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FS Research Memo(4):スマートフォン向け広告市場は中期的に業績をけん引する主力サービスとして期待される

発行済 2016-07-21 16:00
更新済 2016-07-21 16:33
FS Research Memo(4):スマートフォン向け広告市場は中期的に業績をけん引する主力サービスとして期待される
■今後の見通し

(1) 2017年4月期の業績見通し

フルスピード {{|0:}}の2017年4月期の連結業績は、売上高が前期比12.9%増の17,000百万円、営業利益が同20.3%増の1,150百万円、経常利益が同19.1%増の1,110百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同10.2%増の810百万円と2ケタ増収増益が続く見通し。
売上高、営業利益は2016年4月期第4四半期の水準を4倍にした数字を若干上回る水準となっており、今後、景気動向に大きな変動がなければ十分達成可能な水準と弊社では見ている。


セグメント別ではインターネットマーケーティングング事業、アドテクノロジー事業ともに前期の流れを引き継ぎ増収増益となる見通し。
同社では今期の計画達成に向けて以下の4つのポイントに注力していく方針だ。


a)アドンテクノロジー事業の強化
アドテクノロジー広告市場は今後も拡大が続く見通しで、なかでも同社が注力するDSP事業、成果課金型広告(アフィリエイト広告)については年率2ケタ台の高成長が見込まれている。
こうした市場の拡大を確実に取り込むため、自社開発商材である「AdMatrix DSP」やスマートフォン向け動画広告「PolymorphicAds」、アフィリエイトプログラム「アフィリエイトB」の機能強化・拡充に注力し、拡販を進めていく計画となっている。
また、今期は開発基盤強化のため国内での人員増に加えて、ベトナムまたはフィリピンにオフショア開発拠点を構築する計画となっている。


アフィリエイトサービスの売上高については、今期も業界平均並みの成長を想定している。
また、「AdMatrix DSP」については新規顧客の開拓を進め、10億円弱まで売上高を伸ばしていく計画で、利益増にも貢献する見通しだ。
また、4月よりサービスを開始したスマートフォン向け動画広告は既にクライアントも付き始めており、今期で数億円の売上高を見込んでいる。
収益化の時期は今下期以降になると見られる。


スマートフォン向け動画広告市場は、スマートフォンの普及拡大、高性能化を背景にして2015年の234億円から2020年には1,149億円と5倍に急成長することが予測されている。
このため、中期的に同社の業績をけん引する主力サービスの1つとして成長することが期待される。
スマートフォン向け動画広告では、連携するメディアサイトをどれだけ確保できるかが重要となってくるが、前期に事業譲受した「AID」において既に1万超のメディアと連携済みとなっており、動画広告を伸ばしていくうえでのインフラが整っていると言える。
また、技術面においては、レクタングル広告※1、リワード広告※2に対応しているほか、自社オリジナルフォーマット(表示画面拡大可能型)での提供も行うなど、様々な顧客ニーズに対応できることが強みと言え、今後の成長期待は大きい。


※1レクタングル広告とは、Web広告の形状の一種で、正方形か正方形に近い長方形の広告を指す。

※2リワード広告とはアフィリエイト広告の一種で、広告のリンク先のWebサイトで、アプリのダウンロードや、商品の購入など成果が発生すると、広告主から媒体に成果報酬が支払われる広告を指す。


b)ヘルスケア領域に注力
同社は今後、国内での市場拡大が見込まれるヘルスケア領域に特化したマーケティング・コンサルティングに注力し、売上高構成比を2016年4月期の20%から今期は約2倍の40%水準にまで高めていくことを目標としている。
ヘルスケア領域は、美容・エステだけでなく、健康・医療領域も含め裾野は広く、同領域でのNo.1マーケティングサービスを目指していく。
このため、新たにヘルスケア領域特化型のチームを編成し、関連メディア及びウェアラブル機器関連企業等との提携を積極的に推進していく方針となっている。


c)訪日インバウンド事業を本格化
訪日観光客を対象としたプロモーション支援サービスを、スマートフォン専用アプリ「GoJapan」を基軸として本格的に展開していく計画となっている。
「GoJapan」は関連会社の亜智游(北京)信息科技有限公司(出資比率20%)が中国、香港、台湾における訪日観光客向けに開発したアプリで、2015年10月の正式リリース以降、ダウンロード数を順調に伸ばし2016年5月には40万ダウンロードを達成、中国での訪日インバウンド向けアプリとしてはNo.1アプリとなっている。


「GoJapan」アプリが人気を博している理由は、中国人目線で企画された独自コンテンツを毎日更新していること、翻訳機能・乗換案内サービス、WeiboなどのSNSメディアとの連携機能、口コミ評価ランキング検索機能など、ユーザーにとって利便性の良い機能をそろえていることが大きい。
2015年11月に日本での本格的な営業展開を進めるため、合弁会社、(株)ゴージャパンを設立(出資比率20%)しており、中国観光客の集客に課題を持つ店舗運営企業など(飲食店など)を中心に広告販売を展開しているほか、同社内でもアジア向け専門の営業部隊を新たに編成し、プロモーション支援サービスを展開していく予定となっている。
今期は中国・香港・台湾向けに加えて、韓国版「GoJapan」のリリースも計画しており、その後は他のアジア地域での展開も視野に入れている。


「GoJapan」を通じたプロモーション支援サービスの売上規模はまだ小さいものの、2017年4月期下期以降にある程度の道筋が見えてくるものと思われ、来期以降の収益貢献を見込んでいる。
アプリのダウンロード数に関しては今期中に100万件を目指している。
なお、前期に取り組んでいたフリーペーパーによる訪日観光客向けプロモーションサービスは、積極的な展開は控えている状況である。


d)コンサルティング営業に注力
インターネット広告市場では、技術進歩によって新たな広告手法が次々と生まれており、顧客にとっても費用対効果を最大化するための広告戦略を見出すことが年々難しくなってきている。
このため、コンサルティングニーズもより高まってきており、同社ではスマートフォン領域を中心に、高成長が続くソーシャルメディア関連や動画広告など顧客ニーズにマッチした広告商材を提案し、費用対効果を高めていくことで売上規模の拡大を図っていく戦略だ。


このため、コンサルティング力を重視した営業展開を行っていく方針で、現在100人弱の営業人員の体制強化も進めていく。
新卒採用は20名となっており、中途採用者も含めれば人件費で1億円強の費用増要因となるが、売上増により吸収していくことになる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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