[11日 ロイター] - <為替> ドル指数が下落し2カ月ぶりの安値を付けた。米金融政策の引き締めサイクルが終わりに近づいているとの米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言が引き続き材料視された。一方、予想を上回る賃金の伸びを受けポンドが15カ月ぶりの高値を付けた。
ドル/円は一時、4週間ぶりの安値となる140.17円まで下落。終盤は0.7%安の140.385円。ドルは対スイスフランでも2年半ぶりの安値を付けた。終盤は0.6%安の0.8797フランだった。
複数のFRB当局者は10日、FRBはインフレ抑制に向け追加利上げを実施する必要がありそうだが、現在の金融引き締めサイクルは終わりに近づいていると述べた。
この発言を背景にドル指数は101.66と2カ月ぶりの安値を付けた。終盤は0.3%安の101.65だった。
米労働省が7日発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は予想以上に伸びが鈍化し、2020年12月以来2年半ぶりの小幅増にとどまった。
ウェラー氏はまた「12日の米消費者物価指数(CPI)発表が待たれる中、11日に発表された英賃金の力強い伸びと現在進行中の日本円に対するショートカバーがポンドと日本円の上昇につながっている」とした。
6月の米コアCPIは前年同月比で5%上昇が見込まれている。
ポンド/ドルは一時1.2934ドルと約15カ月ぶりの高値を付けた。終盤は0.6%高の1.2930ドル。
英国立統計局(ONS)が11日発表した3─5月の賃金上昇率は過去最高に並んだ。
ユーロ/ドルは1.1027ドルと2カ月ぶりの高値を付けた。終盤は小幅高の1.1006ドル。
対ドルでノルウェークローネは約3カ月ぶり、スウェーデンクローナは2週間ぶりの高値を付けた。
豪ドルは0.2%高の0.6697米ドル、ニュージーランド(NZ)ドルは0.3%安の0.6197米ドルとなった。
<債券> 米長期債利回りが低下した。物価上昇圧力が和らいでいるかどうかのさらなる手がかりとして、12日に発表されるインフレ統計が注目されている。
DRWトレーディング(シカゴ)の市場ストラテジスト、ルー・ブライエン氏は「CPIを控え、投資家は過度なリスクを取ろうとしていない」と指摘。金融政策引き締めは経済成長への影響を巡る懸念につながり、最終的に長期債利回りを低下させるだろうが、「その時期がいつになるのか、市場は正確に把握していない」と述べた。
12日発表の6月CPIは総合インフレ率とコアインフレ率が前月比でともに0.3%上昇、前年同月比ではそれぞれ3.1%、5.0%上昇すると見込まれている。
指標10年債利回りは2ベーシスポイント(bp)低下の3.986%。一方、2年債利回りは4bp上昇の4.898%となった。
2・10年債の利回り格差は、前日のマイナス87bpからマイナス92bpと、マイナス幅が広がった。
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は11日に掲載された英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、連邦準備理事会(FRB)は政策金利の引き上げをまだ終えていないとの見解を示した。追加利上げ幅の具体的な予想には言及しなかった。
財務省が11日に実施した400億ドルの3年債入札では堅調な需要がみられた。最高落札利回りは4.534%。応札倍率は2.88倍で5月以来の高水準だった。
財務省は12日に10年債(320億ドル)、13日に30年債(180億ドル)の入札を実施する。
<株式> 続伸。12日に発表される米インフレ統計を前に市場が楽観に傾いたほか、週内に第2・四半期決算発表を控えるJPモルガンなどの金融株が買われた。
投資家は物価上昇圧力が和らぎ、FRBの引き締めサイクルの終了が近づいているかどうかを確認するためにさらなる手掛かりを探している。
JPモルガン・チェースは1.6%上昇。14日の決算発表を前にジェフリーズは投資判断を「バイ」に引き上げた。
JPモルガンなど銀行大手を皮切りに決算発表シーズンが実質始まる。S&P銀行株指数は1.5%高となった。米銀行の第2・四半期決算は金利収入の増加がM&A(合併・買収)の減少を補い、増益になる見込み。
原油相場の上昇を背景にエネルギー株も大幅高を演じた。
S&P総合500種構成銘柄で上昇が目立ったのはアクティビジョン・ブリザードで10%上昇。サンフランシスコ連邦地裁裁判所は11日、マイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザード買収を巡り、連邦取引委員会(FTC)が求めていた仮差し止め請求を退けた。
顧客管理ソフト大手セールスフォースは3.9%高。同社がクラウドとマーケティングサービスの一部について7年ぶりの値上げを発表したことが買い材料。
<金先物> 6月の米CPI公表を翌12日に控えて様子見気分が広がる中、 米長期金利の低下を眺めて反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比6. 10ドル(0.32%)高の1オンス=1937.10ドル。
<米原油先物> 米利上げ局面の早期終了観測が台頭する中で買われ、反発した。米国産標準油種WTI8月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.84ドル(2.52%)高の1バレル=74.83ドル。中心限月の清算値としては5月1日以来約2カ月半ぶりの高値水準となった。9月物の清算値は1.76ドル高の74.71ドル。
ドル/円 NY終値 140.37/140.40
始値 140.37
高値 140.97
安値 140.24
ユーロ/ドル NY終値 1.1006/1.1010
始値 1.1005
高値 1.1009
安値 1.0978
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 93*08.50 4.0140%
前営業日終値 92*25.50 4.0420%
10年債(指標銘柄) 17時05分 95*04.00 3.9780%
前営業日終値 94*29.00 4.0060%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*30.00 4.2392%
前営業日終値 98*29.00 4.2460%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*16.38 4.8874%
前営業日終値 99*17.88 4.8620%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34261.42 +317.02 +0.93
前営業日終値 33944.40
ナスダック総合 13760.70 +75.22 +0.55
前営業日終値 13685.48
S&P総合500種 4439.26 +29.73 +0.67
前営業日終値 4409.53
COMEX金 8月限 1937.1 +6.1
前営業日終値 1931.0
COMEX銀 9月限 2328.1 ‐6.4
前営業日終値 2334.5
北海ブレント 9月限 79.40 +1.71
前営業日終値 77.69
米WTI先物 8月限 74.83 +1.84
前営業日終値 72.99
CRB商品指数 267.5960 +3.2132
前営業日終値 264.3828