■Eストアー (T:4304)の成長戦略
4. マーケティング収入の成長戦略
(1) 事業の概要
マーケティング収入は販売促進・売上高拡大のためのコンサルティングや業務運営代行という役務提供に対する対価としての収入だ。
マーケティングの事業領域を見ると、ECに進出したほとんどの企業は、EC店舗を自社サイト(本店サイト)に加え、Amazon、楽天 (T:4755)、Yahoo!などに支店を出店しているケースが多い。
ショッピングモールに出店した店舗の集客はモール自体の集客力に大きく左右される。
それに対して自社サイトは、自助努力で集客しなければならないが支店に比べて採算性は高い(ショッピングモールへの支払いがないため)という特徴がある。
同社は本店サイトの集客・売上アップを目指したマーケティング支援サービスを提供している。
また、逆説的ではあるが、自社サイトにしっかり投資できる企業はある程度の規模と体力を持った企業ということもできるだろう。
とりあえず低コストでECを始めようとするならショッピングモールに出店するほうが簡単・低コストであり、中小事業者の多くはそれを選択していると考えられるためだ。
自社サイトの販促支援を業務とする同社のマーケティングは、顧客企業の規模の面で、これまでのASPサービスであるシップサーブの提供という事業モデルに比べて格段に大きいことを想定しているが、前述した現状から、同社の狙いは現実的なものと評価できるだろう。
同社はコンサルティングや業務運営代行サービスを新規顧客はもちろん、ショップサーブ契約をしている既存顧客にも販売している。
企業規模の違いから契約金額にも大きな差があるが、一方で既存客は小回りが利き意思決定が速いため、契約件数では新規客を上回っていると弊社では推測している。
収入モデルにおいて、既存客の場合はマーケティング収入(役務提供の対価)に加えて、売上高に対する一定割合、すなわちフロウ収入が得られる点も魅力的だと弊社では考えている。
(2) Eストアーの強み
マーケティングの事業モデルは人的パワーに依存する面が大きい労働集約型であり、体制強化・キャパシティ増強とは人材獲得にほかならない。
同社はここ数年、コンサルティングや業務運営代行の業務を遂行できる人材の獲得に注力してきた。
同社がここ数年行ってきた“利益を犠牲にしての先行投資”は主としてこの領域での積極的人材採用とそれに伴う人件費の増加を意味している
販促のコンサルティングや業務運営代行において同社が強みを発揮できる理由は大きく2つあると弊社では考えている。
1つは同社が創業以来蓄積してきたECにおける売上拡大の治験とノウハウだ。
累計5万社以上を抱え、そこから得られたデータやノウハウは同社の強みを形成するには十分だと思われる。
もう1つは同社がEC支援に特化している点だ。
EC支援を標榜する企業は多いがそのほとんどは広告代理店、メディア、SEO対策などのオリジン(出自)があり、EC支援においても自社の得意領域でのソリューションを提案するケースが多い。
同社はそのいずれでもなくECを総合して支援できるため、顧客優先の姿勢を貫くことができる。
同社にとっては、広告、SEO、メディアなどはいずれも売上高拡大のための手段に過ぎない。
ゆえに常にベストの手段・手法を顧客に提案できる。
これがEC売上拡大という実績につながり、顧客の信頼を獲得し、収益成長に反映されるという流れを作っていると弊社ではみている。
(3) マーケティングの収益状況
前述のようにマーケティング収入の拡大は人的資源の拡大に制約を受けるという側面がある。
ただ、その人材の採用ペースは計画に対して遅れている状況が続いているようだ。
しかし、着実な人材の増強を反映し、マーケティング収入が着実に右肩上がりで推移しており、ここ1、2年はマーケティング収入の拡大ペースが加速しつつある。
2017年3月期のマーケティング収入は前期比32.3%増の787百万円に達した。
同社の販促支援サービスに対する需要は強く、1件当たり数百万円~1,000万円超の契約も数が増えつつある。
この傾向は年を追って強まってきている模様で、今後は、契約件数の増加による成長と、大型契約の割合の増加による成長の2つの軸によるマーケティング収入の拡大が期待できると弊社ではみている。
マーケティング収入自体は順調な拡大を続けているが、考慮すべきは利益面、すなわち、収益性だ。
ストック収入とフロウ収入はともに、固定費をカバーするだけの売上高を確保できれば、そこから上の売上高については利益率が急速に改善する費用構造となっている。
それに対してマーケティング収入は、収入獲得のためには人的資源の投入が不可欠であり、利益率が上がりにくい費用構造となっている。
この点に対する改善策の1つとして考えられるのは、前述した大型契約の増加、換言すれば受注単価の上昇だ。
顧客企業の販売動向の調査・分析、それに基づいた販促のコンサルティング、あるいは業務運営の代行といったマーケティングの実務作業は、顧客企業の売上規模の大小によってはあまり左右されない。
それゆえ同社が提供する販促のための各種サービスを幅広く購入・契約してくれる比較的規模の大きい顧客の獲得が望ましいと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
4. マーケティング収入の成長戦略
(1) 事業の概要
マーケティング収入は販売促進・売上高拡大のためのコンサルティングや業務運営代行という役務提供に対する対価としての収入だ。
マーケティングの事業領域を見ると、ECに進出したほとんどの企業は、EC店舗を自社サイト(本店サイト)に加え、Amazon、楽天 (T:4755)、Yahoo!などに支店を出店しているケースが多い。
ショッピングモールに出店した店舗の集客はモール自体の集客力に大きく左右される。
それに対して自社サイトは、自助努力で集客しなければならないが支店に比べて採算性は高い(ショッピングモールへの支払いがないため)という特徴がある。
同社は本店サイトの集客・売上アップを目指したマーケティング支援サービスを提供している。
また、逆説的ではあるが、自社サイトにしっかり投資できる企業はある程度の規模と体力を持った企業ということもできるだろう。
とりあえず低コストでECを始めようとするならショッピングモールに出店するほうが簡単・低コストであり、中小事業者の多くはそれを選択していると考えられるためだ。
自社サイトの販促支援を業務とする同社のマーケティングは、顧客企業の規模の面で、これまでのASPサービスであるシップサーブの提供という事業モデルに比べて格段に大きいことを想定しているが、前述した現状から、同社の狙いは現実的なものと評価できるだろう。
同社はコンサルティングや業務運営代行サービスを新規顧客はもちろん、ショップサーブ契約をしている既存顧客にも販売している。
企業規模の違いから契約金額にも大きな差があるが、一方で既存客は小回りが利き意思決定が速いため、契約件数では新規客を上回っていると弊社では推測している。
収入モデルにおいて、既存客の場合はマーケティング収入(役務提供の対価)に加えて、売上高に対する一定割合、すなわちフロウ収入が得られる点も魅力的だと弊社では考えている。
(2) Eストアーの強み
マーケティングの事業モデルは人的パワーに依存する面が大きい労働集約型であり、体制強化・キャパシティ増強とは人材獲得にほかならない。
同社はここ数年、コンサルティングや業務運営代行の業務を遂行できる人材の獲得に注力してきた。
同社がここ数年行ってきた“利益を犠牲にしての先行投資”は主としてこの領域での積極的人材採用とそれに伴う人件費の増加を意味している
販促のコンサルティングや業務運営代行において同社が強みを発揮できる理由は大きく2つあると弊社では考えている。
1つは同社が創業以来蓄積してきたECにおける売上拡大の治験とノウハウだ。
累計5万社以上を抱え、そこから得られたデータやノウハウは同社の強みを形成するには十分だと思われる。
もう1つは同社がEC支援に特化している点だ。
EC支援を標榜する企業は多いがそのほとんどは広告代理店、メディア、SEO対策などのオリジン(出自)があり、EC支援においても自社の得意領域でのソリューションを提案するケースが多い。
同社はそのいずれでもなくECを総合して支援できるため、顧客優先の姿勢を貫くことができる。
同社にとっては、広告、SEO、メディアなどはいずれも売上高拡大のための手段に過ぎない。
ゆえに常にベストの手段・手法を顧客に提案できる。
これがEC売上拡大という実績につながり、顧客の信頼を獲得し、収益成長に反映されるという流れを作っていると弊社ではみている。
(3) マーケティングの収益状況
前述のようにマーケティング収入の拡大は人的資源の拡大に制約を受けるという側面がある。
ただ、その人材の採用ペースは計画に対して遅れている状況が続いているようだ。
しかし、着実な人材の増強を反映し、マーケティング収入が着実に右肩上がりで推移しており、ここ1、2年はマーケティング収入の拡大ペースが加速しつつある。
2017年3月期のマーケティング収入は前期比32.3%増の787百万円に達した。
同社の販促支援サービスに対する需要は強く、1件当たり数百万円~1,000万円超の契約も数が増えつつある。
この傾向は年を追って強まってきている模様で、今後は、契約件数の増加による成長と、大型契約の割合の増加による成長の2つの軸によるマーケティング収入の拡大が期待できると弊社ではみている。
マーケティング収入自体は順調な拡大を続けているが、考慮すべきは利益面、すなわち、収益性だ。
ストック収入とフロウ収入はともに、固定費をカバーするだけの売上高を確保できれば、そこから上の売上高については利益率が急速に改善する費用構造となっている。
それに対してマーケティング収入は、収入獲得のためには人的資源の投入が不可欠であり、利益率が上がりにくい費用構造となっている。
この点に対する改善策の1つとして考えられるのは、前述した大型契約の増加、換言すれば受注単価の上昇だ。
顧客企業の販売動向の調査・分析、それに基づいた販促のコンサルティング、あるいは業務運営の代行といったマーケティングの実務作業は、顧客企業の売上規模の大小によってはあまり左右されない。
それゆえ同社が提供する販促のための各種サービスを幅広く購入・契約してくれる比較的規模の大きい顧客の獲得が望ましいと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)