米国株価指数を開発・算出するMSCI社は米東部時間20日夕方、中国本土上場の人民元建て株式(A株)を同社の新興国株価指数に組み入れると発表した。
中国国内メディアは、海外からの資金流入により低迷だったA株の相場は上昇するのではと分析した。
しかし、一部の専門家は海外投資家に対して、株式市場への政府の介入は依然として強く、政策で市場をコントロールしてきた管理手法は今後も続くため、慎重に投資を行うようと呼び掛けている。
MSCIは20日、2018年6月から中国のA株をMSCI新興国株価指数への採用を実施するとした。
222銘柄の中国A株大型株をMSCI新興国株価指数に組み入れるとされているが、その構成比率は全体の0.73%にとどまる。
MSCIは、13年から中国A株の採用を検討し始めたが、外国人投資家への開放が不十分として、3年連続採用を見送った。
今回4回目の定期見直しで採用を決定した。
香港・上海株相互取引(滬港通)と香港・深セン株相互取引(深港通)では、1日当たりの取引上限が制限されているため、MSCIは18年5月の半年見直しと同年8月の4半期見直しと、2段階に分けてA株を同指数に組み入れていく方針を示した。
■A株の指数組み入れによる影響
新興国株価指数など様々な指数を含むMSCI指数は、国際的証券投資のパフォーマンスを測定するために世界中の投資家に広く使われている。
特に、世界の機関投資の90%以上がグルーバる株式投資のベンチマークとして利用している。
A株がMSCI指数に採用されたことで、最大なメリットは、MSCI指数に連動する海外ファンドからの資金が中国株市場に流入することだ。
過去、台湾と韓国株式市場がMSCI指数に組み込まれた後、海外ファンドの資金流入で、株式相場が大幅に上昇した。
中国国内メディアの「証券時報網」は、中長期的にA株の採用で、より多くの海外機関投資家がA株市場に参入し、個人投資家が8割以上を占める中国株式市場の構造を大きく変える同時に、人民元国際化の推進に有利だとの見方を示した。
MSCIは、同指数組み込みによって、今後中国A株市場への資金流入が170~180億ドル(約1兆8870億~1兆9980億円)で、将来A株のすべての銘柄をMSCI指数に組み入れる場合、3400億ドル(約37兆7400億円)の資金流入が予測するとの認識を示した。
中国証券会社の中銀国際証券は、MSCI指数組み入れで、短期的に約800億元(約1兆2800億円)の資金、中長期には1800億ドル(約19兆9800億円)資金が海外から中国本土株式市場に流れ込むと推測する。
ブルームバーグ(21日付)によると、一部の市場関係者は短期的に中国A株への資金流入は80~100億ドル(約8880億~1兆1100億円)規模と予想している。
■15年株価大暴落の例も 政治介入される市場 海外投資家は慎重に
金融評論家の文小剛氏は、中国のA株式市場をよく知らない海外投資家が多いため、今後リスク管理を重要視しなければならないと提案した。
文氏は、A株市場は自由市場ではなく、中国当局の管理監督を強く受ける市場で、相場の上昇・下落は当局の政策によってコントロールされていると指摘。
「15年株価大暴落がその例だ。
大暴落の前は、当局は政府系メディアを通じて、株式市場の強気相場がもうすぐ現れると大いに煽り、国民の株式の買い意欲を刺激して、株価の急上昇を招いた。
しかし、市場が過熱化し過ぎると、今度はバブルの沈静化を図って、抑制措置を打ち出した。
この結果、15年の株価大暴落を発生した。
それに続いて、当局はまた株式市場の救済を始めた。
このように頻繁な市場への干渉は投資家を困惑させている」とした。
また、文氏は中国証券当局(証券監督管理員会、証監会)の管理能力が高くないとした。
例えば、16年1月初めに起きた新たな暴落も完全に人為的な原因で起きたという。
証券当局は業界専門家の意見を押し切って、「サーキットブレーカー」制度を導入した。
同制度が導入された初日の昨年1月4日、冴えない中国経済統計が悪材料となり、株市場の主要株価指数全般が急落し、サーキットブレーカーが初めて発動され、当日の大引けまで取引が停止となった。
これがさらにパニックを呼び、1月7日にも売り注文が殺到したため、サーキットブレーカーが発動された。
この状況に対して、同制度の考案者である米国元財務長官のニコラス・ブレディ氏は、中国のサーキットブレーカー制度は間違っているとの見解を示した。
文氏によると、15年大暴落後、中国国内で行われた統計では、大暴落以前、証券当局にいた海外金融大手で勤務した経験を持つ優秀な人材の多くは、当局内部からの排斥を受けたため、他の金融機関に転職した。
当時国内メディアは、証券当局には優秀な人材もいないと批判した。
さらに、中国当局の政策の不透明さも、海外投資家にとって大きなリスクだと文氏が指摘。
MSCIのヘンリー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は5月に、新金融商品関連の統計データーを公表する際、事前に中国当局からの批准を得なければならないなど、中国株をMSCI指数採用にまだ多くの課題がある、と明らかにした。
文小剛氏は、中国当局の政策や統計が不透明であるだけではなく、中国企業の統計にもねつ造や水増し問題もあると警告。
今月初め、中国国内メディアは、一部の企業は株式上場を果たすために、弁護士事務所や会計監査事務所と銀行が共謀して企業の財務状況をねつ造したと報道した。
投資家が企業の粉飾財務報告を信じ込み、その企業の株式を購入すれば、巨額な損失を被ることが予想されるため、文氏は海外投資家が中国株について慎重に判断すべきだと主張した。
(翻訳編集・張哲)
【ニュース提供・大紀元】
中国国内メディアは、海外からの資金流入により低迷だったA株の相場は上昇するのではと分析した。
しかし、一部の専門家は海外投資家に対して、株式市場への政府の介入は依然として強く、政策で市場をコントロールしてきた管理手法は今後も続くため、慎重に投資を行うようと呼び掛けている。
MSCIは20日、2018年6月から中国のA株をMSCI新興国株価指数への採用を実施するとした。
222銘柄の中国A株大型株をMSCI新興国株価指数に組み入れるとされているが、その構成比率は全体の0.73%にとどまる。
MSCIは、13年から中国A株の採用を検討し始めたが、外国人投資家への開放が不十分として、3年連続採用を見送った。
今回4回目の定期見直しで採用を決定した。
香港・上海株相互取引(滬港通)と香港・深セン株相互取引(深港通)では、1日当たりの取引上限が制限されているため、MSCIは18年5月の半年見直しと同年8月の4半期見直しと、2段階に分けてA株を同指数に組み入れていく方針を示した。
■A株の指数組み入れによる影響
新興国株価指数など様々な指数を含むMSCI指数は、国際的証券投資のパフォーマンスを測定するために世界中の投資家に広く使われている。
特に、世界の機関投資の90%以上がグルーバる株式投資のベンチマークとして利用している。
A株がMSCI指数に採用されたことで、最大なメリットは、MSCI指数に連動する海外ファンドからの資金が中国株市場に流入することだ。
過去、台湾と韓国株式市場がMSCI指数に組み込まれた後、海外ファンドの資金流入で、株式相場が大幅に上昇した。
中国国内メディアの「証券時報網」は、中長期的にA株の採用で、より多くの海外機関投資家がA株市場に参入し、個人投資家が8割以上を占める中国株式市場の構造を大きく変える同時に、人民元国際化の推進に有利だとの見方を示した。
MSCIは、同指数組み込みによって、今後中国A株市場への資金流入が170~180億ドル(約1兆8870億~1兆9980億円)で、将来A株のすべての銘柄をMSCI指数に組み入れる場合、3400億ドル(約37兆7400億円)の資金流入が予測するとの認識を示した。
中国証券会社の中銀国際証券は、MSCI指数組み入れで、短期的に約800億元(約1兆2800億円)の資金、中長期には1800億ドル(約19兆9800億円)資金が海外から中国本土株式市場に流れ込むと推測する。
ブルームバーグ(21日付)によると、一部の市場関係者は短期的に中国A株への資金流入は80~100億ドル(約8880億~1兆1100億円)規模と予想している。
■15年株価大暴落の例も 政治介入される市場 海外投資家は慎重に
金融評論家の文小剛氏は、中国のA株式市場をよく知らない海外投資家が多いため、今後リスク管理を重要視しなければならないと提案した。
文氏は、A株市場は自由市場ではなく、中国当局の管理監督を強く受ける市場で、相場の上昇・下落は当局の政策によってコントロールされていると指摘。
「15年株価大暴落がその例だ。
大暴落の前は、当局は政府系メディアを通じて、株式市場の強気相場がもうすぐ現れると大いに煽り、国民の株式の買い意欲を刺激して、株価の急上昇を招いた。
しかし、市場が過熱化し過ぎると、今度はバブルの沈静化を図って、抑制措置を打ち出した。
この結果、15年の株価大暴落を発生した。
それに続いて、当局はまた株式市場の救済を始めた。
このように頻繁な市場への干渉は投資家を困惑させている」とした。
また、文氏は中国証券当局(証券監督管理員会、証監会)の管理能力が高くないとした。
例えば、16年1月初めに起きた新たな暴落も完全に人為的な原因で起きたという。
証券当局は業界専門家の意見を押し切って、「サーキットブレーカー」制度を導入した。
同制度が導入された初日の昨年1月4日、冴えない中国経済統計が悪材料となり、株市場の主要株価指数全般が急落し、サーキットブレーカーが初めて発動され、当日の大引けまで取引が停止となった。
これがさらにパニックを呼び、1月7日にも売り注文が殺到したため、サーキットブレーカーが発動された。
この状況に対して、同制度の考案者である米国元財務長官のニコラス・ブレディ氏は、中国のサーキットブレーカー制度は間違っているとの見解を示した。
文氏によると、15年大暴落後、中国国内で行われた統計では、大暴落以前、証券当局にいた海外金融大手で勤務した経験を持つ優秀な人材の多くは、当局内部からの排斥を受けたため、他の金融機関に転職した。
当時国内メディアは、証券当局には優秀な人材もいないと批判した。
さらに、中国当局の政策の不透明さも、海外投資家にとって大きなリスクだと文氏が指摘。
MSCIのヘンリー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は5月に、新金融商品関連の統計データーを公表する際、事前に中国当局からの批准を得なければならないなど、中国株をMSCI指数採用にまだ多くの課題がある、と明らかにした。
文小剛氏は、中国当局の政策や統計が不透明であるだけではなく、中国企業の統計にもねつ造や水増し問題もあると警告。
今月初め、中国国内メディアは、一部の企業は株式上場を果たすために、弁護士事務所や会計監査事務所と銀行が共謀して企業の財務状況をねつ造したと報道した。
投資家が企業の粉飾財務報告を信じ込み、その企業の株式を購入すれば、巨額な損失を被ることが予想されるため、文氏は海外投資家が中国株について慎重に判断すべきだと主張した。
(翻訳編集・張哲)
【ニュース提供・大紀元】