[シンガポール 8日 ロイター] - シンガポールのローレンス・ウォン財務相は8日、主要7カ国(G7)が各国共通の最低法人税率を15%以上とする案で合意したことについて、世界的な合意が成立すれば、必要に応じて税制を見直す方針を示した。
シンガポールは税率が低く、アルファベット傘下のグーグル、マイクロソフト、フェイスブックといった複数の多国籍企業が地域本部を置いている。法人税率は17%だが、実効税率を引き下げるためのインセンティブや仕組みが提供されている。
同相は「世界的な合意が成立した場合に」必要に応じて法人税制を変更するとフェイスブックに投稿。
「新たなルールの導入で、企業の投資やイノベーションに対するインセンティブが不用意に低下してはならない」とし「そうなれば、国も貧しくなり、縮小する歳入のパイを奪い合うことになる」と述べた。
同相は、G7の提案が歳入に及ぼす影響を判断するのは時期尚早だとの認識も示した。
シンガポール国立大学経営学部のサイモン・ポー教授は、G7の合意について「グローバルな企業を誘致するシンガポールの競争力に全体として悪影響を及ぼす公算が大きく、シンガポールにとっては悪いニュースだ」との見方を示した。
同相は、シンガポールの競争力は低税率や豊富なインセンティブだけに基づくものではないと主張。「最終的には信用、確実性、信頼性が、大規模な経済活動の場としてのシンガポールの魅力になる」と述べた。
シンガポールを拠点に選んだ国際的な企業は、信頼できる法制度、高スキル労働者、強力なインフラ、高い生活水準を理由に挙げることが多い。