[ワシントン 5日 ロイター] - 米通商代表部(USTR)のタイ代表は5日、伝統的な自由貿易協定(FTA)を追求しないとするバイデン政権の方針を強調し、非関税障壁の削減に取り組む自身のアプローチについて、労働者やサプライチェーン(供給網)、米国の対中国競争力にとってより優れていると主張した。
アメリカン大学ワシントン・カレッジ・オブ・ローで講演し、関税引き下げという従来のアプローチは、21世紀の競争の激しいグローバル経済ではもはや機能しないという考えが国内外で広がり始めていると指摘。「われわれは貿易に関する新しい物語を書いている。それは私たちをより強じんにし、私たちの経済をより持続可能にし、私たちの成果をより包摂的にするものだ」と述べた。
「積極的な自由化と関税撤廃」に焦点を当てた過去の貿易協定によって、米国などの国々は重要な材料を中国に依存し過ぎる状態になったと指摘。中国が国家主導の非市場的慣行を用いて世界の主要産業を支配することを許してしまった、との認識も示した。
政権のアプローチは国内で競争力を高めるための戦略的投資を行い「国民にとってより公平で持続可能な未来を築くために同じ考えを持つ経済圏との協力を強化する」ことによって中国の「経済的重商主義」に対処するものでなければならないと語った。