[ソウル 25日 ロイター] - 韓国最大の財閥、サムスン・グループのサムスン電子 (KS:005930)は25日、李健煕(イ・ゴンヒ)会長が死去したと発表した。78歳だった。2014年に急性心筋梗塞で入院、その後、療養生活を続けていた。
サムスンは声明で「李会長は、サムスンをローカル企業から世界をリードする革新企業へと変革させた」とし、「レガシーは永遠に続く」と加えた。
李会長の下で同社は、半導体、テレビ、ディスプレイなどを扱う世界的な企業に成長した。
現在、長男の李在鎔(イ・ジェヨン)氏が副会長を務めている。
サムスンは葬儀について、親族のみでしめやかに執り行われるとし、日程や場所は明らかにしなかった。
韓国大統領府によると、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は葬儀に弔花を贈る計画で、盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長と李昊昇(イ・ホスン)経済首席秘書官を弔問に派遣するという。
文大統領は「李会長が示したリーダーシップは、新型コロナウイルス危機下で厳しい状況に見舞われる韓国企業にとって、素晴らしい手本となり、危機や課題を克服する上で勇気を与えるだろう」述べ、遺族に哀悼の意を表した。
<再編の可能性>
米経済誌フォーブスで純資産209億ドルとされる李会長が死去したことで、同氏が保有するサムスン生命保険 (KS:032830)やサムスン電子など主要傘下企業の株式を巡り、サムスングループが再編される可能性があり、投資家の関心が高まるとみられる。
李会長はサムスン生命保険の20.76%株式を保有しているほか、サムスン電子の保有株比率は4.18%と個人株主として最大。
長男の李在鎔氏は、経営権継承を確実にする狙いがあったとされるグループ傘下企業2社の合併を巡り、法的な問題に直面している。
大信経済研究所の企業統治の専門家、Ahn Sang-hee氏は「李会長の死去で、サムスングループは(2015年の)第一毛織とサムスンC&T(サムスン物産) (KS:028260)の合併以来最大の統治再編に直面している」と指摘。
「李在鎔氏にとっては李会長の保有株のほとんどを取得することがこれまでになく重要となっている。問題は税金だ。相続に関連する税金の問題や2人の妹との係争回避が主なハードルになる」と語った。
李会長の3人の子供と妻がどのように財産分与を行うのかは不明で、家族間の対立につながる可能性もある。
ソウル大学校のPark Sang-in教授は「李会長の入院から6年が経っている。したがって子供たちの間で合意されているのであれば、サムスンの継承プロセスは秩序立ったものになるだろう。そうでなければ、お家騒動に発展する可能性がある」と述べた。
サムスンは李会長の死因について詳細に言及しておらず、遺書があるのかどうかについてもコメントを控えた。
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