日本時間8月2日未明にビットコインからビットコイン・キャッシュが分岐した後、下落基調だったビットコイン価格は過去最高値を更新し、8月8日には一時392,500円の過去最高値を記録した(フィスコ (T:3807)傘下のフィスコ仮想通貨取引所のビットコイン/日本円チャートより)。
また同様に下落基調だった仮想通貨市場全体も再び上昇している。
今回のビットコインの分岐は、仮想通貨の代表的存在であるビットコインの価格を損なうことなく完了した。
また、日本時間8月9日未明にはビットコインにセグウィット(Segregated Witness)というビットコイン取引処理能力を高めるための技術が適用されることが確定した。
こうしたポジティブな要因が、8月1日には32万円前後で取引されていたビットコインの価格上昇を後押ししたと見られる。
ビットコイン取引は、2017年初頭以前はその8~9割が中国で行われていたが、2017年春以降、欧米や日本、韓国などの取引増加が目立つようになったことを皮切りに急激な拡大を見せ始めた。
2017年1月1日には115,000円程度だったビットコインは5月には一時345,065円を記録した。
これは、2013年から始まった中国国内のビットコイン規制と、他国の仮想通貨取引の法整備が一因であると思われる。
特に日本では2017年4月1日に通称「仮想通貨法」が施行され、多くの資金流入とともに市場が活況を見せ始めた。
これに伴い仮想通貨市場全体も大きく成長し、全体の時価総額は2017年1月1日時点の約182億米ドルから6月には一時約1162億米ドルの高値をつけた(Coin Market Capより)。
その後ビットコインの分裂への懸念などにより急落し、6月半ば~7月にはビットコインを含めた仮想通貨市場全体も落ち込みを見せて市場に不安感が漂ったが、上記で述べたようにビットコイン分裂が無事に終わった8月2日以降再びビットコイン価格が上昇すると、8月9日には仮想通貨市場全体の時価総額は1224億米ドルを上回った。
7月16日に一時約600億米ドルであった低水準から80%近く上昇し、先週に比べても30%以上の上昇となる。
ここまでビットコインが仮想通貨市場全体に占める影響力の強さについて触れてきたが、別の視点として2017年春以降の仮想通貨市場シェアの変化にも注目したい。
2017年春まではビットコインは全体の86%以上を占める一強といってよかったが、4月に仮想通貨市場全体が急成長を見せ始めて以降はイーサリアムやリップルといったアルトコインがシェアを伸ばし始めた。
8月9日時点のシェアはビットコイン45%、イーサリアム22%、リップル6%と、これまでとは違う様相を見せている。
ビットコイン価格の高騰と共にその他の仮想通貨も急成長を見せている中、今回のビットコインの分裂やセグウィット適用といった技術関連の話題が今後どのように価格に影響を与えるかが注目される。