Ann Saphir
[11日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は11日、2023年はインフレ率が低下する「殿堂入り」の年であり、この傾向が続く限り24年に数回の利下げが行われる道が開かれると述べた。
ロイターとのインタビューで「政策金利をいつ、どれだけ引き下げるべきかの主要な判断材料はインフレデータがどうなるか、そしてわれわれの政策目標を達成できるかにかかっている」と指摘。「数週間、数カ月先に指標の発表を控える中で手を縛るのは好まない。1月時点で3月や6月の会合などについて判断することはない」とした。
昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で発表された金利見通しでは1人の政策当局者が24年末の政策金利の水準が4%を下回ると予想していたが、グールズビー総裁はその当局者は自身ではないとし、自身の予想は「中央値に近かった」とした。
<黄金の道>
米労働省が11日発表した昨年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.4%上昇と伸びは前月の3.1%から加速し、ロイターがまとめた市場予想(3.2%上昇)を上回った。家賃が上昇傾向を維持した。
これを受け、グールズビー総裁は予想に「かなり近い」内容だったとしながらも、サービスインフレは自身の予想より冷え込んでいる一方、住宅インフレはやや過熱していると言及。ただ住宅インフレに関してはFRBの2%の物価目標への影響は限定的とした。
FRBが物価の目安として注目している個人消費支出(PCE)価格指数では住宅インフレはさほど重視されていない。
グールズビー総裁は他のデータからも家賃の低下が示唆されており、最終的な全体的なインフレ率に織り込まれるはずとした。
また、現在は失業率の急上昇を伴わずに高インフレを抑制させる「黄金の道」の途上にあると言及。ただ住宅インフレが長引いたり、紅海での運航停止などによって新たな供給ショックが起こったりした場合には、この道筋にリスクが生じるとした。
さらに今年のリスクは昨年とは異なり、金融引き締めが長期化し失業率が上昇する可能性が含まれているとした。
「物価の安定」と「雇用の最大化」というFRBの二大責務については「(インフレ率が2%目標に)戻る道を歩んでいることが明らかなことが続けば、われわれはもう一つの責務にもより注意を払うようになる」とした。