[東京 16日 ロイター] - 日銀の元決済機構局長、山岡浩巳氏(フューチャー取締役)は16日、ロイターのインタビューに応じ、ロシアに対する主要7カ国(G7)の金融制裁について、G7はロシアのデフォルト(債務不履行)を覚悟した上で制裁に踏み切ったと述べた。当局者はロシアがデフォルトに陥っても管理可能との立場だが、資源高で各国が利上げに動く中、金融市場でリスク回避が強まる可能性があると述べた。
山岡氏は一連の金融制裁で最も実効性が大きいのはロシアの外貨準備の凍結だと指摘した。国際送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの一部銀行を排除することを合意したことでルーブルが暴落し、外貨も凍結したことで「ロシアは外貨建て債の利払いができない」と指摘。G7は「おそらく覚悟の上だろう」とみている。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は13日、ロシアは対外債務でデフォルトを引き起こすかもしれないが、それが世界的な金融危機をもたらすことはないとの見方を示した。
ただ、山岡氏は「一次産品価格の上昇と、これへの政策対応としての金利の上昇に(ロシアの)デフォルトという動きが加わった場合に、金融市場でリスク回避選好が加わる可能性がある」と指摘。資源を買い入れている新興国への影響に注意する必要があると述べた。
山岡氏は金融インフラを使った制裁について「金融と政治・安全保障とのオーバーラップという潮流を一段と明らかにするものだ」と指摘する一方、「あくまで非常手段」とする。
今回のSWIFT制裁をとらえ「世界の国々の中には、そもそもインフラの共同化に乗らず、あえて独自の決済網を構築しようとする先も出てくるかもしれない」とし、「金融インフラを使った制裁が他のケースにまで濫用されるべきではない」と語った。
(和田崇彦、木原麗花)