[東京 31日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日のニューヨーク市場終盤(121.80/83円)に比べて小幅にドル高/円安の122.05/07円で推移している。年度末の実需によるフローで売買が拮抗した後、岸田首相の発言を受けて円高圧力が強まった。
岸田文雄首相は31日の衆院本会議で、「為替介入についてコメントすることは差し控える」とした上で、「為替の安定は重要であり急速な変動は望ましくないと考えている。引き続き米国等の通貨当局と緊密な意思疎通を図りつつ為替政策に適切に対応していく」と語った。これを受けて、122円前半で推移していたドルは一時121.71円まで下落した。
クレディ・アグリコル銀行の外国為替部長、斎藤裕司氏は、29日の日米財務官協議や前日の岸田首相と黒田東彦日銀総裁の会談が続いたことから、「一部の市場参加者による為替介入への思惑が強まった」と指摘。「ただ、米国がドル安を希求するとは思えず、市場の反応は一時的だろう」との見方を示した。
年度末要因による実需によるドル買いフローが多く出たことから、朝方に一時122.45円まで上昇する場面もあった。市場関係者によると「流動性がかなり薄くなっている中で期末の実需フローが活発になり、ドルは一時的に上昇圧力が強まった」(国内銀行)という。
バイデン米大統領が数カ月間にわたり最大1億8000万バレルの戦略石油備蓄放出を検討していると報じられたことを受けて、原油先物価格が下落している。
りそなホールディングスのエコノミスト、村上太志氏は「報道通りに石油備蓄が放出されれば、インパクトはある」と指摘。ただ、「原油高によるじわりとした円売り圧力は緩和されるものの、中期的なドル/円の上昇トレンドを変えるものではない」との見方を示した。
ユーロ/ドルは1.1164/68ドル。朝方に一時1.1185ドルと3月1日以来の水準まで上昇した後、利益確定売りが優勢となった。
ドル/円 ユーロ/ドル ユーロ/円
午後3時現在 122.05/07 1.1164/68 136.28/32
午前9時現在 122.01/03 1.1159/63 136.17/21
NY午後5時 121.80/83 1.1156/60 135.92/96