[ロンドン/ドバイ 2日 ロイター] - イランの港湾沖で、計20隻以上の貨物船が総量約100万トンの輸入穀物を積んだまま足止めされている。米国の対イラン制裁で支払い遅延が生じているためだ。貿易に直接関わる複数の関係者が明らかにした。
遅延で支払いがされていないのは米ブンゲ (N:BG)や中国のCOFCOインターナショナルなどで、こうした商社には1日当たり最大1万5000ドルの追加費用も発生しているという。
米国のイラン制裁は食糧や医薬品などの人道支援物資は対象外としている。しかし、石油輸出から金融取引まであらゆる分野が対象になる中で、幾つかの外資系銀行は食糧などの人道支援物資関連も含め、イラン取引を全面的に手控えている。イラン関連の決済を依然として手掛ける数少ない銀行も、幾重もの障害に直面している。
西側やイランの関係者6人によると、主要貿易港のバンダル・イマム・ホメイニ港やバンダル・アバス港の沖で貨物船が1カ月以上も停泊。積荷は主に南米からの大豆やトウモロコシだ。
ある欧州の関係者は「人道支援関連のビジネスは制約はないが、支払いがされない」とし、支払いは何カ月も待つかもしれないと指摘した。
別の関係者は「遅延が解消されるまではイランへの追加輸出に神経質になるムードも貿易業者の間にある」と述べた。
イランの港湾当局高官はロイターに、昨年11月に米国から金融システムへの制裁が科されてから問題は起きているが、ここに来てイラン取引を控える銀行や貿易業者が増えていると語った。先月、サウジアラビアの石油施設が攻撃を受け、米国はイランの中央銀行にも制裁を拡大した。
イランの港湾当局者は、この直近の追加制裁が銀行をしりごみさせ、取引していた小規模な銀行数行も関係停止を通告してきたと話す。
商社筋の話では、イランが人道支援物資輸入で依存してきた銀行の中にはトルコのハルクバンクがあるが、決済手続きの遅延に見舞われているという。
国連食糧農業機関(FAO)は先月、イランの今年の穀物在庫は510万トンと、2016年の990万トンから減少し、来年は480万トンに落ち込むとの推計を発表している。