富士通 (T:6702)グループの富士通研究所は19日、アメリカのFujitsu Laboratories ofAmerica(FLA)と共同で、複数の組織間で機密情報を安全・安心に扱うためのブロックチェーンのセキュリティ技術を開発したと発表した。
今回は、これまでブロックチェーンをビジネスで運用する上での課題だった点を解決する2つの技術を開発している。
1つ目は、送金などの取引を実行する際に、利用できる先を特定店舗に限定するなど、事前に設定したポリシーに基づいて取引を制限できる技術。
これにより、ポリシーを満たさない取引はブロックチェーンに記録されないことになり、仮に秘密鍵を盗まれた場合でも被害を限定的にすることが可能となる。
2つ目は、複数の利用者で異なる秘密鍵の断片を持ち、一定数の断片が揃って初めて秘密鍵が生成される秘密分散鍵管理システムである。
これにより、たとえば契約書の機密部分は鍵の断片を持つ当事者が協力する時にのみ登録・閲覧できるが、一般利用者には内容を見せないなどといった形で、文書の秘匿制御をすることが可能となる。
今回開発したブロックチェーンのセキュリティ技術によって、秘密鍵の誤用・悪用防止が可能となるほか、鍵を紛失した際に協力者による救済や、複数管理者の承認を必須とするワークフローを実現することができる。
ビットコインの基盤技術であるブロックチェーンは金融分野から適用が始まりつつあるが、流通、サプライチェーン、公文書管理など様々な分野でも適用領域が拡大しつつあり、今回の技術開発も応用範囲の拡大に資するものとみられる。