[サンティアゴ 22日 ロイター] - 南米チリで21日実施された大統領選挙では、右派のホセアントニオ・カスト元下院議員(55)がリードし、アナリストや市場の想定外の結果となった。ただ、当選に必要な過半数には届いておらず、左派ガブリエル・ボリッチ下院議員(35)との決選投票に進むこととなった。
22日朝には開票率が99.99%に達した。カスト氏の得票率は27.91%で、2位のボリッチ氏は25.83%。決選投票は12月19日に予定されている。
カスト氏は、かつての独裁者アウグスト・ピノチェトの新自由主義経済政策を称賛している。率直な発言や全面的な保守主義などで、トランプ前米大統領やブラジルのボルソナロ大統領と比較されることも多い。
一方、ボリッチ氏は学生運動出身者で、自由放任経済政策を廃止し、環境保護や先住民の権利を強化することを公約に掲げている。
政治コンサルタントでコラムニストのゴンザロ・コルデロ氏は「右派にとって想定以上の結果になった。決選投票までの間に何か大きなミスを犯さない限り、カスト氏勝利の可能性は非常に高い」とした。
カスト氏は開票速報を受けて支持者を前に演説し「チリの人々はきょう、声を上げた」と強調。共産党を含むボリッチ氏の左派陣営を念頭に、今回の選挙は「自由か共産主義か」の選択だったなどと語った。
ボリッチ氏は演説で、これまであまり触れてこなかった犯罪や麻薬取引の問題に言及し、支持基盤の拡大に努めた。