[北京 16日 ロイター] - 中国国家統計局が16日発表した統計を基にロイターが算出したところによると、5月の不動産投資は前年比9.8%増と、4月の13.7%増から鈍化した。
大都市に加え、中小都市も住宅価格の上昇抑制に乗り出したことが背景。中国経済は、昨年の新型コロナウイルス禍からの回復が進んでおり、政府は投機的な取引や資産バブルの抑制に向けて対策を強化している。
地方では、不動産開発業者が設定する販売価格に上限を設けたり、不動産代理店に対し中古住宅の高額販売を禁止する措置を講じたりしている。大都市では銀行が住宅ローン金利を引き上げた。
5月の不動産販売(床面積ベース)は前年比9.2%増。4月の19.2%増から鈍化した。
5月の新築着工(床面積ベース)は前年比6.1%減。4月は9.3%減だった。
前年同期は新型コロナの流行で経済活動がまひしていたため、統計に大きなゆがみが生じている。ただ住宅価格は、不動産開発会社や購入者に対する規制強化にもかかわらず、前月比で上昇が続いている。
今月のロイター調査によると、今年の不動産投資は7%増と、前年並みになる見通し。住宅価格は5%上昇すると予想されている。
1─5月の不動産投資は、前年同期比18.3%増加した。1─4月の21.6%増から伸びが鈍化した。
E-house China Research and Development Institution(上海)のYan Yuejin氏は「今年の住宅投資の伸びはさらに軟化するだろう。債務比率上限によって資金調達が制限されているデベロッパーへの圧力に注意する必要がある」と述べた。
1─5月の不動産販売(床面積ベース)は前年比36.3%増。1─4月の48.1%増だった。
1─5月の新築着工(床面積ベース)は前年比6.9%増。1-4月は12.8%増だった。
国内の不動産開発会社が調達した資金は前年比29.9%増。1-4月の35.2%増から鈍化した。