[シドニー 7日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は7日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを25ベーシスポイント(bp)引き上げ、3.60%とした。約10年ぶりの高水準となる。
中銀はインフレ抑制のため、金融政策の一段の引き締めが必要になると表明。賃金の伸びは依然としてインフレ目標に沿った水準で、最近の指標は物価と賃金が互いを追いかけるサイクルのリスクが低下していることを示唆していると述べた。
声明では、追加の「利上げ」が必要になるとの文言を「一段の引き締め」が必要になるとの文言に修正。ハト派的な姿勢を示し、利上げサイクルが終わりに近づいている可能性を示唆した。
利上げは昨年5月以降10回目。引き上げ幅は計350bpに達し、豪中銀としては近代史上最も積極的な引き締めサイクルにある。
政策発表を受け豪ドル/米ドルは2カ月ぶり安値の0.6690米ドルを付けた。3年債先物は16ティック高の96.640となった。市場では中銀が金利を4.10%以上に引き上げるのではなく、3.85%で利上げを休止する可能性が高いとみている。
BISオックスフォード・エコノミクスのマクロ経済予測責任者ショーン・ラングケーキ氏は「この日の声明は先月よりややハト派的で、今回の(利上げ)サイクルであと1回しか利上げが行われない可能性を残している」と指摘した。
ロウ総裁は声明で「理事会は経済の安定を維持しながらインフレ率を2─3%の目標範囲に戻すことを目指しているが、ソフトランディング(経済の軟着陸)を達成する道は依然として狭い」と述べた。
市場では25bpの利上げが完全に織り込まれていたほか、失業率の上昇や失望を誘う国内総生産(GDP)統計、賃金の伸びが抑制されていることを踏まえ、フォワードガイダンスが緩和されるとの観測も広がっていた。
2022年第4・四半期の実質GDPは前期比0.5%増と1年ぶりの低い伸びにとどまった。物価上昇により家計の購買力が低下し、貯蓄が減少している兆候が見られ、個人消費の鈍化を示す材料が増えている。
ただ、インフレ率は最近ピークに達した兆しを示しているものの、依然として高い水準にある。
中銀は声明で「金利をいつどの程度引き上げる必要があるかを判断する際には、世界経済の動向、個人消費の傾向、物価と労働市場の見通しに細心の注意を払っていく」とした。
コモンウェルス銀行のエコノミスト、ガレス・エアド氏は中銀が声明で「いつ(when)」という文言を使ったことについて、4月の利上げを巡り中銀が判断しかねていることを示しているとし、4月に利上げをいったん休止する可能性を指摘した。