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シュッピン Research Memo(5):骨格となるビジネスモデルに、様々な仕組みによる肉付けのプロセスが成長戦略

発行済 2019-07-09 15:15
更新済 2019-07-09 15:20
© Reuters. シュッピン Research Memo(5):骨格となるビジネスモデルに、様々な仕組みによる肉付けのプロセスが成長戦略
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■中長期の成長戦略1. 中長期の成長戦略の全体像シュッピン (T:3179)の事業モデルは2つの特徴がある。

1つはEC特化型で店舗は1商材につき1店舗で運営、もう1つは新品と中古品の両方を扱うことだ。

中古品を取り扱うことに着目して同社をリユース事業者と捉える向きもあるが、その理解の仕方は同社の実力や価値を見誤る恐れがあると考える。

同社において中古品の事業は、新品の販売を加速するためのカタリストの役割を担っているというのが弊社の理解だ。

しかし同時にまた、同社にとっての中古品ビジネスは、新品のビジネスと同様に、重要な収益源かつ成長エンジンでもある。

新品と中古品のビジネスはそれぞれ特徴や収益モデルが異なる。

まったく別の個性を持つ2つのビジネスを有機的に結び付け(前述のカタリスト関係と同じ意味)、全体としての収益成長を極大化させることを目指している点に、同社の事業モデルの独創性や強みがあると弊社では考えている。

こうした事業モデルは、一朝一夕には構築できない。

同社も創業以来、様々な施策を積み重ねて今日に至っている。

ここで言う“施策”とはキャンペーンや一時的な販売促進策などではなく、収益成長のための仕組みづくりのことだ。

同社の成長戦略とは、1)価値あるもの(新品と中古品)を、2)ECで販売する、という2つからなる「骨格」に、「筋肉」に相当する収益拡大の様々な仕組みづくりと言うことができる。

具体的な例としては、中古品の買取り(すなわち仕入れ)強化のための「ワンプライス買取」や「先取交換」、販売力強化のための「見積もりSNS」や「コミュレビ」のローンチなどが挙げられる。

また、ECの生命線とも言える商品画像については、精密画像の採用と画像点数の大幅アップや動画の掲載を実施した。

販売力強化に向けた取り組みでは、「One- to-Oneマーケティング」について、フェーズ1〜3に分けたうちの最後の仕上げに当たる“パーソナルレコメンド”の仕組みを完成させた。

2019年3月期までの進捗を受けて、2020年3月期は主として以下の4点に取り組む方針だ。

すなわち、1) AIMDの導入による、売上拡大と収益性改善の取り組み、2) 売上拡大のプラットフォームをより活性化させる取り組み、3)レディース事業(新規事業)の本格展開、4)海外展開、の4点だ。

それぞれの詳細を以下に述べる。

中古カメラの買取価格・販売価格決定プロセスにAIを導入し、機会損失の低減、収益性改善を目指す2. AIMDの導入AIMDはAIを活用した中古カメラの買取価格・販売価格の自動化システムだ。

従来は“One- to-OneマーケティングPhase4.0”として紹介されてきたが、実体に応じてAIMDという呼び方に変わった。

同社は現在、人手によって買取価格・販売価格を決めている。

同社の取扱品目は約20,000アイテム以上に上るが、タイムリーな価格決定ができているのは、一部に限られ(約400~500アイテム程度と推定)、結果的に機会損失になるケースが増加している。

AIMDの導入は、AIを活用して自動化することで、タイムリーな値付けができるアイテム数を増やし、機械損失を減らすのが狙いだ。

AIMD導入により、適正な価格での販売、買取りが可能となり、同社の粗利益率改善につながることが期待される。

また適正価格での取引は消費者を引き付けると期待されるほか、セールや販促に際しても、最適なセール対象アイテムの選出、売上げの確保、及び適切な利益率の確保などに貢献すると期待される。

AIMDの開発を今期からスタートする。

価格決定の精度を上げるには取引事例が一定数以上あることが必要なため、AIMD導入後もタイムリーに価格決定されるのは2,000アイテム程度になるとみられる。

総アイテム数(約20,000)の10分の1ではあるが現行の約5倍であり、実際の取引量を考えれば、機械損失はかなり削減されると期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

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