*15:17JST ネットイヤー Research Memo(7):アライアンス戦略により新規顧客及び市場を開拓し、収益成長を目指す(1)
■今後の見通し
2. 成長戦略
(1) アライアンス戦略
今後の成長戦略として、既存事業の強化に加えてアライアンス戦略による新規サービスの開発・育成を推進する。
既存事業においてはNTTデータとの協業を中心に、ネットイヤーグループ (TYO:3622)の強みであるCX向上のためのWebサイトのデザイン設計・制作案件の受注獲得を図るほか、難易度の高い顧客ニーズに応えられるだけのスキルを持つエンジニアを数多く育成することで、受注能力を拡大する方針だ。
例えば、同社はCX向上のためのデザイン設計や開発のノウハウは豊富に持っているが、AIやビッグデータを用いて効率的に売上拡大を実現するような最先端のデジタルマーケティング技術に関するノウハウを持つ人材は少なく、受注機会の逸失につながっていた。
このため、今後はこうした高度なスキルを持つ人材の採用や育成に注力すると同時に、アライアンスによって外部リソースを活用することで受注拡大につなげる戦略だ。
また、現在はシステム構築などフロー型ビジネスが売上の大半を占めるが、収益の安定性向上を図るため、ストック型ビジネスとなるプロダクト開発を進めサービス収入の売上比率を高めることに注力する方針である。
なお、アライアンスの取り組みとして2023年9月にFLUXとの共同開発、Hexabaseとの資本提携契約、米behamics, Inc.との国内における代理店契約を締結した。
a) FLUXとの共同開発
FLUXはAI・データ活用領域に強みを持つスタートアップ企業で、同社が持つWebサイトにおけるUX/UIデザインの知見(累計3万社超の実績)と、FLUXが持つノーコードプラットフォーム「FLUX AI」を融合し、AIを活用したWebサイト構築をはじめとする「次世代型マーケティングプラットフォーム」を共同開発することを発表した。
同プラットフォームは、Webサイトの制作やリニューアル、デジタルマーケティング施策等の業務を生成AI技術で大幅に効率化でき、多くの企業で抱える「デジタル人材不足」の課題を解決するソリューションとなる。
具体的には、Webサイトはノーコードで構築できるため、HTMLやCSSをはじめとする専門知識を持つ人材に頼る必要がないほか、同プラットフォームにはデータ基盤・ホスティングサービスが含まれるため、コンテンツのデータやサーバー管理といった専門技術を要する人材に頼らず運用することも可能といった点が挙げられる。
こうした特徴を生かして、同社では「デジタル人材」の不足という経営課題を抱える中堅・中小企業を顧客ターゲットに拡販する戦略だ。
2024年3月期中にPoC(実証実験)を実施し、2025年3月期から本格的にサービスを展開する計画である。
b) Hexabaseとの資本提携
2023年9月に資本提携契約を締結したHexaBaseは、企業が新規事業を立ち上げる際に必要となるシステムの開発基盤をクラウドサービスとして提供する、いわゆるBaaS(Backend As a Service)企業である。
Hexabaseが提供するBaaS「Hexabase」は、エンジニアがバックエンドのコーディングなしで本格的なWebシステムを開発することが可能で、OSS※による先進的なマイクロサービス基盤により、業務プロセスやビジネスニーズに応じた多様なバックエンド機能をクラウドサービスとして一元的に提供する。
顧客企業は同サービスを利用することで、アプリケーションのバックエンドをゼロから構築したり、運用する必要がなくなり、フロントエンド(UI)の設計と機能開発に集中できるため、新規サービスを立ち上げるまでの期間を大幅に短縮することができる。
また、継続的な改善を行いながら、ビジネス要件に最適かつ効率的なシステムを構築・展開することが可能になる。
※OSS(Open Source Software):ソースコードが公開されており、誰でも自由に閲覧、変更、配布することが可能なソフトウェア。
今回の資本提携は、Hexabaseの高い技術力を採用したプロダクト開発で事業領域の拡大と収益化モデルを構築するとともに、エンジニアリング領域における人材獲得と育成により、市場に新しい価値を提供しさらなる成長につなげることが狙いだ。
まずは、同社が手掛けるフロントエンド領域と「Hexabase」のサービスをセットにして顧客に提案することで、今まで取りこぼしていた見込み案件の受注成約率を高める方針である。
既に営業活動も連携を始めており、今後の受注拡大につなげる取り組みとして注目される。
c) AIプラットフォームベンダーの米behamicsと国内代理店契約締結
米国のAIプラットフォームベンダーであるbehamics(ベハミクス)と2023年9月に国内初の代理店契約を締結した。
BehamicsはECサイトのパフォーマンスをAIで分析し、収益を向上させることに特化したEC向けSaaS AIプラットフォームを提供している。
サービスの特徴としては、1) ECサイト上で商品閲覧中のユーザーに対して、正しく購入の意思決定を下せるように追加情報とリマインダーをポップアップで表示する機能、2) AIによって技術的及びパフォーマンスの問題を検出し、見つけにくいバグを自動的に発見する機能、3) AI分析によって迅速に収益増減の理由が把握できる機能、の3つがある。
同社はEC分野において「Shopify」の導入支援を手掛けており、behamicsのサービスも併せて提案することで、顧客のECビジネスの早期収益化を支援するとともに、EC分野における受注拡大につなげる考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
2. 成長戦略
(1) アライアンス戦略
今後の成長戦略として、既存事業の強化に加えてアライアンス戦略による新規サービスの開発・育成を推進する。
既存事業においてはNTTデータとの協業を中心に、ネットイヤーグループ (TYO:3622)の強みであるCX向上のためのWebサイトのデザイン設計・制作案件の受注獲得を図るほか、難易度の高い顧客ニーズに応えられるだけのスキルを持つエンジニアを数多く育成することで、受注能力を拡大する方針だ。
例えば、同社はCX向上のためのデザイン設計や開発のノウハウは豊富に持っているが、AIやビッグデータを用いて効率的に売上拡大を実現するような最先端のデジタルマーケティング技術に関するノウハウを持つ人材は少なく、受注機会の逸失につながっていた。
このため、今後はこうした高度なスキルを持つ人材の採用や育成に注力すると同時に、アライアンスによって外部リソースを活用することで受注拡大につなげる戦略だ。
また、現在はシステム構築などフロー型ビジネスが売上の大半を占めるが、収益の安定性向上を図るため、ストック型ビジネスとなるプロダクト開発を進めサービス収入の売上比率を高めることに注力する方針である。
なお、アライアンスの取り組みとして2023年9月にFLUXとの共同開発、Hexabaseとの資本提携契約、米behamics, Inc.との国内における代理店契約を締結した。
a) FLUXとの共同開発
FLUXはAI・データ活用領域に強みを持つスタートアップ企業で、同社が持つWebサイトにおけるUX/UIデザインの知見(累計3万社超の実績)と、FLUXが持つノーコードプラットフォーム「FLUX AI」を融合し、AIを活用したWebサイト構築をはじめとする「次世代型マーケティングプラットフォーム」を共同開発することを発表した。
同プラットフォームは、Webサイトの制作やリニューアル、デジタルマーケティング施策等の業務を生成AI技術で大幅に効率化でき、多くの企業で抱える「デジタル人材不足」の課題を解決するソリューションとなる。
具体的には、Webサイトはノーコードで構築できるため、HTMLやCSSをはじめとする専門知識を持つ人材に頼る必要がないほか、同プラットフォームにはデータ基盤・ホスティングサービスが含まれるため、コンテンツのデータやサーバー管理といった専門技術を要する人材に頼らず運用することも可能といった点が挙げられる。
こうした特徴を生かして、同社では「デジタル人材」の不足という経営課題を抱える中堅・中小企業を顧客ターゲットに拡販する戦略だ。
2024年3月期中にPoC(実証実験)を実施し、2025年3月期から本格的にサービスを展開する計画である。
b) Hexabaseとの資本提携
2023年9月に資本提携契約を締結したHexaBaseは、企業が新規事業を立ち上げる際に必要となるシステムの開発基盤をクラウドサービスとして提供する、いわゆるBaaS(Backend As a Service)企業である。
Hexabaseが提供するBaaS「Hexabase」は、エンジニアがバックエンドのコーディングなしで本格的なWebシステムを開発することが可能で、OSS※による先進的なマイクロサービス基盤により、業務プロセスやビジネスニーズに応じた多様なバックエンド機能をクラウドサービスとして一元的に提供する。
顧客企業は同サービスを利用することで、アプリケーションのバックエンドをゼロから構築したり、運用する必要がなくなり、フロントエンド(UI)の設計と機能開発に集中できるため、新規サービスを立ち上げるまでの期間を大幅に短縮することができる。
また、継続的な改善を行いながら、ビジネス要件に最適かつ効率的なシステムを構築・展開することが可能になる。
※OSS(Open Source Software):ソースコードが公開されており、誰でも自由に閲覧、変更、配布することが可能なソフトウェア。
今回の資本提携は、Hexabaseの高い技術力を採用したプロダクト開発で事業領域の拡大と収益化モデルを構築するとともに、エンジニアリング領域における人材獲得と育成により、市場に新しい価値を提供しさらなる成長につなげることが狙いだ。
まずは、同社が手掛けるフロントエンド領域と「Hexabase」のサービスをセットにして顧客に提案することで、今まで取りこぼしていた見込み案件の受注成約率を高める方針である。
既に営業活動も連携を始めており、今後の受注拡大につなげる取り組みとして注目される。
c) AIプラットフォームベンダーの米behamicsと国内代理店契約締結
米国のAIプラットフォームベンダーであるbehamics(ベハミクス)と2023年9月に国内初の代理店契約を締結した。
BehamicsはECサイトのパフォーマンスをAIで分析し、収益を向上させることに特化したEC向けSaaS AIプラットフォームを提供している。
サービスの特徴としては、1) ECサイト上で商品閲覧中のユーザーに対して、正しく購入の意思決定を下せるように追加情報とリマインダーをポップアップで表示する機能、2) AIによって技術的及びパフォーマンスの問題を検出し、見つけにくいバグを自動的に発見する機能、3) AI分析によって迅速に収益増減の理由が把握できる機能、の3つがある。
同社はEC分野において「Shopify」の導入支援を手掛けており、behamicsのサービスも併せて提案することで、顧客のECビジネスの早期収益化を支援するとともに、EC分野における受注拡大につなげる考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)