[ロンドン 14日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)は14日に発表した月報で、2022年の世界石油需要の増加を日量336万バレルとする予測を据え置いた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準を上回るとの見通しを維持した。
一方、ロシアのウクライナ侵攻や、パンデミックを巡る動きがかなりのリスクとなるとの見方を示した。
ウクライナ戦争の影響で原油価格は3月に一時1バレル=139ドル超と、08年以来の高値を付けていた。
OPECは報告書で「現在の地政学的な動きと、今年下半期の終盤に向けたパンデミックの不透明な展開が、(石油需要が)パンデミック前の水準に回復する予測に依然かなりのリスクを与えている」と指摘。「インフレ圧力は持続する可能性が高く、地政学的な問題がいつ解決されるかは依然極めて不透明だ。とはいえ、今年後半の石油需要は健全な水準になると予想される」との見方を示した。
世界消費量は22年第3・四半期に従来予測通り日量1億バレルの大台を超え、22年平均は日量1億0029万バレルに達し、パンデミック前の19年をやや上回ると予想した。
また22年の世界経済成長率予想を3.5%に据え置き、下振れリスクは「依然として大きい」一方、上振れの可能性は「かなり限定的」だとした。
<生産の減少>
OPEC加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は20年のパンデミック最悪期に実施した記録的な減産後、増産を進めている。だが、一部のOPEC加盟国による油田への投資不足と、最近ではロシアの生産減を背景に増産目標を下回っている。
月報によると、その傾向は5月も続いた。5月のOPECの石油生産量は日量17万6000バレル減の2851万バレルだった。リビアやナイジェリアなどの減少が響いた。
22年のOPEC非加盟国からの供給は日量30万バレル減の210万バレルと予想。ロシアの生産量見通しを日量25万引き下げる一方、米の生産量見通しは据え置いた。
米のシェールオイル供給予想は日量88万バレル増とし、先月から据え置いた。