ダイコク電機 (T:6430)は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ・パチスロ遊技機の表示・制御ユニット及びパチスロ遊技機の開発・製造・販売等を2本柱としている。
主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア約35%を握る。
また、パチンコホールの経営を支援する業界唯一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員ホール数3,704店(2016年9月末現在)とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。
自社開発パチスロ遊技機の製造・販売にも本格参入した。
同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場等を踏まえ、次世代ホールコンピュータの開発、ストック型収益モデルへの転換、自社開発パチスロ遊技機の拡大など、中長期を見据えた事業改革を推進しており、これまで一定の成果を挙げてきた。
特に、多額の研究開発費を投入してきた次世代ホールコンピュータの開発が最終段階を迎えているようだ。
クラウドサーバーを駆使したビッグデータ対応による高度な分析機能を備えており、他社の追随を許さない圧倒的な優位性を確立することで市場シェアの拡大を目指している。
ただ、足元の業績は、前期における自主規制の影響に加えて、今期に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」の回収・撤去の問題が具体的に動き出したことから厳しい状況が続いている。
2017年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比16.7%減の20,187百万円、営業利益が同25.7%減の605百万円と減収減益であった。
特に、売上高は計画を下回る結果となっている(各利益は計画超過)。
厳しい市場環境が続くなかで、情報システム事業では、パチンコホールの投資意欲の冷え込みを背景とした新店及び改装店舗の減少により製品販売が大きく落ち込んだ。
制御システム事業についても、パチンコ遊技機メーカーのリリース計画の変更に伴い、複数機種が下期以降にずれ込んだことが計画を下回る要因となっている。
ただ、損益面では、情報システム事業において、新製品の販売が比較的好調であったことや販管費の一部が下期にずれ込んだこと、制御システム事業でも、同社が携わった機種の販売台数が好調に推移したことにより計画を上回る水準を確保した。
2017年3月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比6.4%増の50,000百万円、営業利益を1,000百万円と増収及び黒字転換を見込んでいる。
弊社では、上期実績や厳しい市場環境が続いていることを勘案すると、業績予想の達成に向けたハードルは高いものの、「回収・撤去」問題が一巡した後のパチンコホールの投資動向が今期業績を大きく左右するものと捉えている。
したがって、来期業績への影響を含め、パチンコホールにおける投資意欲の回復に向けた道筋を注意深く見守る必要があるだろう。
同社は、2017年3月期を初年度とする新たな中期経営計画「Next50第一章」を推進している。
2018年3月期以降での販売開始を目指している次世代ホールコンピュータによるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、成長力及び収益力の向上を実現する方針である。
弊社でも、中長期的視点から、圧倒的なポジショニングの確立による同社自身の成長期待に加えて、業界全体の活性化に向けた取り組みに注目している。
■Check Point
・業界随一の会員制情報提供サービスなどにより、業界No.1の地位を確立
・17/3期通期は増収、黒字転換の達成を見込む
・次世代ホールコンピュータによるシェア拡大や新たな価値の創出で成長力と収益力の向上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア約35%を握る。
また、パチンコホールの経営を支援する業界唯一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員ホール数3,704店(2016年9月末現在)とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。
自社開発パチスロ遊技機の製造・販売にも本格参入した。
同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場等を踏まえ、次世代ホールコンピュータの開発、ストック型収益モデルへの転換、自社開発パチスロ遊技機の拡大など、中長期を見据えた事業改革を推進しており、これまで一定の成果を挙げてきた。
特に、多額の研究開発費を投入してきた次世代ホールコンピュータの開発が最終段階を迎えているようだ。
クラウドサーバーを駆使したビッグデータ対応による高度な分析機能を備えており、他社の追随を許さない圧倒的な優位性を確立することで市場シェアの拡大を目指している。
ただ、足元の業績は、前期における自主規制の影響に加えて、今期に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」の回収・撤去の問題が具体的に動き出したことから厳しい状況が続いている。
2017年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比16.7%減の20,187百万円、営業利益が同25.7%減の605百万円と減収減益であった。
特に、売上高は計画を下回る結果となっている(各利益は計画超過)。
厳しい市場環境が続くなかで、情報システム事業では、パチンコホールの投資意欲の冷え込みを背景とした新店及び改装店舗の減少により製品販売が大きく落ち込んだ。
制御システム事業についても、パチンコ遊技機メーカーのリリース計画の変更に伴い、複数機種が下期以降にずれ込んだことが計画を下回る要因となっている。
ただ、損益面では、情報システム事業において、新製品の販売が比較的好調であったことや販管費の一部が下期にずれ込んだこと、制御システム事業でも、同社が携わった機種の販売台数が好調に推移したことにより計画を上回る水準を確保した。
2017年3月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比6.4%増の50,000百万円、営業利益を1,000百万円と増収及び黒字転換を見込んでいる。
弊社では、上期実績や厳しい市場環境が続いていることを勘案すると、業績予想の達成に向けたハードルは高いものの、「回収・撤去」問題が一巡した後のパチンコホールの投資動向が今期業績を大きく左右するものと捉えている。
したがって、来期業績への影響を含め、パチンコホールにおける投資意欲の回復に向けた道筋を注意深く見守る必要があるだろう。
同社は、2017年3月期を初年度とする新たな中期経営計画「Next50第一章」を推進している。
2018年3月期以降での販売開始を目指している次世代ホールコンピュータによるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、成長力及び収益力の向上を実現する方針である。
弊社でも、中長期的視点から、圧倒的なポジショニングの確立による同社自身の成長期待に加えて、業界全体の活性化に向けた取り組みに注目している。
■Check Point
・業界随一の会員制情報提供サービスなどにより、業界No.1の地位を確立
・17/3期通期は増収、黒字転換の達成を見込む
・次世代ホールコンピュータによるシェア拡大や新たな価値の創出で成長力と収益力の向上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)