[東京 31日 ロイター] - 岸田文雄首相は31日、政治への信頼を回復するため「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)との関係を絶つことを自民党の基本方針にすることを表明した。安倍晋三元首相の国葬実施にさまざまな意見や批判があることについては「丁寧な説明に全力を尽くす」と語った。
新型コロナウイルス感染による療養期間を終えたことを機に官邸で記者会見した。首相は、旧統一教会や安倍元首相の国葬などの問題で政治に対する国民の信頼が揺らいでいるとし、自らが先頭に立って信頼回復に取り組むと述べた。
首相は、自民党議員と旧統一教会の関係に対して国民の疑念が生じていることについて、自民党総裁として「率直におわび申し上げる」と述べた。その上で、自民党の所属国会議員が旧統一教会との関係を点検して結果を公表すること、当該団体との関係を断つことを党の基本方針として徹底すること、今後社会的に問題が指摘される団体と関係を持つことがないようコンプライアンスチェック体制を強化することの3点を茂木敏充幹事長に指示したことを明らかにした。
安倍元首相と旧統一教会の関係を検証する可能性については、安倍氏が死亡した今となっては十分把握するには限界があるとの見方を示した。
首相は、安倍元首相の国葬決定を説明するため、国会の閉会中審査に出席する意向を示した。海外要人の警備や接遇には毎年度の規定予算内で対応することを想定しているが、要人の人数などが確定するまで具体的な予算規模を示すことは難しいと述べた。
<コロナ水際対策を緩和>
首相は「ウィズコロナ」に向けた新たな段階への移行策として、現在の水際対策を緩和する考えも示した。9月7日から1日あたりの入国者数上限を5万人に引き上げるとともに、すべての国を対象に添乗員を伴わないパッケージツアーによる入国をできるようにする。コロナ感染者の全数把握見直しと療養期間短縮についても「円滑に導入していきたい」と述べた。
原発政策については、エネルギーの安定供給体制を万全にする必要があり、あらゆる選択肢を確保しておくことが重要だと説明。次世代革新炉の開発や運転期間延長などを専門家に議論してもらい、年内をめどに意見を聞きたいと語った。
岸田首相は新型コロナウイルスに感染し、公邸で療養しながらリモートワークを行っていたが、31日から首相官邸での公務を再開した。首相は官邸入り前、自民党の役員会に出席。安倍元首相の国葬についてさまざまな批判が寄せられていることを受け、首相出席のもとで説明する場を国会に設けるよう役員に指示した。
(杉山健太郎 編集:青山敦子)