[ワシントン 4日 ロイター] - トランプ米大統領は4日、上下両院合同会議で今後1年の施政方針を示す一般教書演説を行った。11月の大統領選での再選をにらみ、民主党の有力候補が提唱する国民皆保険構想を批判し、自身の経済政策の実績を強調した。
約80分の演説でトランプ氏は、ウクライナ疑惑を巡る自身の弾劾裁判には直接言及しなかった。ただ、共和党議員らが総立ちで演説に拍手を送る一方、民主党は大部分を着席したまま聞くなど、弾劾裁判がもたらした党派間の分断が如実にみられた。
上院の弾劾裁判では5日にトランプ氏に無罪評決が下される見通し。
トランプ氏は自身の就任から「たったの3年で米国衰退のメンタリティーを打ち砕き、米国の運命が悪化するのを阻止した。ほんの少し前には想像できなかったペースでわれわれは前進しており、二度と後退することはない」と語気を強めた。
また、民主党の候補指名を争うサンダース、ウォーレン両上院議員が提唱する国民皆保険を念頭に「社会主義によって米国の医療保険制度が破壊されるのを絶対に許してはならない」と訴えた。
さらに、移民問題について、メキシコとの国境からの不法移民の入国を阻止すべきだとあらためて主張。不法移民に寛容な「聖域都市」は間違っているとも語った。
外交政策については、「中東における米国の戦争を終わらせるために取り組んでいる」と表明。
年明けにはトランプ氏の命令によるイラン革命防衛隊の司令官殺害で中東の緊張は高まり、武力紛争に発展するとの懸念も一時浮上していた。
演説の前にトランプ氏は野党民主党のペロシ下院議長に演説原稿を手渡した。その際、ペロシ氏が手を差し出したが、トランプ氏はペロシ氏と握手を交わそうとしなかった。
これに対してペロシ氏は、一般教書演説の直後、トランプ氏から手渡された原稿を破った。トランプ氏への抗議の意思を示したとみられるが、ペロシ氏は記者団に対し、他の選択肢も考慮したうえでの対応と説明した。
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