[ワシントン 12日 ロイター] - 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によってサプライチェーン(供給網)が大混乱に陥ったが、供給元などの多様化を進めることにより、サプライチェーンの混乱に伴う経済への悪影響を大幅に軽減できることが、国際通貨基金(IMF)の新たな調査で分かった。
IMFは、新型コロナの感染抑制に向け貿易相手国が厳格なロックダウン(都市封鎖)措置を導入したことで、2020年上半期に各国で財の輸入および国内総生産(GDP)の大幅な減少が見られたと指摘。こうした減少は、最大限の効率化を目指して最適化されたバリューチェーンの脆弱性を明示し、各国政府による自国内への生産回帰の呼び掛けにつながっているとした。
ブログ記事で「世界的なバリューチェーンを解体することが答えではなく、多様性を高めることが耐性の改善につながる」と述べた。
IMFが20年初に中国で実施されたようなロックダウン措置をシミュレーションしたところ、中間製品を大規模に供給している1カ国が労働供給を25%制限した場合、GDPは平均的に約0.8%減少するが、多様化が進めば減少幅は約半分の0.4%に抑えられるという。
また、複数国への影響がある場合でも供給元の多様化が進めばGDPの減少幅は5%程度に抑えられるとした。
一方、パンデミック初期の4カ月のようなほぼ世界的なロックダウンでは多様化が進められても下方リスクの分散はほとんど得られないという。
このほか、米国や中国、インドなどで自国内への生産回帰を目的とした政策が打ち出されているが、供給元の多様化による利点はこのような政策に疑問を投げかけるとした。