[シンガポール 27日 ロイター] - 27日の原油先物は、供給不安を背景に急反発。週間で大幅高となる見通しだ。
米国で石油施設が集中するメキシコ湾岸に接近中の熱帯低気圧が週末にハリケーンに発達する可能性が予想される中、石油各社は沖合の石油・ガス生産施設の作業員を退避させている。
OANDAのシニア・マーケット・アナリスト、エドワード・モヤ氏はロイターに「トレーダーが原油価格を押し上げている。メキシコ湾で生産が混乱するとの見方に加え、最近のデルタ株流行が原油需要に及ぼす影響を踏まえ、石油輸出国機構(OPEC)プラスが増産に抵抗するのではないかとの見方が強まっている」と述べた。
0542GMT(日本時間午後2時42分)現在、北海ブレント先物は0.98ドル(1.4%)高の1バレル=72.05ドル。前日は1.6%値下がりしていた。
米WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は0.93ドル(1.4%)高の68.35ドル。前日は1.4%値下がりしていた。
週間では、北海ブレントが11%近く上昇する見通し。週間ベースで2020年6月以降で最大の上昇となる。WTIは週間で10%近く上昇する見通し。同8月以来の大幅上昇となる。
メキシコ湾では、BHPとBPが沖合施設で生産中止を開始したことを明らかにしている。メキシコ湾の海底油田は米原油生産の17%を占める。米製油能力の45%以上はメキシコ湾岸に集中している。
ANZリサーチはリポートで「大型ハリケーンになる見通しだ。メキシコ湾とテキサス州が週明けに大混乱に陥る可能性がある」と述べた。
前日は、複数の米連邦準備理事会(FRB)当局者が量的緩和縮小を主張したことが原油などリスク資産を圧迫する要因となった。
コモンウェルス銀行の商品アナリスト、ビベク・ダー氏は、パウエルFRB議長が講演を行う米年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)について「早期の量的緩和縮小が示唆されれば、ドルが上昇し、原油などコモディティーに圧力がかかる」との見方を示した。