日経平均は3日続伸。
73.67円高の21208.09円(出来高概算4億7000万株)で前場の取引を終えている。
週明け10日の米株式市場でNYダウは78ドル高と6日続伸し、およそ1カ月ぶりに26000ドル台を回復した。
トランプ政権がメキシコからの輸入品に対する関税引き上げの見送りを発表し、アジア・欧州株が全面高となった流れを引き継いだ。
ただ、東京市場では前日に関税引き上げの見送りを織り込んでおり、日経平均も節目の21000円台を回復していただけに、本日は戻り待ちの売りが先行して34円安からスタート。
寄り付き後は円相場の下落とともに買い戻しが入り、プラスに切り返すとこの日の高値で前場を折り返した。
東証1部の値上がり銘柄は全体の6割ほど、対して値下がり銘柄は3割強となっている。
個別では、ソフトバンクG (T:9984)、トヨタ自 (T:7203)、ソニー (T:6758)、日立 (T:6501)などがしっかり。
米半導体株高の流れを引き継いで東エレク (T:8035)などが買われ、村田製 (T:6981)などの電子部品株や安川電 (T:6506)などの設備投資関連株も上げが目立つ。
決算発表のピジョン (T:7956)は朝安後に切り返し4%高。
業績は一過性要因で市場予想を下回ったものの、中国事業の正常化が確認された点などがポジティブ視されたようだ。
5月の月次売上高が好調だったMRO (T:3064)は5%超高。
また、富士興産 (T:5009)などが東証1部上昇率上位に顔を出した。
一方、任天堂 (T:7974)、ファーストリテ (T:9983)、キーエンス (T:6861)などは軟調。
このところ活況だった日本通信 (T:9424)は過熱警戒感もあって反落している。
また、新たな施工不良が判明したレオパレス21 (T:8848)などが東証1部下落率上位に顔を出した。
セクターでは、証券、鉱業、銀行業などが上昇率上位。
反面、陸運業、倉庫・運輸関連業、精密機器などが下落率上位だった。
日経平均は前日、米メキシコの摩擦懸念が後退したことにより250円近く上昇し、節目の21000円台を回復。
一方でNYダウは6日続伸ながら連騰の影響で伸び悩んだ印象もあり、本日の東京市場では戻り待ちの売りが先行する格好となった。
ただ、米国でもフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2%超上昇しており、これにつれて東エレクなどが買われ日経平均を押し上げた。
日経平均の日足チャートを見ると、前日の上昇で25日移動平均線を上抜けており、短期的には追随の買いが入りやすいところだろう。
主要国で金融緩和への期待が高まっていることも、ハイテク株を中心とした株高の背景にある。
ただ、日経平均が21000円台半ばに差し掛かると、過去の累積売買代金が多い価格帯だけに戻りは鈍くなるとみられている。
日経平均の予想PERは前日時点でなお12倍を下回っており、割安とみることもできるだろうが、世界的に経済の減速を示す指標が相次いでいることなどを考慮するとバリュエーションが本格的に上向くことも期待しづらい。
また、株式市場では消費増税見送りと衆参ダブル選実施への期待が根強くあったが、各種メディアでダブル選見送り、増税実施観測が伝わっている。
目先戻りが続くとしても、21000円半ばから後半がひとまずメドとして意識されるか。
(小林大純)