[ブダペスト 13日 ロイター] - ハンガリー政府は、冬のエネルギー供給確保対策として、ガスなどの燃料輸出禁止や、使用量の多い家庭向けのエネルギー料金上限制度の撤廃を定めた政令を発出した。グリャス首相首席補佐官が13日明らかにした。
グリャス氏によると、この対策には国内のガス生産量を15億立方メートルから20億立方メートルに拡大する計画も含まれ、いずれも8月から実施される。
ロシアのウクライナ侵攻とそれに対する西側の経済制裁を受け、ガスの供給不足と価格高騰に見舞われた欧州各国は、備蓄やロシア以外に調達先を切り替える取り組みを急いで進めている。特にハンガリーの場合、20年ぶりの物価高や通貨フォリントの最安値更新、法の支配順守を巡るEUとの対立など多くの問題を抱えるオルバン首相の政権にとって、エネルギー供給不足はさらなる重圧だ。
グリャス氏は「政府がエネルギーの面で緊急事態を宣言する時期がやってきた」と危機感をにじませ、最大限の省エネを励行するためのインセンティブを提供する上であらゆる手段を検討すべきだと強調した。
シーヤールトー外相は、現在のハンガリー国内のガス貯蔵量は63億3000万立方メートルで、貯蔵率は44%と年間消費量のおよそ4分の1にとどまっていると説明した。