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ドーン Research Memo(6):エッジAI技術を持つtiwakiと資本業務提携

発行済 2024-08-14 14:06
更新済 2024-08-14 14:15
© Reuters.
MSFT
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*14:06JST ドーン Research Memo(6):エッジAI技術を持つtiwakiと資本業務提携 ■中長期の成長戦略・トピックス

1. エッジAI技術を持つtiwakiと資本業務提携
ドーン (TYO:2303)は、2025年5月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を推進中である。
中期経営計画の重点施策の1つとして「M&A・事業提携」を挙げており、特に「AI領域の知見を有する会社」などを対象として積極的な探索を行ってきた。
その成果として、2024年7月に、先端的なエッジAI技術を持つtiwakiと資本業務提携を発表した。
tiwakiはエッジAI技術をベースに社会課題の解決を目指す目的で2016年に設立された企業であり、エッジデバイスを搭載した高速・小型のAIカメラを用いることにより、「防犯・セキュリティ」「防災」「スマート駐車場」に関する事業の他、「スマートガソリンステーション」「介護・ヘルスケア」などの分野で幅広く社会課題の解決を目指している。
同社(ドーン)の持つ警察・官公庁への導入拡大ノウハウとtiwakiの保有するエッジAI技術を組み合わせることにより、主に防犯分野において社会課題の解決に向けた取り組みが一層加速できると判断したことから、本資本業務提携の合意に至った。


資本提携の第1段階としては、tiwakiの株主から株式5,900株を払込金額の総額70,800千円にて引き受け、tiwakiの総議決権数の19.9%を同社(ドーン)が保有する予定である。
第2段階としては、転換社債型新株予約権付社債も払込金額の総額153,600千円で引き受け、株式転換後にtiwakiの総議決権数の50.2%を保有する予定である。


エッジAIとは、ネットワークのエッジデバイスに直接搭載したAIを指し、その端末側で行われるデータ処理によって即時に結果を把握できる技術である。
通信コストが低いこと、即時性が高いこと、セキュリティが端末内で完結すること、などの多くの利点がある。
2024年5月に米Microsoft (NASDAQ:MSFT)が開発を発表した「生成AIに特化したパソコン」にエッジAI技術が使われていることからも話題の技術である。
国内エッジAI分野の製品・サービス市場は、2026年度まで年率41.3%増で推移し、2027年度には370億円規模に達すると予測されている(総務省「情報通信白書令和5年版」)。
tiwakiは、エッジAI技術を用いた自動車のナンバープレートの読み取りを得意としており、防犯分野や駐車場管理分野などをはじめとする様々な画像解析分野での応用と、同社の映像系クラウドサービスとの融合による新たな価値創造にも期待できる。


2. 「Live-X」及び「防災・防犯アプリ」が次世代を担うクラウドサービスとして勢いを増す
同社のクラウドサービスでは、緊急通報システム「NET119」と映像通報システム「Live119」が2本柱として成長を支えてきた。
「NET119」が成熟期、「Live119」が成長期にあるなかで、次代の成長を担うサービスの探索も続けてきた。
2024年5月期は、「Live-X」及び「防災・防犯アプリ」が成長軌道に乗り、次代の柱として地歩を固めた1年となった。
「Live-X」は「Live119」の映像通報の技術を応用したソリューションであり、映像での現場確認が重要となる1対N(不特定多数)のコミュニケーションに適するため、建設機械、電力・ガス・水道、道路など様々な業界で官民問わず多様なシーンでの導入が拡大している。
自治体が防災情報を配信するスマートフォンアプリ「防災アプリ」は、デジタル庁が公開する「防災DXサービスカタログ」に掲載されたことが契機となり新規導入にはずみがついている。
既に東京、大阪の2大都市での運用を行っているのに加え、高知県、長野県、八幡市などに横展開中である。
また、防犯アプリは、実際の痴漢被害の解決事案によりその効果が証明され、2024年5月期には福井県、滋賀県、福島県、奈良県、香川県の5県警での導入がスタートしている。


3. “エッセンシャルカンパニー”を標榜し、安心・安全分野以外の案件に積極進出
同社は、現在進行中の中期計画の中で“エッセンシャルカンパニー”を標榜し、安心・安全分野以外においても社会課題を解決する必要不可欠な会社になるための取り組みを強化してきた。
その代表例として、マイナンバーカード・自動車運転免許証関連のシステム開発を受注しており、進行期に納品を行う予定である。
2024年度にマイナンバーカードと自動車運転免許証の一体化の開始が予定されており、一体化されたカードの券面には免許情報が記載されないことから、ICチップに記録された特定免許情報を読み取るためのアプリケーションが必要となる。
マイナンバー関連は市場規模の大きな新分野であり、技術力や実績が評価されれば、消防や警察以外の自治体・行政でのクラウドサービスで飛躍のチャンスとなるだろう。
また、2024年5月には、(株)emotivEと業務提携し、同社(ドーン)の持つ地方自治体への導入拡大ノウハウとemotivEが保有する対話AIテクノロジーを組み合わせることにより、「フレイル(加齢に伴う予備能力の低下)予防」事業を推進する。
将来的には、自治体・官公庁のみならず、民間企業を含めたDXの促進並びに「デジタルヘルス」領域の拡大を視野に入れている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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