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iーplug Research Memo(2):新卒オファー型就活サービス「OfferBox」を運営

発行済 2024-08-07 14:02
更新済 2024-08-07 14:15
© Reuters.
*14:02JST iーplug Research Memo(2):新卒オファー型就活サービス「OfferBox」を運営 ■会社概要

1. 会社概要
i-plug (TYO:4177)は、「つながりで、人の可能性があふれる社会をつくる」というミッションの下、「未来を担う若い世代から、もっとも選ばれるプラットフォームになる」をビジョンに掲げ、日本の労働市場が直面する急速な労働人口の減少という問題に対して、企業と求職者のとのマッチングの観点からテクノロジーとプラットフォームビジネスによる解決を目指している。
具体的には、就職活動中の学生と求人企業を対象に、企業が採用したいと思える学生にダイレクトにアプローチできる新卒オファー型就活サービス「OfferBox」を提供している。
また、子会社の(株)イー・ファルコンでは、適性検査サービス「eF-1G」を展開している。


新卒求職者と求人企業のミスマッチを背景に、新卒で採用された学生の3割が3年以内に離職すると言われている。
現代表取締役CEOである中野智哉(なかのともや)氏は、このようなミスマッチの解消を目的に、2012年4月、現取締役の田中伸明(たなかのぶあき)氏らとともに兵庫県伊丹市で同社を設立し、新卒紹介事業を開始した。
しかし、新卒紹介事業に関するノウハウを十分蓄積できておらず、差別化も十分でなかったことから苦戦し、20営業日で事業継続を断念した。
そのような厳しい状況のなか、中野氏がエントリー型のリクルーティングサービスの対局に位置するダイレクトリクルーティングサービスを発案し、「OfferBox」として提供を開始した(2012年10月に学生登録開始、12月にオファー送信開始)。
その後、「OfferBox」は同社の成長ドライバーとなって業容も順調に拡大、2021年3月には東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場に上場した(2022年4月の市場再編に伴ってグロース市場へ移行)。



職の「マッチング」の重要性がより高まる時代となった
2. 事業環境
長期的に穏やかに拡大していると言われている新卒リクルーティングサービスだが、その手法はエントリー型とダイレクト型(オファー型、スカウト型、逆求人型などとも呼ばれる)に大きく分けられる。
このうちエントリー型は最も一般的な採用手法で、企業が就職ナビサイトに公開した求人情報を学生が閲覧し、当該求人に対して学生がエントリー、企業がエントリーしてきた学生の中から採用者を選ぶスタイルである。
大量のエントリーを確保できるメリットがあるため高度成長期などの大規模採用に向いていたが、欲しい人材をピンポイントで採用することが難しいうえ、内定候補の絞り込みにコストがかかるという点で時代性に欠けるようになってきた。
また、業界イメージや先入観、知名度などを理由に学生が避けたり、資格取得者を採用対象としているなどそもそも対象が非常に少ないため学生が認知できていない企業も多い。
学生にとっても、情報の非対称性や短期間で企業を選ばなければいけないといったデメリットがある。
一方、インターネットの浸透や検索機能の向上を背景に拡がりはじめたダイレクト型は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)をきっかけに密になるエントリー型からのスイッチが進んだ手法で、学生が登録したプロフィール(データベース)に企業がアクセスして採用候補者を選ぶスタイルのため、アプローチなど決定に至るまでの工数は多くなるが、企業が求める最適な人材をピンポイントで選べるというメリットがある。


日本の労働環境は、人口減少や少子高齢化、健康寿命の延伸、社会保障制度の脆弱化などの影響がより鮮明になっており、そのため人材の獲得競争は今後一層激化すると予想されている。
一方、高齢化のなかで人生100年時代のキャリア形成が必要になってきており、遠くない将来、個人がライフステージを軸に最適な職を選ぶような環境になっていくことが考えられる。
日本にとっても、企業にとっても、個人にとっても、職の「マッチング」の重要性がより高まる時代となってきているため、ダイレクトリクルーティングサービスは、インターネットや検索技術などを駆使して人物本位の選考ができる、極めて有効で時代に即した採用手法として認知されるようになってきた。
コロナ禍の一時しのぎに終わらず、時代性と有効性を兼ね備えているため今後も成長を続けるのは必至と見られており、遠からず人材採用のスタンダードになると予測されている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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