[9日 ロイター] - 国際連合の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は9日に公表した報告書で、地球温暖化が手に負えなくなる状況に危険なほど近づいており、人類に責任があることは「疑う余地がない」と表明した。
国連のグテレス事務総長は声明で「人類にとって非常事態だ」と訴えた。
世界各国は3カ月後にスコットランドのグラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、今より一層積極的な気候変動対策を練り上げ、それに必要な資金を調達する意向だ。
報告書によると、温室効果ガスの排出量を削減するために迅速かつ大規模な行動を取らなければ、地球の平均気温は20年以内に、上昇幅が1.5度の基準値に達するか、それを超える可能性が高い。地球の平均気温は「疑いなく人間の活動によって引き起こされた」排出によって、すでに産業革命前の平均から1.1度上昇しており、大気中の汚染の緩和効果がなければさらに0.5度上昇していたとみられる。
一般的に、広範な経済的・社会的激変に苦しむことなく人類が対処できる最大の上昇幅は1.5度とされる。グリーンランドの陸氷が溶け続けて海面が上昇することは「ほぼ確実」。海洋が温かくなり拡大するにつれて、海面は何世紀にもわたって上昇し続ける見通しだ。
IPCCの共同執筆者でキングス・カレッジ・ロンドンの気候科学者であるタムシン・エドワーズ氏は「われわれは現在、気候変動の一部に深く入り込んでおり、数百年から数千年の間、不可逆的なものもある」と指摘。「しかし温暖化を抑制すればするほどこれらの変化を避けたり遅らせたりできる」と強調した。