[ロンドン 1日 ロイター] - 大手石油・ガス企業は2020年の支出計画を当初予想から20%引き下げる。新型コロナウイルスの危機による需要の落ち込みに加え、原油輸出大国のサウジアラビアとロシアが繰り広げる価格競争により、原油の値段が急落しているためだ。
サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ (SE:2222)や英蘭系のロイヤル・ダッチ・シェル (L:RDSa)を含む石油大手8社が発表している支出削減額は計280億ドル。当初の20年の支出計画である1420億ドルから20%減らした。
英BP (L:BP)は1日、20年の支出計画を25%縮小。米国のシェール石油・ガス事業での生産も減らす。
米エクソン・モービル (N:XOM)は設備投資を削減すると述べたが、明確な数字はまだ出していない。
ブラジルの国営石油会社ペトロブラスは短期的に生産を抑えると発表。また、配当を遅らせるほか、20年の投資予定額を切り下げた。新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)に対応するため、その他一連の経費削減対策も実施する。
原油価格は1月以降、65%下落し、現在は1バレル約25ドルで推移している。
投資家は、現在の危機が長期化した場合、石油大手が発表している支出削減では、既に高水準にある債務をさらに積み上げずには配当を維持することができないと言う。
米シェブロン (N:CVX)と仏トタル (PA:TOTF)、BP、エクソン・モービル、ロイヤル・ダッチ・シェルの債務は19年末時点で総額2310億ドル。原油価格が1バレル30ドル以下に急落した16年に付けた債務額の2350億ドルに迫った。