■業績動向
(1) 2016年12月期第1四半期業績の概要
4月25日付で発表されたアンジェス MGの2016年12月期第1四半期の連結業績は、事業収益が前年同期比1.6%増の83百万円、営業損失が1,183百万円(前年同期は960百万円の損失)、経常損失が1,230百万円(同880百万円の損失)、四半期純損失が1,230百万円(同883百万円の損失)となった
事業収益の内訳を見ると、研究開発事業収益が前年同期比6百万円減少した一方で、「ナグラザイム」の売上高が同7百万円増の81百万円と増加した対象患者の成長とともに投与量が増えていることが増収要因となっている
事業費用の内訳を見ると、売上原価は「ナグラザイム」の売上増に伴い、前年同期比で5百万円増加した研究開発費は前年同期比で230百万円の増加となったNF-κBデコイオリゴ(アトピー性皮膚炎治療薬)の第3相臨床試験及び非臨床試験を中心に外注費が148百万円増加したことが主因となっているまた、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢向け)のグローバル臨床試験にかかる費用増により、研究用材料費も20百万円増加した一方、販管費は経費の抑制等を進めたことにより前年同期比で12百万円の減少となった
(2) 2016年12月期業績見通し
2016年12月通期の連結業績は、事業収益が前期比7.0%減の400百万円、営業損失、経常損失、当期純損失がいずれも6,400百万円と前期から拡大する見通しとなっている事業収益については、「ナグラザイム」が増加するものの、研究開発事業収益の減少により減収となる見通し営業損失が拡大するのは、研究開発費が前期比1,967百万円増の5,500百万円とさらに拡大するためだHGF遺伝子治療薬(重症虚血肢向け)のグローバル臨床試験費用の増加と、国内で3つのパイプラインの承認申請に向けた費用を見込んでいることが増加要因となるただ、研究開発費のピークは2016年12月期となりそうで、2017年12月期以降は減少に転じる見込みとなっている
なお、2016年内に国内で承認申請を目指しているHGF遺伝子治療薬(重症虚血肢治療薬)、NF-κBデコイオリゴ(アトピー性皮膚炎治療薬)、薬剤塗布型バルーンカテーテルについてはいずれもマイルストーンや売上による収益への貢献は早くても2017年以降となる承認申請から取得までの期間は、条件及び期限付き承認制度を活用するHGF遺伝子治療薬については前例から判断すると1年以内が想定され、その他2品目については1年程度かかる見通しだ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)