[ウェリントン 16日 ロイター] - ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は16日に開いた臨時の政策決定会合で、75ベーシスポイントの緊急利下げを決定した。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらす経済への「著しい」打撃に備える狙いがある。
世界各国の中銀による利下げに追随した。米連邦準備理事会(FRB)は政策金利をゼロ付近に引き下げる緊急措置を発表したばかり。
NZ中銀は声明で、政策金利のオフィシャル・キャッシュレート(OCR)を過去最低の0.25%にするとともに、金融政策委員会がこの水準を少なくとも12カ月続けることを全会一致で決めたとした。
オア総裁は記者会見で、新型コロナウイルスは向こう1年で、ニュージーランドの人々と経済に深刻な影響を与える見通しだと指摘。
ただ、今回の決定は、中銀が現時点でマイナス金利を検討していないと明確に示す狙いもあると説明した。
「現時点でそのような状況にはないが、どこかの時点で一段の刺激策が必要となった場合、追加的手段の活用を検討することになる。例えば、NZ国債の大規模な買い入れだ」と述べた。
「市中銀行全てが、マイナス金利に関して準備できているわけではない」とし、市中銀行がさらなる流動性を求めているわけでもないと語った。
NZドル
ANZ銀行のチーフエコノミスト、シャロン・ゾルナー氏は調査ノートで「中銀は即座に大規模な行動を取る必要性に迫られていた。今回の利下げで海外の中銀と歩調を合わせることができた」と分析。ANZ銀は、中銀が実施可能になり次第、非伝統的手段を打ち出す可能性が高いと予想した。
中銀によると、25日に予定されていた定例政策見直しは取りやめた。
<新型コロナの景気への影響>
ニュージーランドではこれまでのところ、新型コロナの感染者は8人にとどまっている。
オア総裁は、新型ウイルスによる経済への悪影響が一段と顕著になっていると指摘。「世界の貿易と渡航、企業や消費者の支出が著しく抑制されている」と続けた。
ただ、同国の金融システムは引き続き健全な状態で、大手金融機関は十分な資本と流動性を確保していると述べた。
中銀は同時に、市中銀行に自己資本比率の引き上げを求める規制強化策の実施を2021年7月1日に1年間延期すると発表した。
また、ホークスビー総裁補は、多くの国で導入された移動制限や集会禁止などの措置が中期的に世界経済と国内経済に打撃を与えるとの見通しを示した。その上で、直ちに非伝統的措置を検討する必要はないとした。
総裁補は、ロイターの電話取材に応じ「われわれがきょう大規模な資産買い入れプログラムの開始を望んでいたなら、そうしていただろう」と語った。
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