■業績動向1. 2019年5月期第2四半期の業績2019年5月期第2四半期累計期間のわが国経済は、緩やかな回復を続けるなか、プロパスト (T:3236)が属する不動産業界においては、先行指標となる新設住宅着工戸数が一進一退の動きを続けるほか、首都圏マンションの初月契約率については、好不況の分かれ目となる70%を下回る推移となるなど、弱含みでの動きとなった。
このような状況下、同社は、分譲開発事業や賃貸開発事業及びバリューアップ事業における新規物件の取得や保有物件の売却及び分譲開発事業の個別分譲販売を進めてきた。
この結果、売上高は9,332百万円(前年同期比14.8%増)、営業利益740百万円(同5.6%増)、経常利益475百万円(同4.8%減)、四半期純利益394百万円(同31.2%減)となった。
売上高は通期予想の53.6%に達し、営業利益も同じく65.8%に達するなど、全体的にはおおむね想定どおりの順調な決算であった。
なお、四半期純利益の大幅減については、前年同期に固定資産の売却に伴い特別利益113百万円を計上した反動減である。
利益率は前年同期に比べやや低下したものの、2010年5月期の赤字決算以降、同社の収益力は着実に回復し、黒字基調を維持している。
セグメント別には、分譲開発事業では、自社販売物件としてグランデバンセ御殿山ザ・レジデンス(東京都品川区)の販売を実施した結果、売上高は658百万円(前年同期比75.4%減)、営業利益は53百万円(同76.3%減)となった。
また、賃貸開発事業では、首都圏を中心に用地取得から小規模賃貸マンション建築・販売まで行っており、南大塚3プロジェクト、白金2プロジェクト、栄町プロジェクト等の6プロジェクトを売却した結果、売上高は3,257百万円(前年同期比38.2%増)、営業利益は735百万円(同51.4%増)となった。
さらに、バリューアップ事業では、中古の収益ビルをバリューアップした上で売却しており、西蒲田2プロジェクト、幡ヶ谷2プロジェクト、千駄木プロジェクト等、11棟の収益ビルを売却した結果、売上高は5,416百万円(前年同期比79.8%増)、営業利益として494百万円(同17.8%増)となった。
このように、分譲開発事業が減収減益となる一方、賃貸開発事業及びバリューアップ事業が大幅な増収増益となった。
主要3事業部門が補完しあうことで、会社全体として増収増益基調を維持している。
2. 財務状態及びキャッシュ・フローの状況2019年5月期第2四半期末における資産は、前期末比1,751百万円増加の21,222百万円となった。
これは、販売用物件の売却を推進したことから現金及び預金が354百万円増加した他、新規物件の取得も並行して進めたことから販売用不動産と仕掛販売用不動産が合わせて558百万円増加したことによる。
また、自社開発物件として販売を進めている複数の分譲販売案件における手付金等の前渡金やその他の流動資産が823百万円増加したことによる。
負債については、同1,431百万円増加の17,965百万円となった。
これは、新規物件の取得に伴って有利子負債が1,242百万円増加したことによる。
また、純資産は、同319百万円増加の3,257百万円となった。
これは、主に利益準備金が337百万円増加したことによるものである。
事業拡大に伴う資産増加の一方、着実な利益の積み上げの結果、自己資本比率は14.9%となり、2013年5月期末の9.5%から大幅に上昇しており、同社の安全性は着実に改善していると言える。
現金及び現金同等物の四半期末残高は前期末より359百万円増加し、1,174百万円となった。
各キャッシュ・フローの状況について見ると、営業活動の結果使用した資金は785百万円となった。
これは、前渡金が581百万円、棚卸資産が559百万円増加したこと等による。
また、投資活動の結果使用した資金は13百万円となった。
これは、敷金の差入により10百万円を使用したことなどによる。
さらに、財務活動の結果獲得した資金は1,156百万円となった。
これは、保有物件の売却等により借入金を7,198百万円返済したものの、新規物件の取得資金等として借入により8,440百万円を獲得したことなどによるものである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)