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焦点:北朝鮮が強気に転換、核の進化に自信 米弾劾も後押し

発行済 2019-11-03 12:59
更新済 2019-11-03 13:06
焦点:北朝鮮が強気に転換、核の進化に自信 米弾劾も後押し

Josh Smith Hyonhee Shin

[ソウル 1日 ロイター] - 制裁をうまく逃れ、中国から命綱を提供され、トランプ米大統領が国内で弾劾問題に直面していることが、非核化交渉で北朝鮮を強気にさせていると、専門家や当局者は指摘する。

トランプ大統領も北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長も、3度の直接会談で築いたとする良好な個人的関係を強調し続けている。しかし、北朝鮮は先ごろ、忍耐が切れつつあるとし、年末までに交渉姿勢を変えるよう米国に迫った。

北朝鮮は10月31日の2発を含め、ミサイルを相次ぎ発射することで、どこまでが約束違反になるのか試している。武器の使用規制を具体的に定めていないことが、北朝鮮に核兵器開発の継続を許していると、専門家は警鐘をを鳴らす。

ミサイルの試射には、北朝鮮軍にとって兵器を進化させられる実用的なメリットがある。その一方で、柔軟性がなく敵対的な態度の米国を前に、北朝鮮はどんどん好戦的に傾いていると強調することができる。

31日の発射は12月末の期限に向けて米国を急かすためのものだったと、ソウルにあるジョージ・メイソン大学コリアの客員研究員アンドレイ・アブラハミアン氏は言う。

「しかし、必要に迫られればディールなしでも問題ないと平壌は結論づけているのではないか」と、アブラハミアン氏は話す。「残念なのは、今の流れではそうなりそうなことだ。今後長い間、すべての利害関係国にとって状況は悪くなる」

<先行きは明るくない>

韓国駐在のある外交官は、トランプ氏の再選に向けた選挙戦と弾劾をめぐる問題が、金委員長に計算違いをさせているのかもしれないと話す。

「自分はトランプ大統領再選を後押することも、駄目にすることもできると真剣に思い込んでいる節がある。しかし絶対的なリーダーに対し、平壌では間違っている、死にたくないでしょうとは誰も進言できない」と、この外交官は言う。

「金委員長にとってはトランプ氏がすべてだ。非核化するには、大統領が再選されるという確信が必要だ」

一方、米国側は10月5日にスウェーデンのストックホルムで開いた実務者協議に、完全かつ不可逆的な非核化が必要という態度で臨んだ。そして、その第一歩として兵器の試験の休止を迫ったと、この外交官は明らかにした。

米国が石炭と繊維製品の輸出禁止を一時的に緩和することを提案したとの一部報道があったが、この外交官によると、ストックホルムの協議ではそうした詳細は話していないという。

「米国は、先に制裁を緩和するというリスクは犯せない。非核化の具体的な進展がないにもかかわらず、首脳会談の開催を含めて金委員長にはすでにたくさんの贈り物をしている」と、同氏は話す。

「北朝鮮に圧力をかけられる手段は基本的に制裁だけだ」

米国の交渉団が再協議を設定しようとしたところ、北朝鮮側は非協力的だったという。「見通しは明るくない」と、この外交官は語る。

<中国と劇的に関係改善>

国連制裁は維持されているのものの、中国と貿易は増えつつあるようにみえる。北京と平壌の政治的関係は劇的に改善している。

金委員長と中国の習近平国家主席は複数回会い、両政府の関係者が行き来している。

北朝鮮をモニターしているコリア・リスク・グループの調査によると、過去1年間で中国人観光客が大量に北朝鮮を訪れており、それが平壌の大きな資金源になっているという。

今年は35万人の中国人旅行客が北朝鮮を訪れたと、コリア・リスク・グループのチャド・オキャロル氏は推計する。北朝鮮政府に1億7500万ドルの収入をもたらした可能性があるという。

2016年に閉鎖された韓国との合同事業、開城工業団地から得られる収入より多い、とオキャロル氏は話す。金委員長が工業団地への関心を低下させているのは、おそらくこれが理由の1つだという。

米国と韓国は、今年2月にベトナムのハノイで開かれた2度目の米朝首脳会談が不調に終わった後、北朝鮮への妥協案として、開城の再開ではなく観光を提案したと、前出の外交官は明かす。

「いつでも制裁を元に戻せるようにしておく必要があると、誰もが考えたからだ。120以上の工場が再稼動してしまえば、すぐに閉鎖してまた引き揚げるには難しい」

国連の報告によれば、北朝鮮は制裁の多くをうまく逃れている。サイバー攻撃で最大20億ドルを盗んだとみられている。

「スウェーデン政府は、北朝鮮には『中国の安全弁』もあると示唆している。つまり、制裁を緩めるという合意だ」と、ジョージ・メイソンのアブラハミアン氏は言う。「実際に望んでいる以上にトランプ氏が勝利を切望していると北朝鮮が計算違いし、ディールを結ぼうとせず、交渉の扉が失われてしまうことを懸念している」

<北朝鮮がつけた自信>

トランプ大統領と金委員長の2回目の首脳会談は、どちらも譲らず、突然物別れに終わった。北朝鮮は幅広い制裁緩和を求め、米国は非核化に向けて具体的に動くよう主張した。

「非核化の道を行く金委員長の歩みが正しいのかどうか、ハノイでの失敗が北朝鮮内で議論を呼び起こしたのは明らかだ」と、米スティムソンセンターのシニアフェロー、ジョエル・ウィット氏は言う。

米国や韓国がさらに譲歩するまで交渉は避けたがっているようにみえると、ウィット氏は指摘する。

専門家は、ようやく手に入れた核兵器を金委員長が放棄することに懐疑的で、限定的な軍縮も難しくなりつつあると考えている。

「北朝鮮は、核兵器が質的にも量的にも前に進んだという自信をつけた。さらに要求を強め、厳しい態度で臨み、バーを上げてくるだろう」と、ワシントンにあるセンター・フォー・ニュー・アメリカン・セキュリティのDuyeon Kim氏は指摘する。

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