*13:44JST 戸田工業 Research Memo(4):2024年3月期は前年比24.9%減収、営業利益は同91.4%減益
■業績動向
1. 2024年3月期の業績概要
戸田工業 (TYO:4100)の2024年3月期の連結業績は売上高26,234百万円(前期比24.9%減)、営業利益117百万円(同91.4%減)、経常利益1,168百万円(同65.1%減)、親会社株主に帰属する当期純損失3,581百万円(前期は3,268百万円の利益)となった。
2023年5月15日付の期初計画に対し、売上高5,766百万円減、営業利益783百万円減、経常利益832百万円減、親会社株主に帰属する当期純利益4,981百万円減、2023年8月8日付の減額修正予想に対して売上高2,766百万円減、営業利益683百万円減、経常利益332百万円減、親会社株主に帰属する当期純利益4,581百万円減となった。
さらに2023年11月10日付の再減額修正予想比でも売上高266百万円減、営業利益83百万円減、経常利益132百万円減、親会社株主に帰属する当期純利益4,281百万円減となった。
親会社株主に帰属する当期純利益では2024年3月期第3四半期でも特別損失計上が具体化しなかったため、第4四半期の減額幅が大きくなった。
事業別の業績は、機能性顔料事業は売上高8,119百万円(前期比44.9%減)、セグメント利益838百万円(同58.1%減)となった。
売上面で戸田聨合の出資持分を譲渡した影響5,352百万円に加え、複写機・プリンター向け材料、環境関連向け材料が需要回復の遅れで低調に推移、営業利益も譲渡分470百万円に加え、減収に加え原材料高の影響などで低迷した。
電子素材事業は売上高18,115百万円(同10.4%減)、セグメント利益2,560百万円(同7.2%増)となった。
希土類ボンド磁石材料の売上が主に自動車向けで好調、誘電体材料は市場回復の遅れ、スマートフォンやPCなどICT機器の需要低迷などで在庫調整の影響を受けて減少、電池関連材料の製造連結子会社の低迷などもあり大幅減収となった。
利益面では減収の影響はあったものの、製品価格是正活動の成果やMIX良化などが寄与し営業増益を確保した。
なお2事業でのセグメント利益が3,398百万円(同22.6%減)、全社費用が3,281百万円(同8.5%増)となった結果、営業利益は大幅減益となった。
また経常利益は円安進展で為替差益447百万円(同223百万円増)があった一方で持分法による投資利益が673百万円(同1,031百万円減少)と落ち込んだため減益幅が拡大、さらに親会社株主に帰属する当期純損失は3,581百万円と、減損損失4,869百万円を特別損失に計上(機能性顔料事業2,184百万円、電子素材事業1,451百万円、共通部門1,233百万円)したことから減益となった。
事業フィールド別は譲渡で塗料が大幅減となっている。
2. 電子素材事業
電子素材事業は売上高18,115百万円(前期比10.4%減)、全社費用控除前セグメント営業利益2,560百万円(同7.2%増)となった。
売上面では磁石材料が118億円(前期比3億円増)と、希土類ボンド磁石材料が自動車用で売上が拡大し、家電向けなどが伸び悩んだものの増収を確保、同セグメントの構成比で65%と前期比9ポイント上昇している。
利益面でも同セグメント全体の数値を上回っており、共通費控除後営業利益率で8%となっており、利益面でも同事業の推進役となっている。
LIB用材料は36億円(前期比22億円減)だった。
電池関連材料の製造を営んでいる戸田アドバンストマテリアルズ(カナダ)が販売先正極材料メーカーの不振の影響が長引いたほか市況悪化も追い打ちとなった。
誘電体材料は売上高10億円(同横ばい)と、市場回復の遅れ、スマートフォンやPCなどICT機器の需要減退による在庫調整の影響から伸び悩んだ。
利益面では売上の伸び悩み、市況悪化に加え、原材料・エネルギー価格高止まりの影響から共通費控除後営業利益率は12%減少し、営業損失1.2億円となった。
軟磁性材料は売上高5億円、共通費控除後営業利益率-60%、営業損失3億円となった。
同事業は今後TICの子会社化で2025年3月期より収益が本格増加する計画だが、2024年3月期は単独での売上にとどまるため、売上高は小さく、先行投資によって営業利益は大幅な減益となっている。
3. 機能性顔料事業
機能性顔料事業は売上高8,119百万円(前期比44.9%減)、共通費控除前セグメント利益838百万円(同58.1%減)となった。
連結除外した戸田聯合の影響(売上高5,352百万円減収、営業利益470百万円減益)が含まれるが、これを除くと13.4%減収、45.2%減益となる。
内訳は塗料関連が86億円から31億円(64%減)、これは戸田聯合の影響が53億円含まれ、実質は2%減、2億円減にとどまる。
一方、複写機・プリンター向けが32億円(同18%減)と、中国などの不振、ペーパーレス化等の進展などが影響している。
利益面でも戸田聯合の影響は大きく、加えて減収影響、原材料・エネルギー価格高騰の影響に対し価格是正が追いつかなかったことから、戸田聯合の除外影響を除いても利益率の低下があり大幅減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
1. 2024年3月期の業績概要
戸田工業 (TYO:4100)の2024年3月期の連結業績は売上高26,234百万円(前期比24.9%減)、営業利益117百万円(同91.4%減)、経常利益1,168百万円(同65.1%減)、親会社株主に帰属する当期純損失3,581百万円(前期は3,268百万円の利益)となった。
2023年5月15日付の期初計画に対し、売上高5,766百万円減、営業利益783百万円減、経常利益832百万円減、親会社株主に帰属する当期純利益4,981百万円減、2023年8月8日付の減額修正予想に対して売上高2,766百万円減、営業利益683百万円減、経常利益332百万円減、親会社株主に帰属する当期純利益4,581百万円減となった。
さらに2023年11月10日付の再減額修正予想比でも売上高266百万円減、営業利益83百万円減、経常利益132百万円減、親会社株主に帰属する当期純利益4,281百万円減となった。
親会社株主に帰属する当期純利益では2024年3月期第3四半期でも特別損失計上が具体化しなかったため、第4四半期の減額幅が大きくなった。
事業別の業績は、機能性顔料事業は売上高8,119百万円(前期比44.9%減)、セグメント利益838百万円(同58.1%減)となった。
売上面で戸田聨合の出資持分を譲渡した影響5,352百万円に加え、複写機・プリンター向け材料、環境関連向け材料が需要回復の遅れで低調に推移、営業利益も譲渡分470百万円に加え、減収に加え原材料高の影響などで低迷した。
電子素材事業は売上高18,115百万円(同10.4%減)、セグメント利益2,560百万円(同7.2%増)となった。
希土類ボンド磁石材料の売上が主に自動車向けで好調、誘電体材料は市場回復の遅れ、スマートフォンやPCなどICT機器の需要低迷などで在庫調整の影響を受けて減少、電池関連材料の製造連結子会社の低迷などもあり大幅減収となった。
利益面では減収の影響はあったものの、製品価格是正活動の成果やMIX良化などが寄与し営業増益を確保した。
なお2事業でのセグメント利益が3,398百万円(同22.6%減)、全社費用が3,281百万円(同8.5%増)となった結果、営業利益は大幅減益となった。
また経常利益は円安進展で為替差益447百万円(同223百万円増)があった一方で持分法による投資利益が673百万円(同1,031百万円減少)と落ち込んだため減益幅が拡大、さらに親会社株主に帰属する当期純損失は3,581百万円と、減損損失4,869百万円を特別損失に計上(機能性顔料事業2,184百万円、電子素材事業1,451百万円、共通部門1,233百万円)したことから減益となった。
事業フィールド別は譲渡で塗料が大幅減となっている。
2. 電子素材事業
電子素材事業は売上高18,115百万円(前期比10.4%減)、全社費用控除前セグメント営業利益2,560百万円(同7.2%増)となった。
売上面では磁石材料が118億円(前期比3億円増)と、希土類ボンド磁石材料が自動車用で売上が拡大し、家電向けなどが伸び悩んだものの増収を確保、同セグメントの構成比で65%と前期比9ポイント上昇している。
利益面でも同セグメント全体の数値を上回っており、共通費控除後営業利益率で8%となっており、利益面でも同事業の推進役となっている。
LIB用材料は36億円(前期比22億円減)だった。
電池関連材料の製造を営んでいる戸田アドバンストマテリアルズ(カナダ)が販売先正極材料メーカーの不振の影響が長引いたほか市況悪化も追い打ちとなった。
誘電体材料は売上高10億円(同横ばい)と、市場回復の遅れ、スマートフォンやPCなどICT機器の需要減退による在庫調整の影響から伸び悩んだ。
利益面では売上の伸び悩み、市況悪化に加え、原材料・エネルギー価格高止まりの影響から共通費控除後営業利益率は12%減少し、営業損失1.2億円となった。
軟磁性材料は売上高5億円、共通費控除後営業利益率-60%、営業損失3億円となった。
同事業は今後TICの子会社化で2025年3月期より収益が本格増加する計画だが、2024年3月期は単独での売上にとどまるため、売上高は小さく、先行投資によって営業利益は大幅な減益となっている。
3. 機能性顔料事業
機能性顔料事業は売上高8,119百万円(前期比44.9%減)、共通費控除前セグメント利益838百万円(同58.1%減)となった。
連結除外した戸田聯合の影響(売上高5,352百万円減収、営業利益470百万円減益)が含まれるが、これを除くと13.4%減収、45.2%減益となる。
内訳は塗料関連が86億円から31億円(64%減)、これは戸田聯合の影響が53億円含まれ、実質は2%減、2億円減にとどまる。
一方、複写機・プリンター向けが32億円(同18%減)と、中国などの不振、ペーパーレス化等の進展などが影響している。
利益面でも戸田聯合の影響は大きく、加えて減収影響、原材料・エネルギー価格高騰の影響に対し価格是正が追いつかなかったことから、戸田聯合の除外影響を除いても利益率の低下があり大幅減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)