仮想通貨を有価証券ではない新たな資産クラス「デジタルトークン」として定める法案「トークン分類法」が米国下院議会で再提出された。
「トークン分類法」が実現すれば米SECが遵守する証券法を改訂し、仮想通貨や暗号資産、およびデジタルアセットなどの発行を望む企業や団体の有価証券としての登録が必要なくなるため、世界から注目を集める米政府の仮想通貨に対する規制スタンスが強調される重要な案件だと言えるだろう。
今回の法案は昨年12月に提出された「トークン分類法2018」に微調整を加えた「トークン分類法2019」だ。
前回は共和党のWarren Davidson議員と民主党Darren Soto議員の2名が提出したが、今回はさらに以下の4名の米国議会議員が法案提出に協力した。
• Josh Gottheimer議員(民主党)• Tedd Budd議員(共和党)• Tulsi Gabbard議員(民主党)• Scott Perry議員(共和党)•トークン分類法は仮想通貨やブロックチェーン技術を活用したトークンの発行を望む企業などの参入障壁を下げ、新たな分野におけるイノベーションの促進が背景にはある。
また規制の不明瞭な点、また過度に厳しい規制を取り除かなければブロックチェーン業界における技術の革新は活性化されないことも危惧されている。
法案を提出したDavidson議員はブロックチェーン業界における革新で世界を牽引する中国を引き合いに出しながら以下のように述べた。
「(この法案やブロックチェーン技術)無しでは、アメリカはこのデジタル経済におけるイノーベーションを欧州やアジア圏に委ねてしまう。
この法案が可決することによって、米議会は世界の投資家やイノーベーター達にアメリカがブロックチェーン技術に最適な場所だと見せることができる。
」トークン分類法は昨年12月に提出されており、仮想通貨を定義化および明文化する初の法案として注目を集めていた。
しかし2月頃に法案を提出したDavidson議員は法案を再提出する動きを示唆していた。
今回の法案において注目を集めている点は法案が与野党を問わず、民主党と共和党からそれぞれ3名ずつ法案をサポートしていることだ。
党派に関わらず、仮想通貨やブロックチェーンが重要で注目すべき技術の分野であると評価されていると言えるだろう。
また仮想通貨を「デジタルトークン」という新たな資産カテゴリに入れることで有価証券としての登録義務を取り除く事も業界参入への障壁を取り除くことにつながる。
だが最大の注目点はこの法案が米国における仮想通貨に関する規制の明確化をもたらす可能性を持っていることだ。
米国において仮想通貨に関する規制や法案は州レベルで進んでいる事例も2019年に入ってから見られている。
ワイオミング州では3月に仮想通貨を「お金」と定義する法案が施行されたほか、コロラド州でも仮想通貨を有価証券としてではなく独自の資産クラスに位置付ける「デジタルトークン法」が可決されている。
しかしこのような法は州レベルの法的拘束力を持たないため、連邦政府レベルでの規制のほうが一貫性を持つ規制を提供することができる。
また米国において証券法の取り締まりや規制を行う米SEC(証券取引委員会)は先週4日、仮想通貨に関するガイダンスを発行していた。
仮想通貨がどのような場合に有価証券に該当するかを明文化したものだが、業界からは今までの発言をまとめただけと、批判する声も見られていた。
そのため、仮想通貨の規制明確化という課題克服に向け、今回再提出された「トークン分類法2019」は重要だと言えるだろう。
仮想通貨を専門としている米国の弁護士であるJake Chervinsky氏は今回の再提出について今後プロセスが長期化して、最終的な法は提出された法案と全く違うものとなる可能性もあると言及している。
いずれにせよ仮想通貨の規制面において重要な事例となる可能性が高いと考えられため、米議会がどのように「トークン分類法」に対応し議論が展開されるのか注目していきたいところだ。
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