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3Dマトリック Research Memo(5):2019年4月期は「PuraStat」で5億円強の売上高を目指す

発行済 2019-01-10 15:05
更新済 2019-01-10 15:20
3Dマトリック Research Memo(5):2019年4月期は「PuraStat」で5億円強の売上高を目指す
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■今後の見通し

1. 2019年4月期の業績見通し
スリー・ディー・マトリックス (T:7777)の2019年4月期の連結業績は事業収益で512~2,562百万円、営業利益で2,217百万円の損失から203百万円の利益とレンジ形式で予想を開示している。
事業収益では止血材の欧州での独占販売ライセンス契約締結に伴う契約一時金2,000百万円と韓国でのCEマーク認証取得時に得られるマイルストーン収入50百万円の有無が変動要因となる。
「PuraStat」の売上高については前期比2.2倍増の512百万円を見込んでいる。


費用計画について見ると、研究開発費は671~1,042百万円と幅を持たせた計画となっている。
欧州で予定している次世代止血材の臨床試験の開始時期が変動要因となる。
また、販管費については前期比38百万円増の1,402百万円を計画している。
主に営業体制の強化に伴う人件費増が主因となっている。
当第2四半期累計の販管費は713百万円と通期計画に対する進捗率で50.9%となっており、下期はオーストラリアの営業体制強化や、米国でも癒着防止材の承認時期によって営業スタッフを採用する予定であることから、販管費については計画をやや上回る可能性がある。


「PuraStat」の地域別売上計画は、欧州が前期比145%増の375百万円、アジア・オセアニアが同75%増の119百万円、中南米・カナダが同9倍増の18百万円となっている。


欧州向けに関しては第2四半期までの通期計画に対する売上進捗率が約20%と低いが、ニコライ(ドイツ)向けの拡大が続くほか、PENTAX(フランス)やAquilant(英国)向けについても徐々に立ち上がる見通し。
また、中東向けについても製品登録が進んでおり、下期の売上への貢献が見込まれる。
さらには、2018年12月に認証取得した後出血予防材の販売プロモーションも本格的に開始する見込みで、売上への貢献が期待される。


なお、英国では2018年11月より消化器内視鏡手術領域における滲出性出血を対象に、「PuraStat」を用いたPOPSが開始されている。
POPSの目的は、「PuraStat」の止血効果だけでなく後出血予防、創傷治癒などの副次効果についての臨床データの収集・解析を行い、その後の比較試験の設計や使用ガイドラインの策定につなげていくことにある。
20カ所の基幹病院で200例を目標に実施する予定となっており、2018年11月にポーツマス病院で最初の組入れがスタートした。
12月以降は毎月4〜5ヶ所の病院でリクルートメントを開始し、2019年4月までに20ヶ所の病院でPOPSを行う体制を整え、2019年中の完了を見込んでいる。
費用は国家予算の補助金が充当されるため、同社の売上にも寄与することになる。
今回のPOPS開始によって参加する基幹病院20カ所で口座が自動的に開設されることになるため、英国向けの売上高も今後本格的に増えていくものと予想される。


アジア・オセアニア向けについては、第2四半期までの売上進捗率が約35%とやや計画を上回る進捗となっているが、前述したようにゲティンゲグループとの販売代理店契約が第3四半期に終了する見込みとなっており、下期以降の売上については流動的となっている。
ただ、エンドユーザーでの需要は順調に拡大しているため、マイナスの影響があったとしても短期的なものに終わると弊社では見ている。
オーストラリア市場については今後、直販に切り替えて販売を継続していく方針で、営業スタッフを現在の1人から数名程度増員していく予定となっている。
利用医師からの評価は高く、顧客となる医療施設数も30拠点超でシドニーとメルボルンに集中していることから、直販に切り替わったとしても人材さえ確保できれば売上を伸ばしていくことは十分可能と見られる。
今後も耳鼻咽喉科領域や内視鏡分野での顧客開拓に注力し、売上拡大を目指して行く予定となっている。


なお、同社はゲティンゲグループ向けに最終販売価格の約50%の水準で卸販売していたため、直販に切り替えれば単純に売上高が2倍に増える計算となる。
営業費用が増加するため、そのまま利益増につながるわけではないが、売上高を維持拡大していくことができれば、利益面でもプラスになることが予想される。
なお、約50%というマージンは欧州代理店に関してもほぼ同水準となっている。
一般的な水準と比較するとやや厳しめの条件ではあるものの、今後、量産効果により製造原価率の低減が進めば、同社においても2ケタ台の営業利益率を確保できるものと予想される。


そのほか2019年4月期の計画には、韓国における止血材のCEマーク認証取得時に獲得できる販売パートナーからのマイルストーン収入50百万円を見込んでいる。


また、中南米・カナダ向けについては、ブラジルやメキシコでの販売増により18百万円を見込んでいたが、足下の状況からすると中南米市場については2018年4月期とほぼ同規模の売上水準にとどまる可能性が高い。
一方でカナダ向けについては当初計画に織込んでいなかったが、2019年4月期中にCEマークの製品登録が承認される可能性が高く、承認後に販売代理店を通じた販売も開始される見込みだ。
販売代理店に関しては複数社から引き合いがあり、1社と独占ライセンス契約を締結するか、複数社と代理店契約を結ぶか流動的となっている。
市場規模としてはオーストラリアよりもやや大きいため、2019年4月期は中南米向けの売上未達分をカナダ向けでカバーできる可能性がある。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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