(決算速報)
イトーキ<7972>(東証プライム)は8月8日の取引時間終了後に22年12月期第2四半期累計連結業績を発表した。需要が好調に推移し、構造改革プロジェクトの推進も寄与して大幅増益だった。そして通期予想を上方修正して増収増益幅が拡大する見込みとした。ワークプレイス事業においてオフィスのリニューアル商談が増加傾向であり、設備機器・パブリック事業では大型案件が寄与する。体質改善効果も継続する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来高値更新の展開だ。上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。
■22年12月期2Q累計大幅増益で通期予想を上方修正
22年12月期第2四半期累計の連結業績(収益認識会計基準適用だが損益への影響は軽微)は、売上高が前年同期比3.4%増の637億56百万円で、営業利益が47.0%増の43億71百万円、経常利益が56.0%増の44億16百万円、親会社株主帰属四半期純利益が60.5%増の36億76百万円だった。
需要が好調に推移し、構造改革プロジェクトの推進による売上総利益率上昇や販管費圧縮なども寄与して大幅増益だった。特別利益では固定資産売却益が減少(前年同期は11億77百万円計上、今期は1億39百万円計上)したが、子会社Global Treehouseの解散に伴う債務免除益7億79百万円を計上した。特別損失では前期計上の減損損失3億71百万円が剥落した。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が8億48百万円増加、売上原価が6億69百万円増加、営業利益、経常利益、および税金等調整前四半期純利益がそれぞれ1億79百万円増加している。
ワークプレイス事業は売上高が1.8%増の447億78百万円、セグメント利益(営業利益)が22.2%増の26億71百万円だった。ニューノーマル時代の新しい働き方にあわせた大型のオフィス移転やリニューアル案件を中心に需要が好調だった。原材料価格高騰の影響があったが、増収効果に加えて売上総利益率が改善した。
設備機器・パブリック事業は売上高が8.6%増の181億76百万円、営業利益が43.7%増の14億67百万円だった。子会社ダルトンにおけるサイエンスパークなどの大型商談受注が牽引し、物流設備の需要も好調だった。
IT・シェアリング事業は売上高が8.1%減の7億64百万円、営業利益が2億07百万円の黒字(前年同期は2億70百万円の赤字)だった。Global Treehouseの解散で黒字転換した。またシステム開発事業、システム検証事業、オフィス空間シェア事業が堅調に推移した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が353億45百万円で営業利益が39億64百万円、第2四半期は売上高が284億11百万円で営業利益が4億07百万円だった。なお収益はオフィス移転シーズンにあたる上期(特に第1四半期)偏重の特性がある。
第2四半期累計の好調を受けて通期の連結業績予想を上方修正し、売上高が21年12月期比6.1%増の1230億円、営業利益が56.2%増の40億円、経常利益が64.1%増の40億円、親会社株主帰属当期純利益が131.4%増の27億円とした。配当予想は据え置いて21年12月期と同額の15円(期末一括)としている。
前回予想に対して売上高を30億円、営業利益を10億円、経常利益を11億円、親会社株主帰属当期純利益を13億円それぞれ上方修正し、増収増益幅が拡大する見込みとした。ワークプレイス事業においてオフィスのリニューアル商談が増加傾向であり、設備機器・パブリック事業では大型案件が寄与する。体質改善効果も継続する見込みだ。
重点戦略として、中期経営計画に基づいた構造改革プロジェクトを推進し、ポストコロナの「働く環境」つくりでリードしていくための商品・サービスの展開を本格化する方針だ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は年初来高値更新の展開だ。月足チャートで見ると安値圏でのモミ合いから上放れの動きを強めている。上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。8月8日の終値は425円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS59円63銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS992円89銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約194億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)