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明豊ファシリ Research Memo(9):DXの活用も含めたCMサービスの価値向上と人的資本の強化

発行済 2024-07-09 14:29
更新済 2024-07-09 14:45
© Reuters.
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*14:29JST 明豊ファシリ Research Memo(9):DXの活用も含めたCMサービスの価値向上と人的資本の強化 ■今後の見通し

2. 企業価値向上に向けた取り組み
明豊ファシリティワークス (TYO:1717)は新築から維持保全までの施設のライフサイクルやオフィス構築等において、これらからの発注者に必要な価値と意思決定プロセスを提供していくことで、発注者支援事業の将来性を高めると同時に企業価値の向上に取り組む。
同社の経営理念でもある「フェアネス・透明性」のベースとした人材育成とDXも活用した付加価値の高いCMサービスを提供し続けることで収益の持続的成長を目指すとともに、透明で納得感の高い社会への貢献やESG投資及び株主還元の充実を通じて社会に貢献する「発注者支援事業そのもので社会還元」というビジョンを実現していく。


(1) 対処すべき課題と取り組み方針
建設投資における発注者の意思決定や品質確保が一層高度化するなか、発注者支援事業へのニーズが高まり、マーケットの拡大や事業の将来性を高められる環境にあり、こうした環境の中で同社は発注者支援の先頭に立ち、さらなる企業価値の向上を図るため、CMサービスの価値向上、CM事業の新たな価値創造、人的資本の強化、の3点に取り組んでいく方針だ。
あわせて株主還元を充実させていくとともにESG投資、フェアで透明な社会の実現に貢献していく考えだ。


a) CMサービスの価値向上
建設プロジェクトにおける第三者性とその価値の確立、先見性とリスク管理を徹底しながら社会の変化とともにCMサービスを進化させ、サービスの価値向上を追求していく。
また、発注者にとっての価値を向上させ、顧客と持続的な関係を構築し、経営基盤の安定化を図る。


b) CM事業の新たな価値創造(CX×DX)
市場環境が激しく変化するなかで、10年先を見据えてDXを融合させた発注者支援事業の新たな価値創造に着手していく。
また、建設、維持保全、オフィスづくりにおいて、発注者にとってより効率的で価値のある意思決定プロセスに変革していく考えだ。


c) 人的資本の強化
「フェアネス・透明性」の経営理念のもと、価値向上、価値創造を支える基盤として、社内のプロによる顧客本位の体制強化、リーダーの育成、女性活躍推進、ナレッジセンター※の拡大と完成度向上、学びあう風土の醸成に取り組む。


※デジタル基盤上に構築したナレッジセンターにおいて、業務上のベストプラクティスが共有できるほか、サービス品質向上に不可欠なドキュメントレベルの周知や学習が行えるようになっている。



(2) CM×DX
同社は発注者支援事業を普及させるという第1フェーズを達成し、現在は各事業分野とDX推進事業が一体となったサービスを提供する第2フェーズ(CX×DX)に取り組んでいる。
具体的には、プロジェクト情報をデジタル化し、顧客と同社の間で可視化・一元管理することでプロジェクトリスクに対応し、アウトプットの精度を向上させ、難度の高い顧客の意思決定を支援しており、こうしたCX×DXの取り組みが同社の強みともなっている。
また、情報のデータベース化によって同社社員は効率的に新たなナレッジを共有する体制を構築し、学習しながらプロジェクトを推進することで、人材の育成にもつなげている。
また、公共施設などの老朽化による維持保全ニーズが高まるなかで、「MPS」を用いてLCCを最適化し効率的かつ適切な予防型維持保全の実現を支援していく。


(3) ESG/SDGsへの取り組み
同社は、企業理念である「フェアネス」「透明性」「顧客側に立つプロ」のもと、持続可能な社会の実現に向けて社会課題の解決に取り組んでいる。
環境面での取り組みとしては、社内にCASBEE建築評価員49名、LEED AP3名が在籍しており、顧客側に立つプロが顧客の環境対策を環境CMによって支援することで、企業価値の向上と地球環境の保全に貢献している。
具体的には、社内技術チームによる脱炭素化支援CMを提供しており、環境に配慮した施設の導入・運用支援(ZEB、オフグリッド等脱炭素化に資するCMの提供)や、施設の長寿命化のための各種提案、実現支援(MSPの運用等)を行うなど、発注者支援事業を通じて顧客の環境対策ニーズに貢献している。


さらに、同社は気候変動に関するリスク等への対応について、TCFD提言※の趣旨に賛同し、TCFDコンソーシアムに加盟し、気候変動に関する推奨されたフレームワークの整備と透明性向上に取り組んでいる。
開示基礎項目であるガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標を策定しており、このうちCO2排出量削減に関しては2020年3月期比で2024年3月期は37.5%の削減を達成しており、2031年3月期までに50%削減、2051年3月期までにカーボンニュートラルの達成を目指している。


※金融安定理事会(FSB:各国の金融関連省庁及び中央銀行からなり、国際金融に関する監督業務を行う機関)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォースの提言。
気候変動に起因する財務的影響の分析、開示が推奨されている。



そのほか、ESG投資として東京都発行のグリーンボンド(2019年10月、2021年10月、2022年10月、2023年10月)への投資を継続的に実施している。
同グリーンボンドは気候変動への適応、自然環境の保全、生活環境の向上に関連した事業等に充当されている。
また、日本学生支援機構が奨学金事業の財源を目的に発行したソーシャルボンドにも、2021年5月に投資した。


一方、ダイバーシティやワークライフバランスの充実を図るため、多様性の確保に向けた人材育成やITを活用した職場環境の整備などに取り組んでいる。
女性の活躍を重要テーマの1つとして産休・育休制度、時短勤務、健康活動支援、リフレッシュ休暇制度などを整備しており、2022年6月には「くるみん認定」※を受けた。


※「くるみん」は、仕事と家庭を両立しやすい職場環境づくりに取り組んでいる企業として、一定の基準を満たした場合に申請を行うことで「子育てサポート企業」として、厚生労働省より認定を受けた証となる。
認定を受けた企業は「くるみんマーク」を広告等に表示し、子育てサポート企業であることを公表できる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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