など特定の資産を当該企業の信用リスクから切り離し、その特定の資産やプロジェクトのためだけに作られる会社。
e) O&M
再生可能エネルギー発電所を開発した地域やO&Mを請負った発電所がある地域に地域拠点を設置し、地元出身の社員が常駐することで、運転開始した発電所の管理運営等のO&M業務を行っている。
具体的には、遠隔監視を通じた発電所運転状況の確認、現地の巡視点検、稼働実績の報告、除草・除雪対応、周辺住民の窓口業務、主任技術者による保安管理、保安規定に定める年次点検・申請・報告など多岐にわたる。
f) 発電
再生可能エネルギー発電所が発電した電力を、主にFIT制度※に基づき一般送配電事業者等へ売電しており、安定した収益となっている。
※固定価格買取制度のこと。
太陽光発電等の再生可能エネルギー電源で発電した電気を、国が定める期間、固定価格で送配電事業者が買い取ることを義務付ける制度。
なお、同社の収益構造はフロー収入とストック収入に分かれる。
フロー収入は、発電所の開発報酬及びEPC報酬、ファンドへの発電所等売却収入となる。
一方でストック収入は、電力会社等から得られる売電収入とAM報酬やO&M報酬となる。
(2) 強み
再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供する同社は、「地域」「技術」「金融」の3つの強みを有している。
「地域」としては、同社の地域拠点を活用して開発案件の情報収集を行っているほか、開発過程では地域と共生する発電所の開発に取り組んでいる。
「技術」としては、特定建設業許可を生かした自社EPCと、低コスト・高クオリティのO&Mに強みがある。
「金融」としては、「エクイティ」「メザニン」「デット」など複数の資金調達を行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
1. 会社概要
リニューアブル・ジャパン (TYO:9522)は、「持続可能なエネルギーを届け、生き生きと暮らせる未来を実現します」というビジョンの下、太陽光発電・風力発電・水力発電等の再生可能エネルギー発電所の開発、発電、運営・管理など、再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供している。
2012年1月に現 代表取締役社長の眞邉勝仁(まなべかつひと)氏によって設立され、東急不動産(株)、ENEOSホールディングス (TYO:5020)、関西電力 (TYO:9503)との再生可能エネルギー事業領域における資本業務提携などにより事業を拡大し、2021年12月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場した(2022年4月の同市場区分見直しに伴い、グロース市場へ移行)。
2023年12月期第2四半期末時点の累計実績は、稼働済み発電所142件・ネット設備容量381.6MW、O&M設備容量1,581.8MWと、豊富な実績を有する。
市場環境としては、国内の再生可能エネルギーのうち太陽光発電導入量は、2019年度の55.8GWから2030年度には103.5~117.6GWと、約2倍の市場に拡大する見込み※で、今後も再生可能エネルギー市場はより一層拡大していく見通しだ。
※出所:資源エネルギー庁「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討」及び「第6次エネルギー基本計画」
2. 事業内容と強み
(1) 事業内容
同社は再生可能エネルギーの開発(発電)事業者として、開発/技術、金融、発電/運営まで、再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供している。
再生可能エネルギー事業の単一セグメントであるが、「開発」「EPC※」「資金調達・案件売却」「AM」「O&M」「発電」からなる。
※再生可能エネルギー発電設備の設計(Engineering)、再生可能エネルギーの発電設備の工事部材調達(Procurement)及び再生可能エネルギー発電施設の建設(Construction)の略であり、主に電気工事のことを指す。
a) 開発
同社の地域拠点を活用し、地域に根ざした情報収集力を発揮して開発案件の情報を収集している。
具体的には地権者、地方公共団体、金融機関や機関投資家等から再生可能エネルギー発電所候補地に関する情報を得たのち、土地の広さや形状、日射量等様々なデータを確認し、再生可能エネルギー発電所としての適正や電力会社への効率的な接続の可能性を検証している。
事業性の検討段階(デューデリジェンス)を内製化することで開発力を高めている点が強みだ。
b) EPC
再生可能エネルギー発電設備の設計、部材の調達、協力企業の選定・調整、建設期間中の進捗・品質管理を独自に行っている。
特定建設業許可を取得しており、EPCの実績及びノウハウも豊富だ。
c) 資金調達・案件売却
開発した発電所または取得した発電所の一部を、私募ファンド等に売却することで売却収益を得ている。
また、同社は第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業の登録を受けており、自己資金や借入れのみならず、私募ファンドの組成等を含む多様な手法による資金調達・案件売却を行っている。
資金調達としては、従来型のプロジェクトファイナンス(ノンリコースローン)やメザニンファイナンスに加え、再生可能エネルギープロジェクトボンドを発行し、開発資金を調達している。
d) AM
SPC※が保有する再生可能エネルギー発電所の管理運営、収支管理、レポート作成、その他事務手続き等のAM業務を行っているほか、同社が組成した私募ファンド及び上場インフラファンドのAM業務を受託している。
※Special Purpuse Companyの略で、特別目的会社のこと。
企業が不動産など特定の資産を当該企業の信用リスクから切り離し、その特定の資産やプロジェクトのためだけに作られる会社。
e) O&M
再生可能エネルギー発電所を開発した地域やO&Mを請負った発電所がある地域に地域拠点を設置し、地元出身の社員が常駐することで、運転開始した発電所の管理運営等のO&M業務を行っている。
具体的には、遠隔監視を通じた発電所運転状況の確認、現地の巡視点検、稼働実績の報告、除草・除雪対応、周辺住民の窓口業務、主任技術者による保安管理、保安規定に定める年次点検・申請・報告など多岐にわたる。
f) 発電
再生可能エネルギー発電所が発電した電力を、主にFIT制度※に基づき一般送配電事業者等へ売電しており、安定した収益となっている。
※固定価格買取制度のこと。
太陽光発電等の再生可能エネルギー電源で発電した電気を、国が定める期間、固定価格で送配電事業者が買い取ることを義務付ける制度。
なお、同社の収益構造はフロー収入とストック収入に分かれる。
フロー収入は、発電所の開発報酬及びEPC報酬、ファンドへの発電所等売却収入となる。
一方でストック収入は、電力会社等から得られる売電収入とAM報酬やO&M報酬となる。
(2) 強み
再生可能エネルギーに関する事業全般を一気通貫で提供する同社は、「地域」「技術」「金融」の3つの強みを有している。
「地域」としては、同社の地域拠点を活用して開発案件の情報収集を行っているほか、開発過程では地域と共生する発電所の開発に取り組んでいる。
「技術」としては、特定建設業許可を生かした自社EPCと、低コスト・高クオリティのO&Mに強みがある。
「金融」としては、「エクイティ」「メザニン」「デット」など複数の資金調達を行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)