■会社概要
(4)ビジネスモデル
同社グループは同社と連結子会社2社(CarnaBio USA, Inc.及び(株)ProbeX)で構成されており、事業セグメントとしては「創薬支援事業」及び「創薬事業」の2つに分けられている。
キナーゼの作製技術やキナーゼ阻害薬を研究するに当たって必要となるプロファイリング・スクリーニング等のノウハウが同社の基盤技術となっている。
カルナバイオサイエンス {{|0:}}ではこれら創薬基盤技術を活かして、創薬支援事業で安定収益を獲得し、創薬事業での研究開発に資金投入し、創薬のライセンスアウトを行うことによって大きな成長、リターンを目指すビジネスモデルとなっており、同社の事業の中心は創薬事業であり、自社創薬により生み出した薬剤が世界の患者に届けられることを目指している。
○創薬支援事業 創薬支援事業とは、製薬企業や大学等の研究機関で実施される創薬研究を支援するための製品・サービスを販売、提供する事業となる。
製品としては、キナーゼ阻害薬の創薬研究で用いられるキナーゼタンパク質、キナーゼのアッセイキット※1を販売している。
また、受託サービスとしては製薬企業等が創り出した薬の基となる化合物のプロファイリング及びスクリーニング等の実施や、顧客から特注を受けたキナーゼに関するアッセイ開発、並びに同社及び同社の協力会社が開発したセルベースアッセイサービスの提供等を行っている。
セルベースアッセイについては、キナーゼ阻害薬の研究が深化するなかで、より安価に、より迅速に細胞レベルで化合物の評価をしたいという顧客ニーズに対応するサービスである。
また、子会社のProbeXでは相補型スプリットルシフェラーゼアッセイ技術※2に基づく安定発現細胞株の研究開発及び提供を行っている。
同社グループの売上高の大半はキナーゼタンパク質の販売とスクリーニング・プロファイリング受託サービスで占められている。
同受託サービスの主要顧客として国内では小野薬品工業、海外では米Gilead Sciences Inc.などが挙げられる。
※1アッセイとは測定試験の総称で、被験化合物が標的のキナーゼの働きをどの程度抑えるのか、また抑えないのかを調べることを指し、調べるために必要なキナーゼや緩衝液などをキットにして販売している。
※2相補型スプリットルシフェラーゼアッセイ技術とは、ルシフェラーゼ(ホタルなどの発光生物の体内に存在する酵素)のDNA配列を適切な部位で2つに分断し、それぞれを細胞内に導入すると自然界には存在しないルシフェラーゼのタンパク質断片が細胞内に生成され、これらのタンパク質断片が細胞内で物理的に近づくと、分断されていても発光を回復する現象を活用したアッセイ技術を指す。
○創薬事業 同社の創薬は、同社が有するキナーゼに関する創薬基盤技術を駆使して行われており、この同社のユニークな創薬基盤技術およびそれを生み出す能力のある研究陣を有する点が、他社との差別化ができている点である。
ヤンセン・バイオテック社への導出についても、同社の創薬基盤技術において生み出された成果であり、同社の創薬パイプラインは、他社から導入したテーマはなく、自社単独ないしはアカデミア等との共同研究から生み出されたものである。
自社の施設内において化合物を合成する本格的な化学ラボを有しており、in-vitro(試験管内)、in-vivo(細胞内)、動物モデルの評価を行う設備等も整っており、研究用機器に対する主だった設備投資も完了している。
さらに、今回の導出された医薬品候補化合物の導出交渉においては、同社で実施した各種試験の結果データの正確さがJ&Jで検証され、高い評価を受けたことも、導出できた主な要因のひとつであると考えられる。
同社の創薬では、臨床試験の前期第2相(フェースIIa)までの研究開発を行い、そこに至るいずれかの段階でライセンスアウトすることを基本方針としており、導出の対価として、契約一時金や開発のステージアップ時のマイルストーン収入、上市後のロイヤルティ収入などを獲得するビジネスモデルとなる。
現在は、前臨床試験段階での導出を計画しているが、後に触れる同社の中期経営計画では、自社で臨床試験を実施することを予定しており、臨床試験段階に進めることで、医薬品候補化合物の導出価値を高めたいとしている。
また、導出後は、導出したテーマに投入していた研究リソースを、同社が有する別の待機テーマに投入することができる。
同社の創薬基盤技術から次々と新規創薬パイプラインが生み出されることは同社の強みといえる。
創薬研究のテーマとしては、アンメット・メディカル・ニーズ(画期的な治療法が確立していない疾患)を中心に選定しており、特にがん、免疫炎症疾患を重点疾患領域として研究開発を行っている。
年間1000億円以上売上がある医薬品はブロックバスターと呼ばれるが、同社の創薬パイプラインはそのブロックバスターになりうる薬剤を創製することを目的として研究開発が行われている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
キナーゼの作製技術やキナーゼ阻害薬を研究するに当たって必要となるプロファイリング・スクリーニング等のノウハウが同社の基盤技術となっている。
カルナバイオサイエンス {{|0:}}ではこれら創薬基盤技術を活かして、創薬支援事業で安定収益を獲得し、創薬事業での研究開発に資金投入し、創薬のライセンスアウトを行うことによって大きな成長、リターンを目指すビジネスモデルとなっており、同社の事業の中心は創薬事業であり、自社創薬により生み出した薬剤が世界の患者に届けられることを目指している。
○創薬支援事業 創薬支援事業とは、製薬企業や大学等の研究機関で実施される創薬研究を支援するための製品・サービスを販売、提供する事業となる。
製品としては、キナーゼ阻害薬の創薬研究で用いられるキナーゼタンパク質、キナーゼのアッセイキット※1を販売している。
また、受託サービスとしては製薬企業等が創り出した薬の基となる化合物のプロファイリング及びスクリーニング等の実施や、顧客から特注を受けたキナーゼに関するアッセイ開発、並びに同社及び同社の協力会社が開発したセルベースアッセイサービスの提供等を行っている。
セルベースアッセイについては、キナーゼ阻害薬の研究が深化するなかで、より安価に、より迅速に細胞レベルで化合物の評価をしたいという顧客ニーズに対応するサービスである。
また、子会社のProbeXでは相補型スプリットルシフェラーゼアッセイ技術※2に基づく安定発現細胞株の研究開発及び提供を行っている。
同社グループの売上高の大半はキナーゼタンパク質の販売とスクリーニング・プロファイリング受託サービスで占められている。
同受託サービスの主要顧客として国内では小野薬品工業、海外では米Gilead Sciences Inc.などが挙げられる。
※1アッセイとは測定試験の総称で、被験化合物が標的のキナーゼの働きをどの程度抑えるのか、また抑えないのかを調べることを指し、調べるために必要なキナーゼや緩衝液などをキットにして販売している。
※2相補型スプリットルシフェラーゼアッセイ技術とは、ルシフェラーゼ(ホタルなどの発光生物の体内に存在する酵素)のDNA配列を適切な部位で2つに分断し、それぞれを細胞内に導入すると自然界には存在しないルシフェラーゼのタンパク質断片が細胞内に生成され、これらのタンパク質断片が細胞内で物理的に近づくと、分断されていても発光を回復する現象を活用したアッセイ技術を指す。
○創薬事業 同社の創薬は、同社が有するキナーゼに関する創薬基盤技術を駆使して行われており、この同社のユニークな創薬基盤技術およびそれを生み出す能力のある研究陣を有する点が、他社との差別化ができている点である。
ヤンセン・バイオテック社への導出についても、同社の創薬基盤技術において生み出された成果であり、同社の創薬パイプラインは、他社から導入したテーマはなく、自社単独ないしはアカデミア等との共同研究から生み出されたものである。
自社の施設内において化合物を合成する本格的な化学ラボを有しており、in-vitro(試験管内)、in-vivo(細胞内)、動物モデルの評価を行う設備等も整っており、研究用機器に対する主だった設備投資も完了している。
さらに、今回の導出された医薬品候補化合物の導出交渉においては、同社で実施した各種試験の結果データの正確さがJ&Jで検証され、高い評価を受けたことも、導出できた主な要因のひとつであると考えられる。
同社の創薬では、臨床試験の前期第2相(フェースIIa)までの研究開発を行い、そこに至るいずれかの段階でライセンスアウトすることを基本方針としており、導出の対価として、契約一時金や開発のステージアップ時のマイルストーン収入、上市後のロイヤルティ収入などを獲得するビジネスモデルとなる。
現在は、前臨床試験段階での導出を計画しているが、後に触れる同社の中期経営計画では、自社で臨床試験を実施することを予定しており、臨床試験段階に進めることで、医薬品候補化合物の導出価値を高めたいとしている。
また、導出後は、導出したテーマに投入していた研究リソースを、同社が有する別の待機テーマに投入することができる。
同社の創薬基盤技術から次々と新規創薬パイプラインが生み出されることは同社の強みといえる。
創薬研究のテーマとしては、アンメット・メディカル・ニーズ(画期的な治療法が確立していない疾患)を中心に選定しており、特にがん、免疫炎症疾患を重点疾患領域として研究開発を行っている。
年間1000億円以上売上がある医薬品はブロックバスターと呼ばれるが、同社の創薬パイプラインはそのブロックバスターになりうる薬剤を創製することを目的として研究開発が行われている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)