■萩原電気 (T:7467)の会社概要
(1)沿革
創業者である萩原忠臣(はぎわらただおみ)氏がアンリツ (T:6754)勤務を経て1948年に創業し、無線機などの電子機器メーカーとして会社を設立した。
1956年にNEC (T:6701)の販売特約店として真空管販売を始め、1970年代に自動車分野へ進出。
これを機に事業を拡大し、現在はデンソー (T:6902)などトヨタグループ企業を主要取引先としている。
株式を1995年に店頭市場(現東京証券取引所JASDAQ市場)に上場し、2014年11月には東京証券取引所市場第1部、名古屋証券取引所市場第1部に上場変更した。
(2)事業内容
同社の主たる事業は、マイクロコンピューター(マイコン)や各種半導体等を半導体メーカーから仕入れ、販売する電子部品商社としての機能であるが、それだけでなくIT機器の仕入れ、販売やインテグレーションに加え、産業用電子機器の開発、製造、販売も行っている。
車載用半導体などでは、商品企画・設計段階から参画して、顧客企業の要望に沿ったスペックのマイコンや周辺デバイスの提供を行っている。
ハイブリッド車や電気自動車(EV)の普及に伴う電装化の高まりが同社の成長を支えているが、今後は自動車での更なる自動化(自動運転、自動ブレーキ等)や製造現場でのIT化の波も同社にとって追い風となる。
業種別の売上高構成比(2016年3月期)は、自動車86.9%、FA機器5.6%、民生機器3.4%、OA機器0.6%、その他3.5%だった。
FA機器やその他の中にも間接的に自動車向けがあるため、実質の自動車向けは約90%となっている。
また、主要ユーザー別の売上高構成比(同)は、デンソー55.4%、トヨタ自動車9.0%、東海理化 (T:6995)5.9%、その他国内20.9%、海外子会社得意先8.9%となった。
ただし、海外子会社得意先の大部分はデンソー及び東海理化の子会社向けとなっている。
一方で、仕入れの70%近くがルネサスエレクトロニクス (T:6723)からとなっている。
同社は、開示上のセグメントとして「デバイスビジネスユニット事業」と「ソリューションビジネスユニット事業」の2つを開示しているが、重要な社内組織として「開発生産本部」と「技術センター」が関わっている。
概要は次のとおり。
a)デバイスビジネスユニット事業
主に自動車関連企業向けに、マイコン、システムLSI、アナログ・パワー半導体、コンデンサ、リレー、コネクタなどの電子部品の販売を行う。
また、システムLSIの設計やソフトウェア開発などの技術サポートビジネスも展開する。
具体的には、次世代車の企画時に顧客メーカーの機能的要望を聞き取り、それを実現する最適なマイコンを含めた周辺デバイスを提案している。
またデバイスの開発時には、マイコンの性能や各種開発ツールの技術面でのサポート、デバイスの動作確認や評価を行い、量産時にはそのデバイスを適時供給するというワンストップソリューションを提供。
また、最適な機能を実現するマイコンが標準品にない場合、半導体・電子部品メーカーと共同でハードウェアの開発も行う。
b)ソリューションビジネスユニット事業
IT機器の販売とプラットフォーム構築及び計測機器販売を核とし、自社製品である産業用コンピュータの開発、製造、販売も手掛け、これらを組み合わせた各種ソリューションを提供する。
また、自動車や半導体といった各産業分野向けFAシステム、物流システム、生産管理システムなどの構築サービス、データセンターサービスなどソリューション提案型のビジネスを行っている。
自動車業界向け以外の事業を伸ばすため、同社はデータセンター事業を育成している。
2012年5月には愛知県内にデータセンターを開設。
クラウド型のファイル共有・同期サービスやハウジングサービス(サーバー預かり)を提供し、自前で投資する余裕のない中小企業の情報基盤整備や災害復旧(DR)対策の需要を取り込んでいる。
主要既存顧客の自動車関連メーカーに加えて、非製造業も含めた新規顧客の開拓に注力中だ。
また、これら機器販売やITソリューションの提供によって獲得した新規顧客から、半導体や電子部品といったデバイスビジネスユニット事業での新規受注を得るというシナジー効果も見込んでいる。
c)開発生産本部
ソリューションビジネスユニット事業のセグメントとして開示されており、ソリューションビジネスユニット事業配下の1つの事業部門として分かれている。
電子・情報プロダクツの開発、製造に取り組むメーカー部門である。
同部門では、各産業分野に対応したタイムスケールを最重要課題とし、効率と環境を追求した信頼できる電子機器やシステムソリューションを提案する。
同社が長年携わってきた産業機器・計測制御機器の開発における経験を新しい技術と融合させ、多岐にわたる分野に応用している。
実例として、主に次の4つの分野に注力している。
1)社会インフラシステムソリューション
ICカードシステム、デジタルサイネージ、KIOSK端末、道路・交通システム、金融システム等
2)産業制御システムソリューション
工作機械、産業用ロボット、計測システム、各種産業機械等
3)セキュリティシステムソリューション
生体認証システム、ゲートウェイシステム、入退室セキュリティ等
4)カスタムコントローラソリューション
医療用補助機器、半導体製造・検査装置、画像処理システム、物流システム等
d)技術センター
セグメントとしては開示されていないが、同社の主要事業を技術面で支える重要なプロフェッショナル集団である。
デバイスビジネスユニット事業、ソリューションビジネスユニット事業、開発生産本部それぞれの技術スペシャリストを集結させて設立された。
蓄積してきた技術・情報・経験の融合により、従来の事業分野の枠を越えて将来を見据えた技術戦略の立案、要素技術の開発及びビジネス企画の創出を行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
(1)沿革
創業者である萩原忠臣(はぎわらただおみ)氏がアンリツ (T:6754)勤務を経て1948年に創業し、無線機などの電子機器メーカーとして会社を設立した。
1956年にNEC (T:6701)の販売特約店として真空管販売を始め、1970年代に自動車分野へ進出。
これを機に事業を拡大し、現在はデンソー (T:6902)などトヨタグループ企業を主要取引先としている。
株式を1995年に店頭市場(現東京証券取引所JASDAQ市場)に上場し、2014年11月には東京証券取引所市場第1部、名古屋証券取引所市場第1部に上場変更した。
(2)事業内容
同社の主たる事業は、マイクロコンピューター(マイコン)や各種半導体等を半導体メーカーから仕入れ、販売する電子部品商社としての機能であるが、それだけでなくIT機器の仕入れ、販売やインテグレーションに加え、産業用電子機器の開発、製造、販売も行っている。
車載用半導体などでは、商品企画・設計段階から参画して、顧客企業の要望に沿ったスペックのマイコンや周辺デバイスの提供を行っている。
ハイブリッド車や電気自動車(EV)の普及に伴う電装化の高まりが同社の成長を支えているが、今後は自動車での更なる自動化(自動運転、自動ブレーキ等)や製造現場でのIT化の波も同社にとって追い風となる。
業種別の売上高構成比(2016年3月期)は、自動車86.9%、FA機器5.6%、民生機器3.4%、OA機器0.6%、その他3.5%だった。
FA機器やその他の中にも間接的に自動車向けがあるため、実質の自動車向けは約90%となっている。
また、主要ユーザー別の売上高構成比(同)は、デンソー55.4%、トヨタ自動車9.0%、東海理化 (T:6995)5.9%、その他国内20.9%、海外子会社得意先8.9%となった。
ただし、海外子会社得意先の大部分はデンソー及び東海理化の子会社向けとなっている。
一方で、仕入れの70%近くがルネサスエレクトロニクス (T:6723)からとなっている。
同社は、開示上のセグメントとして「デバイスビジネスユニット事業」と「ソリューションビジネスユニット事業」の2つを開示しているが、重要な社内組織として「開発生産本部」と「技術センター」が関わっている。
概要は次のとおり。
a)デバイスビジネスユニット事業
主に自動車関連企業向けに、マイコン、システムLSI、アナログ・パワー半導体、コンデンサ、リレー、コネクタなどの電子部品の販売を行う。
また、システムLSIの設計やソフトウェア開発などの技術サポートビジネスも展開する。
具体的には、次世代車の企画時に顧客メーカーの機能的要望を聞き取り、それを実現する最適なマイコンを含めた周辺デバイスを提案している。
またデバイスの開発時には、マイコンの性能や各種開発ツールの技術面でのサポート、デバイスの動作確認や評価を行い、量産時にはそのデバイスを適時供給するというワンストップソリューションを提供。
また、最適な機能を実現するマイコンが標準品にない場合、半導体・電子部品メーカーと共同でハードウェアの開発も行う。
b)ソリューションビジネスユニット事業
IT機器の販売とプラットフォーム構築及び計測機器販売を核とし、自社製品である産業用コンピュータの開発、製造、販売も手掛け、これらを組み合わせた各種ソリューションを提供する。
また、自動車や半導体といった各産業分野向けFAシステム、物流システム、生産管理システムなどの構築サービス、データセンターサービスなどソリューション提案型のビジネスを行っている。
自動車業界向け以外の事業を伸ばすため、同社はデータセンター事業を育成している。
2012年5月には愛知県内にデータセンターを開設。
クラウド型のファイル共有・同期サービスやハウジングサービス(サーバー預かり)を提供し、自前で投資する余裕のない中小企業の情報基盤整備や災害復旧(DR)対策の需要を取り込んでいる。
主要既存顧客の自動車関連メーカーに加えて、非製造業も含めた新規顧客の開拓に注力中だ。
また、これら機器販売やITソリューションの提供によって獲得した新規顧客から、半導体や電子部品といったデバイスビジネスユニット事業での新規受注を得るというシナジー効果も見込んでいる。
c)開発生産本部
ソリューションビジネスユニット事業のセグメントとして開示されており、ソリューションビジネスユニット事業配下の1つの事業部門として分かれている。
電子・情報プロダクツの開発、製造に取り組むメーカー部門である。
同部門では、各産業分野に対応したタイムスケールを最重要課題とし、効率と環境を追求した信頼できる電子機器やシステムソリューションを提案する。
同社が長年携わってきた産業機器・計測制御機器の開発における経験を新しい技術と融合させ、多岐にわたる分野に応用している。
実例として、主に次の4つの分野に注力している。
1)社会インフラシステムソリューション
ICカードシステム、デジタルサイネージ、KIOSK端末、道路・交通システム、金融システム等
2)産業制御システムソリューション
工作機械、産業用ロボット、計測システム、各種産業機械等
3)セキュリティシステムソリューション
生体認証システム、ゲートウェイシステム、入退室セキュリティ等
4)カスタムコントローラソリューション
医療用補助機器、半導体製造・検査装置、画像処理システム、物流システム等
d)技術センター
セグメントとしては開示されていないが、同社の主要事業を技術面で支える重要なプロフェッショナル集団である。
デバイスビジネスユニット事業、ソリューションビジネスユニット事業、開発生産本部それぞれの技術スペシャリストを集結させて設立された。
蓄積してきた技術・情報・経験の融合により、従来の事業分野の枠を越えて将来を見据えた技術戦略の立案、要素技術の開発及びビジネス企画の創出を行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)