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ティムコは調整一巡、24年11月期1Q赤字だが通期は2桁営業増益・大幅増配予想

発行済 2024-04-24 09:24
更新済 2024-04-24 09:36
© Reuters.  ティムコは調整一巡、24年11月期1Q赤字だが通期は2桁営業増益・大幅増配予想

[日本インタビュ新聞社] -  ティムコ<7501>(東証スタンダード)はフィッシング用品およびアウトドア用品の企画・開発・販売を展開している。フィッシング用品分野ではフライフィッシングのパイオニアであり、アウトドア用品分野ではオリジナル衣料ブランドFoxfireを主力としている。収益力向上に向けた基本戦略として顧客接点の強化、EC分野の拡大、海外への展開を推進している。なお4月23日には「C&A北広島店」が「アルトラーチェ北広島店」とともにグランドオープンした。24年11月期第1四半期は減収で赤字だったが、通期の増収・2桁営業増益予想、大幅増配(記念配当を含む)予想を据え置いている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は第1四半期業績を嫌気する形となったが、大きく下押す動きも見られない。1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■フィッシング用品およびアウトドア用品の企画・販売

 フィッシング用品(ルアーフィッシング用品、フライフィッシング用品)およびアウトドア用品(アウトドア衣料・用品)の企画・開発・販売事業を展開している。

 フィッシング用品の分野では、日本では歴史の浅いフライフィッシングのパイオニアであり、竿から衣料品に至るまで全てのフライ用品を取り扱う唯一の企業であることなどを特徴・強みとしている。アウトドア用品の分野では、自社オリジナルブランドのアウトドア衣料ブランドFoxfireを主力としている。

 23年11月期のセグメント別売上高はフィッシング事業が9億03百万円、アウトドア事業が24億79百万円、その他(不動産賃貸収入)が20百万円、セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)はフィッシング事業が1億16百万円、アウトドア事業が1億85百万円、その他が9百万円、全社費用等調整額が▲1億94百万円だった。

 全社ベースの売上高の新製品比率は59.7%、自社企画品比率は93.4%、国内自社通販売上高はFoxfire会員制度本格稼働の効果により前期比19.3%増の1億12百万円、輸出売上(フライ用品が中心)比率は3.7%、仕入の輸入比率は15.2%だった。

■顧客接点の強化、EC分野の拡大、海外展開を推進

 中期的な目標値としては、26年11月期売上高41億79百万円、営業利益2億79百万円、営業利益率6.7%、1株当たり利益(EPS)67円80銭、株主資本利益率(ROE)3.4%を掲げている。

 重点課題として、BRAND(ブランド力を高めるための戦略強化)、NET(インターネット活用を前提とする仕組の強化)、GLOBAL(世界に通用することを目指す商品・仕組の構築)を掲げ、基本戦略として顧客接点の強化、EC分野の拡大、海外への展開を推進している。

 顧客接点の強化では、SNSやHPなどによる情報発信の強化、会員制度の拡充、イベントやスクールなどの充実などの施策により、現在(23年11月期)約4万人の会員数を3年後に約7万人、5年後に約10万人へ拡大することを目指す。

 EC分野の拡大では、TIMCOホームページのリニューアル、全アイテムの自社ECスタート、グローバルECの展開などの施策により、現在(同)約7.6%のEC比率(自社+自社管理取引)を3年後に12.8%へ、さらに将来的には25%へ引き上げることを目指す。

 海外への展開では、フライ用品のグローバルブランド化、ルアー用品の欧米市場向け拡大、フライ用品・ルアー用品のアジア圏への展開、Foxfireのグローバル展開などの施策により、現在(同)3.7%の輸出比率を3年後に7.5%へ、さらに将来的には20%へ引き上げることを目指す。

■スノーピークとの共同事業も推進

 19年4月に資本業務提携して第1位株主となったスノーピーク<7816>との共同事業も推進している。21年11月には同社、スノーピーク、アイビック、アイビック食品の4社共同で新会社キャンパーズアンドアングラーズ(札幌市、以下C&A)を設立した。新たなアウトドアカルチャーの価値創造を目的として、キャンプ・フィッシング・食を融合した体験型施設などを展開する。23年9月にはC&Aが体験型アウトドアショップ第1号店「C&A北広島店」(北海道北広島市)をオープンした。さらに4月23日には「C&A北広島店」が、ジェラート&ピザの人気店であるレストラン「アルトラーチェ北広島店」とともにグランドオープンした。

 また23年4月には、複合リゾート「エンゼルフォレスト白河高原」内に、初となるフィッシングエリア併設直営店Foxfire白河高原を開業した。スノーピークの直営店スノーピーク白河高原とのコラボショップである。23年7月開業のスノーピーク直営キャンプフィールド「スノーピーク白河高原キャンプフィールド」において、新たなアウトドアスタイル「CAMP FISHING」を提案し、イベント共同開催なども計画している。

■スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書

 なお22年11月末時点の流通株式時価総額がスタンダード市場における上場維持基準に適合しない状況となったため、23年2月24日に上場維持基準適合に向けた計画書を公表した。企業価値の向上(時価総額の増大)に向けて業績の向上を図るため、以下の施策によって収益性の強化に取り組む。

 フィッシング事業では、新製品を中心とした販売促進、販促イベントの実施、SNSプロモーションの強化、初心者向け商品の開発強化、釣り人口拡大に向けたフライフィッシングスクール&ツアーの実施などを推進する。プロモーション活動を強化するため22年12月より組織体制を変更し、開発およびプロモーションを担う部署と営業に特化した部署に切り分けた。体制を強化し、SNSや動画などさまざまなメディアを連携したプロモーション活動を行う。

 アウトドア事業では、Foxfire会員制度の本格稼働による国内自社オンライン販売の強化、セール品縮小による利益率の改善、店舗計画(新規出店、リニューアルなど)の推進、WEB・動画・SNS情報発信の強化、コラボレーションも活用したFoxfire認知度向上などを推進する。利益率改善については、コロナ禍による商品消化率低下を解消するため割引販売を増やして対応したが、22年秋冬以降は割引販売の実施を控えて利益率改善に努めている。またFoxfireのうち、釣りに関連するアイテムを強化し、釣具店等の新たな販売チャネルも拡大する。

 これらの施策に加えて、フィッシング事業とアウトドア事業の相互の有機的連携を強化し、全社的な収益力向上に取り組むとしている。さらにIR活動をいっそう強化して、投資家や株主とのコミュニケーションを高める方針だ。なお計画期間については、23年11月期の業績が確定し、その評価が株価にも反映される期間を踏まえて24年11月末としている。

■24年11月期1Q赤字だが通期2桁営業増益・大幅増配予想据え置き

 24年11月期の業績(非連結)予想は、売上高が23年11月期比5.0%増の35億74百万円、営業利益が15.0%増の1億33百万円、経常利益が15.9%増の1億37百万円としている。当期純利益は前期計上した特別利益(投資有価証券売却益20百万円)が剥落して23.3%減の83百万円としている。配当予想は第55期記念配当5円50銭を加えて、23年11月期比5円50銭増配の17円50銭(期末一括、普通配当12円+記念配当5円50銭)としている。予想配当性向は52.0%となる。

 当期純利益は前期計上の投資有価証券売却益の剥落や税金費用の増加で減益だが、拡販の推進などにより増収、営業・経常利益2桁増益予想としている。セグメント別売上高の計画は、フィッシング事業が5.5%増の9億53百万円、アウトドア事業が4.9%増の26億円、その他が2.8%増の21百万円としている。

 事業別の重点取り組みとして、フィッシング事業では、キャンプ地など他のアウトドア・アクテビティとの融合により釣り人口の拡大を促すとともに、動画配信・SNSプロモーションを活用した販売促進を強化して収益力向上を図る。アウトドア事業では、Foxfireブランドの認知度向上と顧客数の増加を推進するとともに、商品開発力の強化、直営店舗の事業効率化、販売チャネルの見直しなどにより収益力向上を図る。さらに、フィッシング事業とアウトドア事業の相互の有機的連携を強化して、総合力の向上を推進する方針だ。

 第1四半期は売上高が前年同期比6.9%減の7億39百万円、営業利益が38百万円の損失(前年同期は10百万円の利益)、経常利益が37百万円の損失(同10百万円の利益)、四半期純利益が43百万円の損失(同5百万円の利益)だった。減収で赤字だった。釣用品市場がコロナ禍における需要からの反動減で在庫調整局面であることに加え、アウトドア衣料品市場が記録的な暖冬の影響を受けた。

 フィッシング事業は売上高が5.8%減の1億71百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が3百万円の損失(前年同期は8百万円の利益)だった。ルアー用品のフィッシングロッド(釣竿)等の販売が伸長したものの、コロナ禍におけるアクティビティとしての需要の反動減により、ルアー用品、フライ用品とも全体として販売が苦戦した。

 アウトドア事業は売上高が7.2%減の5億62百万円で、営業利益が77.9%減の9億85百万円だった。アウトドア衣料品市場が記録的な暖冬の影響を受け、防寒衣料や防寒小物の販売が低調に推移し、滞留商品の値引き販売なども影響した。

 その他(主に不動産賃貸収入売上)は、賃貸面積の縮小により売上高が13.6%減の4百万円、営業利益が16.2%減の3百万円だった。

 第1四半期は減収で赤字だったが、通期の増収・2桁営業増益予想、大幅増配(記念配当を含む)予想を据え置いている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株主優待制度は毎年11月末の株主対象

 株主優待制度は毎年11月30日現在の株主を対象として、保有株式数に応じてFoxfire Store20%OFFお買物優待券を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は調整一巡

 株価は第1四半期業績を嫌気する形となったが、大きく下押す動きも見られない。1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。4月23日の終値は766円、今期予想PER(会社予想のEPS33円67銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の17円50銭で算出)は約2.3%、前期実績PBR(前期実績のBPS1886円02銭で算出)は約0.4倍、そして時価総額は約26億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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