[東京 3日 ロイター] - 日銀は3日、1─3月期の需給ギャップがプラス0.29%になったとの試算を発表した。14四半期連続のプラスとなったが、新型コロナウイルスの感染拡大で設備の過剰感が高まっており、4―6月期はマイナスになる可能性がある。
プラスの連続記録は1987年10―12月期から92年10―12月期までの21四半期連続。1―3月期は、2019年10─12月期のプラス1.07%から需要超過幅が縮小した。
内訳をみると、資本投入ギャップがプラス0.06%、労働投入ギャップがプラス0.23%。いずれも前期のプラス0.21%、プラス0.86%からプラス幅が縮小した。新型コロナの感染拡大で生産が縮小し、設備稼働率が低下したことが重しとなった。
<短観では生産設備に余剰感も>
日銀は、物価2%目標の実現にはプラスの需給ギャップの継続が重要とみている。2008年のリーマン・ショック後、需給ギャップはおおむねマイナス圏で推移していたが、16年10─12月期にプラスに転じ、内外経済の回復持続と労働市場の引き締まりを背景にプラス圏での推移が続いている。
しかし、6月調査の日銀短観では新型コロナの影響で生産設備の余剰感が急速に高まっていることが明らかになった。需給ギャップは4―6月期にマイナスに転換する可能性が出てきている。
需給ギャップは日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差。国内総生産(GDP)から推計する内閣府に対し、日銀では、生産設備の稼働率や失業率・労働参加率などから試算している。
*内容を追加します
(和田崇彦 編集:内田慎一 グラフ作成:田中志保)