■業界環境
アーバネットコーポレーション (T:3242)の基軸事業である都内の投資用ワンルームは、入居者及び投資家双方の堅調な需要に支えられて好調に推移している。
東京都総務局の公表データによると、同社が供給エリアとしている東京23区の人口は、東京都への転入超等を背景として増え続けている。
特に、若年層を含め、晩婚化や離婚率の増加などを背景として単身世帯の増加が目立っており、今後もワンルームマンションの賃貸需要を支えていくものと考えられる。
また、投資家サイドでも、将来の年金受給や老後の生活不安を抱えた20~30代の個人投資家からの需要が拡大していることに加え、キャッシュフローが比較的安定した安全な投資対象として賃貸収益物件が再評価されてきたことも追い風となっている。
最近では、基礎控除が引き下げられた相続税対策として高齢者が現金で購入するケースやマイナス金利政策等を背景として国内外の機関投資家からの引き合いも根強い。
一方、首都圏における投資用マンションの供給戸数は、2007年をピークとしてリーマンショックによる金融の引き締めや事業者の倒産、撤退に加え、自治体のワンルームマンション建築規制(最低面積の規定、付帯設備の設置等)の強化などにより減少してきたが、2010年に底を打ち、ここ数年は、金融機関のスタンスの変化や根強い需要に支えられて安定的な推移を見せている。
2016年1〜6月においても、供給エリアの拡大等により前年同期と比べて増加している。
なお、プレイヤーについては、販売だけを手掛ける会社が数多く見られるものの、同社のように設計・開発に特化する相当規模の同業他社(特に上場会社)は見当たらない。
業界における課題については、開発面では、都心用地の高騰が続くなか、大手デベロッパーのワンルーム市場への進出やホテル業者の参入もあり、都心の中小事業用地取得は一層厳しくなってきている。
マイナス金利政策の導入により、年金などの機関投資家や地銀など金融機関の運用難が後押しとなり、不動産投資への資金流入も活発化しているようだ。
また、建設コストの高止まりには若干変化の兆しが見られるものの、人手不足による工期長期化は今後も継続する見通しである。
一方、販売面に目を向けると、分譲マンションについては、販売価格の高騰などに伴う購入意欲の低下により販売戸数は減少しており、好調であったタワーマンションの販売にも陰りが見え始めた。
一方、投資用マンションについては、低金利・相続税対策等による不動産投資需要は全般的に根強く、特に年金不安を抱えた若者による購入意欲は堅調な状態が続いている。
ただ、利回りの低下と販売価格の先行き不安などにより海外投資家の動きには若干の陰りが見られ始めた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
アーバネットコーポレーション (T:3242)の基軸事業である都内の投資用ワンルームは、入居者及び投資家双方の堅調な需要に支えられて好調に推移している。
東京都総務局の公表データによると、同社が供給エリアとしている東京23区の人口は、東京都への転入超等を背景として増え続けている。
特に、若年層を含め、晩婚化や離婚率の増加などを背景として単身世帯の増加が目立っており、今後もワンルームマンションの賃貸需要を支えていくものと考えられる。
また、投資家サイドでも、将来の年金受給や老後の生活不安を抱えた20~30代の個人投資家からの需要が拡大していることに加え、キャッシュフローが比較的安定した安全な投資対象として賃貸収益物件が再評価されてきたことも追い風となっている。
最近では、基礎控除が引き下げられた相続税対策として高齢者が現金で購入するケースやマイナス金利政策等を背景として国内外の機関投資家からの引き合いも根強い。
一方、首都圏における投資用マンションの供給戸数は、2007年をピークとしてリーマンショックによる金融の引き締めや事業者の倒産、撤退に加え、自治体のワンルームマンション建築規制(最低面積の規定、付帯設備の設置等)の強化などにより減少してきたが、2010年に底を打ち、ここ数年は、金融機関のスタンスの変化や根強い需要に支えられて安定的な推移を見せている。
2016年1〜6月においても、供給エリアの拡大等により前年同期と比べて増加している。
なお、プレイヤーについては、販売だけを手掛ける会社が数多く見られるものの、同社のように設計・開発に特化する相当規模の同業他社(特に上場会社)は見当たらない。
業界における課題については、開発面では、都心用地の高騰が続くなか、大手デベロッパーのワンルーム市場への進出やホテル業者の参入もあり、都心の中小事業用地取得は一層厳しくなってきている。
マイナス金利政策の導入により、年金などの機関投資家や地銀など金融機関の運用難が後押しとなり、不動産投資への資金流入も活発化しているようだ。
また、建設コストの高止まりには若干変化の兆しが見られるものの、人手不足による工期長期化は今後も継続する見通しである。
一方、販売面に目を向けると、分譲マンションについては、販売価格の高騰などに伴う購入意欲の低下により販売戸数は減少しており、好調であったタワーマンションの販売にも陰りが見え始めた。
一方、投資用マンションについては、低金利・相続税対策等による不動産投資需要は全般的に根強く、特に年金不安を抱えた若者による購入意欲は堅調な状態が続いている。
ただ、利回りの低下と販売価格の先行き不安などにより海外投資家の動きには若干の陰りが見られ始めた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)